まだまだ安心はできない
もう本当に、どこまで続くぬかるみぞって感じです。私が勝手に足踏みしてぬかるみ作ってるんかなー。
映画「グラディエーター」に触発されて、感想や所感を小説のかたちで書いた「砂と手」シリーズの第二冊、第三冊がAmazonで発売されました。もちろん自費出版です。それをいいことに、挿絵もすべて、私の下手なイラストです。なお、映画を見ていなくても、まったく読むには困りませんし、シリーズとは言っても各冊は独立していますので、興味を持たれた一冊だけ読んでいただいても、これまたまったくかまいません。
とにかく早く全冊を出版してしまいたいので、当面電子書籍での出版はありません。紙本だけで、これがもう、申し訳ないけどけっこう高い。テレビなど見てると、推しや趣味に膨大なお金を投入する人たちもいらっしゃるので、もしや血迷って買って下さる方もいらっしゃるかと思いもするし、そんなに失望させない自信も一応はあるのですけど。
実はこのシリーズ、同じく自費出版で出している、日本神話を下敷きにした童話(にしては過激な描写もちょこちょこあるけど)「水の王子」シリーズとは、少し異なる装丁にしたくて、それこそ下手なりに挿絵のイラストの感じも変え(変わってないと言われたらそれまでですが)、どちらかというとかわいらしい「水の王子」の感じより、渋くて地味な感じにし、表紙もつや消しで、どこやら懐かしいレトロな感じも漂わせました。
タイトルの「砂と手」の意味もわかる方にはおわかりでしょうが、わからなくても困りませんが(笑)、それにあやかって、シリーズ全冊を茶色やベージュで統一して、各冊で微妙に差をつけて、並べたらお洒落になるようにしようと予定していました。
ですが、第一冊を完成させて、試供品とかをチェックしている間に、悪いわけではないのですが、色の出具合が予想とちがったりして、これは全冊で細かく差をつけようとして毎回心を砕くのは、かなりストレスになりそうな気がして、ええいと全冊各冊、かなり明確に色を変えることにしました。赤や緑やピンクや紫も入れて。授業のテキスト用の自費出版でも体験してるんですが、こうやって表紙の色を変えておくと、あとで整理する時もひと目でわかって手間が省けるんですよ。
というわけで、第二、第三の表紙はチョコレート色と鮮やかな青にしました。装丁も担当して下さるdynamis life様がいつもながら超センスのいい仕事をして下さって、タイトルやキャッチコピーなども、素敵な仕上げになりました。
実はもう何もかもぶっちゃけますが、渋くて地味にするのはいいけど、そのために表紙の基本は古い壊れた石膏像の頭部のスケッチに統一しました。これは福岡のレイメイかどっかで衝動買いした庭の置物で、高いものでも何でもないのですが、顔がちょっと映画の主役のラッセル・クロウに似てたもんで(笑)。そんなに大切にもせず、庭において楽しんでいたら、ある時ホースをひっかけて、首がもげてしまいました。
今なら接着剤で修復するとかするんでしょうが、そのころは忙しくて、砕けた残骸は処分してしまいました。頭部だけはきれいに残ってたので、ついそのままとっておきました。がらくたの中からそれが出て来たので、そのスケッチをモノクロで表紙のメインにしたれと思ったわけです。
再三再四言っときますが、私はイラストやスケッチや絵の訓練はいっさい受けたことがありません。初心者向けの本さえ買ったことがない。素人以下の素人で、「水の王子」を書いていたとき、おっかなびっくりの、もののはずみで、挿絵もどきを描きはじめた時も最初は人の顔なんてどう描いていいのかわからずに、後ろ姿や風景でお茶を濁し、それさえまったく自信がなかった。
dynamis life様は、けっこう普通に評価して下さっていて(というか、この程度の絵で勝負しようとする私の図々しさをご存じでなくて。笑)装丁でも、ともすればイラストを活かそうとして下さるので、私は「文章は長いこと、それで教師として食ってきたし、訓練もしてるけど、絵の方はそうじゃないから」と何度も抗議し説得し、「絵は主役にしないでくれ」と頼みこんでいたのですが、その内に考えてみれば、文章の方だって、正式の訓練だの勉強だの指導だの、一度も受けたことはなく、むしろそんなものの一切を拒絶して、幼いころから、とことん我流で自分で自分を指導し鍛錬し訓練してきただけで、なるほどコミック「忘却バッテリー」の主役二人に共鳴するはずだこりゃと、思いがけない発見をして、わーっと荒野のまん中に立ち尽くすような気分になったり、まあ、今さらもうしょうがないんですけど。
そういう素人なりゃこそでしょうが、石膏の頭部をスケッチしていて、こんな単純な作業がこんなに恐ろしく難しいのか、初めて骨身にしみました。山ほど描いても描いても描いても、たかが安物のありふれた頭部の表情も目鼻立ちも、一度も再現できないんです!
だからその、結局実物とは、どれもどこかちがうスケッチのいろいろを表紙にするしかなかったんですけど、根本的に自信がないので、タイトルやキャッチコピーや、それだって下手ですが花のスケッチで、できるだけ目立たなく隠してくれと、無茶なお願いをすることになり、「そんなに悪い絵ではないと思いますよ」という感じで迷われながら、みごとに要望通りのものを完成させて下さったdynamis life様には感謝してもしきれません。大手の立派な出版社とかならあり得なかった、自費出版ならではの最高のぜいたくです。
というわけで、試供品の出来も上々で、めでたく出版にこぎつけたのですが、ここでまだ一つ気になっていることが。
そこまで理想的に仕上げて下さった表紙の、タイトルの色が、Amazonの店頭の画像では微妙にちがってしまってるのですよ。
このブログの下にある宣伝ページの画像と比べてごらん下さい。第三冊「皇女」はなぜか一つのタイトルだけが色違いになってるし、第二冊「戦友」の上半分もタイトルの色がちがう。
ほんとに毎回、予想もつかないことが起こると、もはや半分楽しみで、でも歯噛みしています。
何より心配なのはAmazonのページを見て注文した方が、イメージとちがった本を受け取られるか、それ以上に困るのは、もしやまた何かのミスで、この変な画像の表紙の本が、読者のお手元に届いても、私はそれをチェックできない。
まあ、その内に修正しますし、Amazonのコメント欄でも、みっともないけど注意喚起します。さしあたり、こちらをごらんの皆さまにおかれましては、ブログの下の画像をご確認下さって、本来の表紙の色合いを目に焼き付けて下さいませ。
そもそも、色覚は人によってもさまざまだし、私自身だって正しく見えているのかどうかわからないし、猫の視界はモノクロらしいし、こだわっていてもしょうがないことでもあるのかしれないけど。
こういう体験をしていると、認知とか受容とか世界観とかいった哲学の薄暗がりにも踏み込みそうです(笑)。私たちは本当に、どれだけ同じ世界やものを見ているのでしょう。聞いて触って味わっているのでしょう。
といった、さまざまなことはさておき、どうぞお気が向かれましたら、「砂と手」シリーズ、「水の王子」シリーズ、どこからでも、お楽しみ下さい。現在、ひきつづき、第四冊、第五冊の作業にもとりかかっています。こちらもいずれ、お楽しみに。