ものうい春です
兵庫県知事が週刊文春の記事の情報元を独自に調査していたとわかって腰が抜け、誰かもネットでコメントしてたが、もう北朝鮮もロシアもついでに言うならトランプのアメリカも笑えない恐怖の独裁政治やってんじゃないかと怒るはずが、もうどこやらこっちも麻痺してしまって、せめてポケットマネーでやれよな公費つぎこんでるんじゃないよなと、とっさにしょうもない水準でムカついたのが自分でも情けない。でも、どっちを先に聞いたのだったか忘れたが、その同じころ耳にした、石破首相が国会図書館で数時間本を読んでいたと知った自民党議員が「のんきすぎだ」と批判したというのは、もう驚きや怒りを通り越して寒気を感じる。
もちろん自民党たって、そんな議員ばかりではまさかあるまいが、コンビニでエロ雑誌を立ち読みしてたのではあるまいし、国会図書館で読書していたのを「のんき」と感じる感覚の議員が、たとえ一人でも二人でもいたとしたら、それは本当にショックだ。なるほど学術会議を骨抜きにしたり大学の予算を削りまくったりするわけだ。悪意というよりもう、何をしているかきっとわからないんだろう。
ネットでは、自分の気に入らない投稿に、ときどき「あんたは外国人じゃないか」という差別意識をにじませて、「字が読めるのか」みたいなコメントをするしょうもない人が多いが、もしかして自民党の議員って、本が読めなくなってる人もいるんじゃないのか。日本語でも。
昔、共産党の議員が(今でもまあそうだろうが)おしなべてお金がないもんだから、趣味を聞かれると「読書と散歩」が圧倒的に多いのよね、と母が笑っていた。参加した会合や旅行でも、そういった野党議員やその支持者たちが、つましくて地味で倹約家なのを、時にはちょっと嘆きつつ、心から感心もしていた。
それはきっと今でも変わっていなくて、共産党の議員たちは目もくらむほど本を読んでる印象がある。少し前の国会中継で、共産党の小池さんだっけが、石破首相の書いた本のあっちこっちを引用して、矛盾や変化を指摘していた。「ていねいに読んでいただきまして」と答弁のときに首相は言って、議場には笑いが広がっていたが、あれひょっとして首相は皮肉だけじゃなく、かなりうれしかったんじゃないか。私が首相なら、国会図書館で読書してるのを「のんき」となじる仲間より、自分の著書を細かく読んで、理解して使いこなしてる敵の方がよっぽど好きになると思う、知らんけど。
今朝のNHKの番組に久しぶりに加賀まりこが出てた。81歳とかだったが、あいかわらず危険な美しさがあった。トランプのことを世界に迷惑をかけてるバカなおじさん呼ばわりして、いいかげんにそういうことはやめてほしいと言ってたのも、さすがだなと思った。
それに比べりゃ数日前のワイドショーで司会者が、トランプの関税を日本に対してはどうかしてくれないだろうかと言っていて、「だって日本とアメリカって、これまでの関係の深さって、もう家族みたいな親子みたいなもんでしょう」と、ためらいもなく心から信じる口調で言ったのには、あちゃー、これもうアメリカ国民以上の、それこそのんきさだが、もしかしてこれが今の日本のたいがいの人の皮膚感覚かと思ったら、げんなりがっくりおぞましかった。誰かが「親子とかより主人と家来ですよ」と言っていたのが耳に入って、それがせめての慰めだった。
先日ちょっと珍しい紫と白のチューリップ(フレミングフラッグ)があって、薄いピンクのガーベラ(ココモ)や、ふしぎな色のラナンキュラス(ポンポンハーマイオ)といっしょに買った。かの、やる気のない猫のイワンコフくんみたいな、ものうい雰囲気が、これもまた春だなって思わせる。