夜ふけのスーパー
最近マッサージを夜に行くようにしたものですから、帰りのスーパーでの買い物は閉店ぎりぎりになりがちです。そうすると、おかずパックも刺し身もろくなのが残ってないどころかまったく何もなかったりするのですが、たまに残っていると、目の玉も引っ込むほど(笑)安くなっていて、おにぎりも海老天もまるっと半額、爆買いしても、えっと言うぐらいの金額の少なさで、定価で買うのがバカバカしくなるほど。
今朝はそのおにぎりをかじって朝食をすませ、朝ドラ「あんぱん」を見ていたらヒロインの家(石屋さん)で働いていた好青年の「豪ちゃん」の戦死公報が届いて、ネットは「会社に行く気がしなくなった」「戦争は絶対いや」との声があふれている。祖父役の吉田剛太郎が握りしめていた公報のはがきの画面が写ってなかったから戦死じゃなくて行方不明とかじゃなかろかと、私があきらめ悪く考えていたら、ネットではもっと具体的に、「誰かが豪ちゃんの荷物を盗んで、豪ちゃんは足が遅いから(そういう設定になってた)追いつけず、その盗んだ人が死んで、荷物の名前から豪ちゃんとまちがわれたとかじゃないか」と考えてたりしてる人がいて、笑いながらも切なかった。
ヒロインの妹が豪ちゃんと愛し合ってて、彼の帰る日をカレンダーで毎日確認し、壁にかけてた彼の仕事着の法被を、時々そっとなでていたのも皆の涙を誘っていた。前にも書いたが叔父(板坂元)が学徒出陣で入隊したとき、兵営まで送っていった祖母が、あとで壁にかかっていた叔父の服を人知れず黙って何度もなでていたのを見たと、母が私に話したことがある。叔父は末っ子の甘えん坊で、母や姉(祖母や母)の秘蔵っ子だった。幸い無事に帰って来て、戦後はアメリカの大学に勤め、たしか家族もアメリカ国籍を得て八十二歳で亡くなって墓もアメリカにある。私はその話を母に聞いてから、多分叔父の服がかかっていたであろう、座敷のふすまの上の黒ずんだフックを時々見上げた。無口で優雅で涙ひとつ見せなかった祖母の、ほっそりした姿が、そこで叔父の服に触れているのが見えるような気がした。その幻のような思い出が、「あんぱん」のしっかり者でけなげな次女の、豪ちゃんのはっぴをなでる姿に重なってしかたがなかった。叔父が帰って来たのだから何となく豪ちゃんも帰って来るような気がしていたが甘かったか。
今日はめちゃくちゃ暑くなるらしい。今から水まきして来ます。写真は叔母の命日に仏間に飾ったバラですが、何だか日に日に大きくなります(笑)。