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暴れ鯉たち

今日から大雨らしいと天気予報が脅かしてたが、一日ずれて、明日から雨になるらしい。どんよりしながらも今日はいいお天気だった。何度か雨に濡らしたので、そろそろと思ってさっき、鯉のぼりを片づけた。
 去年とほぼ同じ所にとりつけたつもりだったが、微妙に向きがちがったのか、今年はまた別の動きを見せた鯉たちは、一言で言うと荒っぽく勢いよくうねりまくって連日風に乗っていた。風車の方は何だか去年ほどくるくる回らず、錆びたかどうかしたのかしらと時々つっついて見たが、別にそうでもなかったようだ。

さんざん迷ったあげくのはてに、執筆を打診されていた原稿をひとつ、今日断った。これまでの人生で敵に後ろをみせたことなど多分ないし、幸福の女神の前髪をひっつかまないで彼女の後ろ姿を見送っている気分だが、まあこれからの人生を考えたら、これが多分正しい選択と思うしかない。

さっきコミック「大奥」を読み上げたのだが、最後まで満足の行く力作でいろいろ教えられることも多かった。しかし歴代の女将軍というか要するに施政のトップにいる者が命を削って国や民や未来のためにとことんあがきつくして命を燃やし尽くすのに、感動し共感はしても、私はそうはなるまいと子どもや若いころから、いつもどこかで決意していたと、あらためて感じもした。役者や芸術家が自分の仕事に最後まですべてを捧げて死ぬのも、私はあまり感心しなかった。なるべく早く身を引いて一人で生きていたかった。そんなこと言いながら、気がつけば八十近くなってまだ授業とかしてるのだから世話ないけど。若いころの私が今の自分を見たら、何をまあその年になって若い人にものを教えたりしてるんだと、きっとバカにするだろう。

さしあたり、家を片づけないとなあ。昔の同僚にいただいたお洒落な本を、こんな散らかった中で読みたくない。一度ようやく時間を作ってお菓子とお茶を持って庭の木陰で読み始めたのだが、最初のハイネの詩についての章を読みふけっていたら、雨がぱらついて来て家に戻らなくてはならず、まだ先を読めてない。非常にくやしい。どこか、かたすみでもいいから、快適な場所を作らないといけない。

朝ドラ「あんぱん」が、なかなか面白い。面白いというか、ヒロインが軍国少女になって行くのが、実に自然でうまいよなあ。彼女のような性格なら「何かできることをしなくちゃ」と思うのも無理がないし、パワフルで人を巻き込むのも絶対そうなるだろうし、それが時勢にあってもてはやされたら、ますますやりがいを感じてがんばるのも、何から何まで「そうなるよなあ」と深くうなずいてしまう。事実を調べてそれをちゃんと描けばそうなるんだろうが、それにしてもうまいよ、脚本。マンガについての説明のなさはやっぱり気にはなるんだけどさ。

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カツジ猫