無人島
九十何歳のおばあさんが畑仕事してて熱中症でぶっ倒れて死ぬ、ってニュース、ものすごくよくわかる。畑でも庭でも草取りとかしはじめたら、絶対にやめられなくなるのよ。もう少し、もう少し、ほらもうちょっとそこまで、と言いながら、どんどん前に進んでしまう。あの誘惑に堪えられる人ってほんと、少ないと思う。
今も戸外は地獄の釜のようだけど、同じ庭が、朝は涼しいのよ。そよそよ風が吹いたりなんかして別世界のようで、いつまでも仕事を続けたくなるのよ。朝ドラ「あんぱん」を見るのに戻って来るようにしてるから、かろうじて助かってるけど、そうじゃなかったら絶対に私も草の中でのびているだろうよ。
その「あんぱん」だが、果たして津田健次郎の上司がいい味を出している。もうちょっとやりすぎると大げさで暑苦しくなるところを、きちっととめて来るのがさすが。その昔いた、良心的で行動的ではちゃめちゃで正義感あふれて少々疲れてだらしないジャーナリストの、たのもしさとかわいらしさと危なっかしさが、とてもよく生身で再現されている。
こんな人はきっと仕事に打ちこんで家庭もかえりみないで、定年後はぬけがらになって、奥さんから離婚されて淋しい老後を送るのではないかしら、とそんなことまで連想してしまう。そして、仕事一途の猛烈社員で停年離婚されるような、多くの男性たちのことが、妙にいとしく哀しくなってくる。そんな人たちが、今の社会を作ったし民主主義も支えてきたんだよねえ、とかまで考えたりする。私は過去をなつかしまない。現在と未来にも絶望しない。でも、戦後から今までの時間の中で、消えたものや失われたものも、やっぱりあったのだと思う。そういうことを感じさせる雰囲気や実体を、あのたたずまいは伝えて来る。
そんな中、ほんのちょっとだけ草をとって見た目をよくした庭の一角をお見せします。何だか何が恥ずかしいのかどうなのか、もうわからなくなって来た。
ここにあちこち、派手な色の安い花とか植えて、当座の目くらましにしたいのですよ。でも、そんなことより今はとにかく、草取りにはげむべきかしらん。
また超しょうもないことを書きますが、少し前に紹介した、ソフトバンクホークスに新しく来た秋広選手の、無人島に誰を連れて行くかってインタビューの動画。見直してると、何も考えてないようで、意外と的確に話題にする人を選んでいるような気がしてきた。けっこう考え深いのかも(多分ちがう)。