育ちまくり
すっかり葉が落ちてしまって、ひょっとしたら枯れたのではとやきもきしていたキナモチの木(もはや巨木である)が、いっぱいに若葉をつけて、心の底からほっとした。愛猫の故キャラメルとミルクが二歳の時にエイズとわかって、金網の小屋の中で飼うことにして、かわいそうだから登るのに木を買ってやろうと思って植えた木で、私の背よりちょっと高いぐらいしかなかったのじゃないかと思う。それからもはや二十五年、二匹はその後も元気で生きたがキャラは八歳で白血病になって亡くなり、ミルクも田舎の母の家に預けていた間に行方不明になり、金網の小屋も撤去して、この木だけが今は三倍ぐらいの高さになっている。鳥が巣を作っていたこともあり、夏はセミがとまる。もうシルバーさんや私では無理だから、植木屋さんを見つけて枝を落としてもらわねばと思うが、その前に周囲をきれいにしなくちゃなあ。
それはいいけど、玄関前の緋玉マユミも恐ろしい勢いで育ち、これは私でもまだ刈り込めるのだが、小さい実をもういっぱいにつけていて、これが赤くなってきれいなのを見てからと、つい先延ばしにしてしまう。この心理は危ない。そのへんのキンモクセイも、毎年やわらかい若芽がきれいなのでながめていたら、たちまちずんっ!と大きくなってひどいことになる。それはさすがに毎年早めに切っていたのだが、今年はうっかり放置していて、ものすごく茂り、上の家の玄関前にはみ出して、洗濯物も干しに行きにくい。至急何とかしなくちゃなあ。
この前の雨模様の日に、切り取って庭に投げ出していたジャスミンも少し拾ってきて家に飾った。もう花瓶をみつけるのもめんどくて、透明のパックに突っ込んだが、元気にしている。花はまだつぼみのまま、何とか咲いてくれないかしらん。
庭のバラはまだ虫だか病気だかにやられかけたのが復活してない気配もあって、せいぜい薬をかけまくっている。かなり元気になってきて、あちこちでつぼみをつけはじめた。これもその一つで、適当に切った枝を挿しておいたのが根づいたやつの一つ。バラって挿しておくと、かなりの確率で根づいてくれるのが、ありがたいけど、どこまでも増えそうでちと恐い。
それに、サルスベリも、また小さな苗木が二つほど育っていて、去年だっけ奥庭に植え替えてやったのも、順調に育ってるのだが、この人たちって、どうやって増えるの? 何もしていないのに。このままではサルスベリの林ができてしまう。しかもこれって、かなり巨大になるはずなのよね。どうしよう。もう引っこ抜いて捨てるべきなんだろうか。どっかに売りに行きたいぐらいだ。
てなわけで、毎日庭と格闘している。今日はクリーニングを引き取りがてら、残りの冬物も出しに行ったらまた二万円ほどかかった。ぎゃあ。
こうなるのがいやだから、毎年着る服は選んで、四軍まであるどっかのプロ野球チームみたいにローテーションさせているのだが、この年になると、ああ来年は生きてるかどうかわからないし、早く着ておいてやらなければと思うから、ついつい全部着ようとしてしまい、結果としてこんなことになる。人にさしあげるなり何なりして、ちょっと考えないとなあ。