都議選やら蝦夷紀行やら
都議選の結果、参政党が議席を取ったのはとことん不愉快だし、国民民主もうっとうしいし、都民ファーストが伸びたのもゆううつだ。共産党が議席を減らしたのも党としては想定内だったのかもしれないがやっぱり残念で不安だ。れいわと社民党が届かなかったのも。
しかし石丸氏の新党「国民の道」と維新がゼロになったのは、おつりが来ないまでも、つくづくほっとする。投票率がわずかながら上がったのも、いい兆しだ。公明党が全員当選しなかったのもまあいいか。
何しろこの結果では、あきらめるのはまだ早いし、ますます油断はできないし、気をひきしめて行くしかなさそう。
集中講義、学生の小レポートを読み直していたら、何となく私のでっちあげた黄表紙もどきを見て、ほっとして「書いてみようかな」という気になってる学生が多くて、笑う。それなりの役割は果たしたっていうとこかな。「どんなものか、具体的にわかった」「外国ネタでもいいのだとわかって安心した」「これなら自分も書いてみたい」「絵が得意なので挑戦したい」などなど。楽しんでくれるといいが。
ただ少々心配なのは、彼らがばりばりの最新サブカルチャーを題材にして来たら、私には面白さが理解できないのじゃないかということ。「鬼滅の刃」と「呪術廻戦」のないまぜなんてやって来られたら、どこまでネタがわかるんだろう。「使った出典を書いておいて」「注釈をつけておいて」と要求しといてもよかったし、きっと嬉々としてつけてくれそうな気もするが、何だかそれもくやしいのよね。どうしようかしら。昔なら、この機会にそういう作品を全部読破しちゃろかとか思うのだけど、さすがにそんな時間も金も今はないし。
大河「べらぼう」は、ますます豪華にしかもテンポが早まって、主役の蔦重は見違えるほどしたたかな顔つきになりつつ、昔の若々しさとおっちょこちょいはきちんと残しているのがみごとだし、安達祐実だのえなりかずきだの、達者な役者なのに何だかイメージが固定して、ちまちま古びて行ってたような人たちが、思いがけない役を得て、水を得た魚のように、ぴちぴち生き生きしているのが、こちらも楽しくて笑ってしまう。先日、大学時代の友人と電話で話したとき、彼女が「私も見ていて面白いけど、あんたなんか、知ってる名前がぞろぞろ出て来て、こたえられんだろ」と言った。「専門分野じゃないから、あまり詳しくはないけど、おなじみの名前が、しらっと肉体や肉声で出て来るのは、まあ楽しくはあるわな」と答えた。もっと詳しい研究者たちは、いっそ不満や不足もあるのかもしれないけど。
そして最近、松前と蝦夷がクローズアップされてるのも、気持ちがどよめく。江戸紀行の歴史に蝦夷ものは重要な役割を持っていて、長編の名作も多い。にわか勉強で蝦夷の歴史も調べたし、北海道にも何度も行った。その時に衝動買いした木彫りの大熊が今も家の守護神のように、居間の一角に鎮座している(笑)。
出版社の代替わりなどで中断してしまった「近世紀行文集成」のシリーズの「蝦夷編」は、それなりに面白い内容だと思うのだが、これを機会に売れないかしら(笑)。まだたしか書庫には少しは余っていますので、ご希望があれば着払いでお分けいたします。国書刊行会の「叢書江戸文庫」の「近世紀行集成」にも、遠山の金さんのお父さんの紀行が入っていて、これは私も手持ちがないのですが、めちゃくちゃ面白いですから、古本でもどうぞお読みになって下さい。