「金時計文庫」 の紹介

最近の学生は貧しいから、千円程度の文庫や新書でも教科書として買わせると負担が大きい。かと言って、毎回資料をコピーして配布しても手間と時間がかかりすぎる。

せめて五百円で買えるパンフレットかブックレットのような教科書が作れないかと考えた結果、理解ある印刷所に協力していただいて、五百円のテキストを使用するようになった。

これは、いずれも、そうやって作った本である。最新の二冊については、宗像在住の小宮猛さんの画を表紙に使わせていただいている。

レポートを書く前に

  • 「つまらない内容ですが」などの断りは、少しは自信がある時に書くものです。
  • まちがいが、はっきりわかる演習をしてください。
  • あなたの研究の成果が世界を不幸にしても人類を危機にさらしても気にする必要はありません。
  • 若い人たちが、こんなに安く、立派な全集を買える時代はこれまでありませんでした。

目次

  1. レポートを書く前に
  2. 卒論を書く前に
  3. 演習をする前に
  4. 江戸時代紀行の研究方法について
  5. 江戸時代紀行に関する参考文献について

集団内の役割分担

  • 中公新書「平家物語」で紹介した「本命・アナ馬・対抗馬」図式を詳しく説明。
  • 聖書・論語・騎士物語・童話・アニメ・時代劇・ファンタジー、そして、あなたの周囲の人間関係を新しい目で読み解き、見直す手がかりに。
  • 「銀魂」「じゃりン子チエ」を分析した学生のレポートも収録。

目次

  1. 文学作品の人物描写
  2. 集団内の役割分担(本命・アナ馬・対抗馬)

食事の前には読めない本

頭をかきまわそう。心をかきみだそう。

目次

  1. この世に醜いものはない
  2. 笑いそこなった男
  3. 羞恥心との関係
  4. 拒否感の原因
  5. 書けますか、こんなこと?
  6. おわりに
  7. 附録 悪の造形/恐怖小説について

小説ができるまで

書くことも読むことも、恥ずかしい、恐ろしいこと。
そのどちらにも、どこかに魔力があり、毒がある。

目次

  1. 《文学を書いた人々》
  2. どのようにして作家は書くか?
  3. 作家はどういう時に書こうと決意するのか?
  4. 書いたものを守るか?
  5. どういう時に作家は書くのをやめるか?
  6. どんな時、作家は自分がいやになるか?
  1. 《文学をよんだ人々》
  2. 読書三昧
  3. ページのまわり
  4. 読者から作者へ

たどりつく話

「たどりつく」ということばから、あなたは何を連想しますか?

目次

  1. 授業報告「たどりつく話」
  2. ことば、ことば、ことば
  3. 男と女のことば

文学は役にたちますか?

  • 「●」は文学と言えるのか?
  • 「注文の多い料理店」の山猫の気持ちは?
  • 「一杯のかけそば」がフィクションだったらいけないか?
  • 小説の主人公とあなたの年の差は

目次

  1. 文学は役にたちますか?
  2. これでも文学?(文学の定義)
  3. 年齢の問題(文学と時間)
  4. 草の上の紙きれ(文学とその背景)

あらあら江戸文学史

大学での授業のテキストです。江戸時代が中心ですが、源氏物語や平家物語の話も出ます。「あらあら」は粗々でもあって、文学史全体の流れや背景をつかんでもらって、もっと詳しい本を読むときの手がかりにしてほしい。

目次

  1. 西鶴の世界
  2. 俳諧のルール
  3. 松尾芭蕉の生涯
  4. 西山宗因と談林派
  5. 近松の浄瑠璃(一)
  6. 近松の浄瑠璃(二)
  7. 「忠臣蔵」ができるまで
  8. 「助六」と曽我物語
  9. 「雨月物語」と「椿説弓張月」
  10. 「偐紫田舎源氏」と源氏物語

ぬれぎぬと文学 2018

歌舞伎の代表作三つをとりあげ、そこに登場する「ぬれぎぬ」について、外国文学、近代文学などとも比較しながら考える。

目次

  1. 「アリバイ・アイク」症候群と三つのぬれぎぬ
  2. 予期せぬぬれぎぬ
  3. 覚悟のぬれぎぬ
  4. 怒りのぬれぎぬ
  5. 死刑台と玉座

江戸文学史やわ

「国文学史」の授業用に作った「あらあら江戸文学史」が、残り少なくなったので、いくつか記事を差し替えて、改訂版を作りました。コラムも少し増やしています。「やわ」は「夜話」でもありますので、読み物としてもお楽しみ下さい。

「あらあら江戸文学史」と重複する内容もありますが、両方合わせてお読みいただけると幸いです。

なお、実際の紙本では、55ページ「✕おせん→○おさん」、75ページ「✕それにして→○それにしても」の誤植があります。お手数ですが、ご訂正下さい。

(2021.11.19.)

情けあるおのこ

この本は、古典文学をどのように現代に活かすかという試みもかねて、「古典文学講義A」のテキストとして作りました。

しかし、同時にこれは、私が幼少期から抱えていた、「あなたは恵まれている」「あなたは強い」と言われて何かを要求されたとき、人はどう生きたらいいのかという課題への、自分なりの解答でもあります。

私たちはよく思いがけず、他者に何かを要求されます。本文中から引用すれば、

具体的にはそれは、介護しなければならなくなった老親だったり、経済的に行きづまって援助を求めてきた親族だったり、相談に乗ってくれと毎晩電話をかけてくる友人だったり、PTAや地域の役員になってほしいという懇願だったり、飢えている遠い国の人々への寄付の依頼だったり、門口に捨てられていた子猫だったり、何かに抗議する署名だったり、恵まれない人を救うためにもっと税金を払えという通達だったり、更にもう、そんなはっきりわかるようなものでなくても、誰かからどこかから、自分の幸福や満足がうらやましそうに見られているのではないかという、ただもう漠然とした不快感や危機感だ。

そういう意味では、この本の内容は、今ちまたで何かと問題になっている、強者と弱者、格差といったことにも大きく関わります。女性問題ともつながっています。

さまざまに危険な発言、不穏な見解もありますが、そういったことも含めて、お楽しみいただければ幸いです。

なお、このテキストを使った授業の関係資料を加えた増補版を、近く電子書籍として発売する予定です。画像も大幅に増やします。ご期待ください。

(2021.11.19.)

カツジ猫