湖よりも沼が好き
あたたかくって、得体が知れない
落ち葉も、桜の花びらも、
そう簡単には、沈まない
そう簡単には、流れない
とろりと広がる泥の上
まわりの景色も、星空も、
ゆれたりしないで、よく映る
たまには、ぽこりと泡がわき、
蓮が、つぼみをふくらます
湖よりも沼が好き
はにかんでいて、頼もしい
「研究の沼」へようこそ
専門の日本近世文学に関する論文、論文未満の覚書、メモの類も入っています。これは私の本職で、これで給料をもらって生きてきた、一番大事な分野のはずが、意外と量が少ないのが、ちょっと残念です。
それでも、これは私にとっても、このホームページにとっても、やっぱり中心だし、基盤です。
ぶっちゃけ、この世界があって、これで生活を支えていくことができたから、私は「空想の森」の世界を築けたし、そこで自分を解放できたのです。
言ってみれば、黙ってこつこつ働いて、私の夢や空想を養い育ててくれた、配偶者や家族や友人のような存在です。ゴッホの弟テオとか、マルクスの友人エンゲルスとか。
もしかしたら私は、この分野に師弟や同僚や先輩後輩の多くのような全身全霊での愛や情熱は注げなかったかもしれない。
けれど、だからこそ、常に変わらぬ感謝と敬意をこめて、せいいっぱいの良心と責任感をもって向き合い、尽くして来たとも断言できます。
内容は、江戸紀行に関するものが多いですが、「平家物語」や「八犬伝」に関するものも少しあります。なお、「論文一覧」以降に書いた論文等は、「近世紀行文紹介」の中に入っています。
江戸紀行備忘録
書庫に山のようにある、江戸紀行のコピーのファイル、このままだと私の死後は、ただのごみの山なので、ラベルをはるぐらいの感覚で、メモを残しておくことにしました。
興味のある方はご自由に、もっと詳しく調べて下さい。
一般の方が気軽に読めるように、もうちょっときれいにまとめたシリーズを、その内に作りたいと思っています。
なお、これ以前の同様のメモは、他のコーナーにもありますので、そちらもごらん下さい。
近世文学研究「かしおぺあ」
大学に勤めていたころ、卒業論文で黄表紙をテーマにした学生たちと、作った小冊子です。表紙を描いたのも、学生の一人です。
私の研究室には珍しい、上品で優等生の良家の子女を絵に描いたような女子学生ばかりだったのですが、勉強熱心だったあまり、翻刻と註釈付けの作業に熱中していた彼女たちは、夢中になって、「だから、たぬきの✕✕は」「でも✕✕は八畳敷なんだから」と熱心に声を高めて討論していて、放送禁止用語を使っていることなど、最後まで誰もまったく気がつきませんでした。私も知らないふりをしていました。
それはさておき、ごらんになれば、黄表紙とはどんなものか、少しわかっていただけるのではないかと思います。どうぞ、お楽しみ下さい。
なお、より快適に楽しく読んでいただくために、猫のカツジが思いがけない人物と、画面の操作法をこちら「読書ページの機能ご紹介」でご案内します!
東遊雑記
「おくのほそ道」と並んで、よく知られていた江戸紀行の代表作「東遊雑記」は、いろんな全集で活字になっていて読めるが、実はそのもとのかたちではないかと思われる、貴重な「原・東遊雑記」は、まだ活字になったことはなく、存在さえもほとんど知られていない。
少しでも、そのことを多くの人に知っていただきたい。
どこかの出版社や研究者が、活字にしてくれたら、大歓迎です。
「ガイア」論文
文学研究誌「ガイア」に収録した私の論文です。
- 「好色五人女」の女主従
- (1)
- 「傾城水滸伝」覚書
- (21)
- 女流紀行「藻屑」について
- (59)
- 翻刻「藻屑」上
- (75)
- 翻刻「藻屑」下
- (88)
- 楽しいお仕事
- (111)
- 翻刻「白河夫人道之記」
- (138)
- 翻刻「伊藤みほ子紀行」
- (148)
- 土屋斐子「和泉日記」の魅力
- (168)
※ページ番号は本文下部ではなくPDFのページ番号です。
板坂耀子 論文一覧
※青色タイトルは、新しく追加した論文になります。
- 1972年 貝原益軒の紀行文─その製作状況と個々の作品について
- 1974年 井手恒雄著「中世の文芸・非文芸」
- 1975年 名所図会類の風景描写
- 1975年 近世紀行文の「笑い」
- 1976年 近世女流紀行文学の性格
- 1976年 資料翻刻「[江ノ島詣]」
- 1976年 清源院軌子の紀行文
- 1976年 東京大学南葵文庫本「東遊雑記」の性格
- 1977年 資料翻刻「海辺秋色」
- 1979年 貝原益軒と紀行文
- 1979年 資料翻刻「青葉山路」
- 1979年 古松軒の林子平批判
- 1980年 翻刻「花見の日記」
- 1980年 翻刻「芳野記行」
- 1982年 玉葛の跡─本居宣長「菅笠日記」に見る─古典研究者像
- 1983年 翻刻「太宰府紀行」
- 1983年 貝原家蔵「東路記」の変容
- 1983年 翻刻「花見の日記」(続き)
- 1983年 翻刻「花見の日記」(終り)
- 1984年 郷土資料二点─「膝打毛」初編と「筑紫富士夢物語」
- 1984年 渋江長伯「官遊紀勝」について─紀行と遊覧記の合体
- 1985年 遠山景晋「未曽有記」について─蝦夷紀行がもたらしたもの
- 1985年 近世紀行文学の要素
- 1985年 「己己紀行」の場合
- 1986年 「所歴日記」の伝承記事
- 1986年 近世東海道紀行の諸問題
- 1986年 九州紀行小考
- 1986年 公旅紀行について
- 1987年 山の紀行
- 1987年 重盛像の変遷
- 1987年 蝦夷紀行概見
- 1988年 「筑紫道草」を読む
- 1988年 都市を描く
- 1989年 「採薬記」の世界
- 1989年 知盛の位置
- 1989年 島の生活
- 1989年 近世紀行文のなかで
- 1990年 「天石笛之記」が描く平田篤胤
- 1990年 花の紀行
- 1990年 近世紀行文紹介─その一
- 1990年 近世紀行文紹介─その二
- 1990年 近世紀行文紹介─その四
- 1991年 近世紀行文紹介─その三
- 1991年 仙郷への旅
- 1992年 近世紀行文紹介─その五
- 1993年 近世紀行文紹介─その六(温泉紀行の部)
- 1994年 近世紀行文紹介─その七(山岳紀行の部)
- 1995年 近世紀行文紹介─その八(東北・北陸紀行の部)
- 1996年 近世紀行の存在(近世・ジャンルの越境)
- 1996年 近世紀行文紹介─その九(九州紀行の部)
- 1996年 佐藤信淵の九州紀行
- 1996年 近世紀行の存在
- 1997年 日柳燕石の「旅の恥かき捨ての日記」について
- 2000年 金沢千秋「川めぐり日記」を読む
- 2001年 翻刻「川めぐり日記」(上)
- 2001年 翻刻「諸国奇談-東遊奇談」
- 2002年 花も団子もある街道-東海道の名所と江戸の戯
- 2003年 吉田桃樹「槃游余録」について
- 2003年 翻刻「川めぐり日記」(下)
- 2003年 はじめに
- 2004年 「八丈志」について
- 2004年 新美南吉「手ぶくろを買いに」の母ぎつねに
- 2005年 「富士の道の記」について
- 2008年 「南総里見八犬伝」は民衆をどう描いたか
- 2008年 八犬土の描きわけ
- 2010年 小津久足の紀行文
- 2010年 近世紀行研究法
- 2014年 案内記と奇談集-江戸時代の紀行における写本
- 2016年 翻刻・山本清渓「熱海紀行」
- 2017年 江戸紀行が描く熱海