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のろまな台風。

◇台風はまだ海上でうろうろしているらしく、今朝も焼けつくように暑い。朝からざぶざぶ水をまいた。うっかり植え替えたら、へたってしまって、しまったと思っていた里芋か何かが新しい葉を出し、虫に食われてご臨終あそばしたと思った二本のバジルも小さい葉っぱをつけ始めている。13年前、亡くなった叔母の家のベランダから持ってきて、ときどき滅びそうになるピンクの花も、草をとってやったら、さっそく一輪、お礼のような小さなつぼみをつけている。

◇先日コーラ豚の料理を作っているとき、仕事をしてたら、焦げつかせてしまった。料理は無事に食べられたし、本当にあと数十秒早ければ何てことなかったのにと、黒こげのなべ底を見ながらため息をつき、まだしも仕事をしてる時でよかった、パソコンゲームでもしてる時だったらもっと落ちこんだだろうとか、豚をおいしく食べてしまって、焦げついた鍋だけ残るのはいやだなあとか思いながら、毎日せっせと磨いていたら、こわごわつけたクレンザーが効いたのか、昨日ぺらっと全部きれいに、焦げつきがとれてしまって、鍋はめでたく元に戻った。

これは今ではもうなくなってるイマンというメーカーのホウロウ鍋で、かわいい花模様が入っている。他にも鍋やコップを持ってるが、雑然と台所を散らかしていても、きれいなのであまりみっともなく見えない。この鍋はもうこの家を建てて以来五年間、使いまくっている戦友みたいな存在で、無事にもとに戻ったのはありがたい。

◇昨日は福岡教育大学で、松田正久先生の平和と憲法についての講演会に行った。内容の濃い、立派な講演で、聞いていた大学の先生の一人が「こういう話を聞くと、ああこれがまともな世界なんだと思い出す」と述懐していたのが印象的だった。
その後の交流会でも、昔のいろんな同僚と会って近況を聞いた。うれしかったのは、以前一度学長をされたことがある、立派な先生が来年停年で、田舎で奥さんと農業をする予定と楽しそうに語っておられたことだった。広い農地を確保して、ゴーカートみたいな草刈機も購入したそうだ。遊びに行ったら乗せてくれると約束してくれた。
ちなみに、その草刈機の名前は「草刈正雄」と言って、本人もCMに出ているらしい。草刈正雄も製造会社も、いい仕事してるやんけ。

別のまじめな先生は、学生が私の授業の話をしていて、出席を取らないから出ないと言ってたから、出席を取られた方がいいですよと教えてくれた。
「いやー、出席は授業の最後に出させる小レポートで確認して、試験の結果にも反映させてますよ。出席取ると代返するのがいやなんですよ。小レポートでも代筆するやつがいるけど、それは文体その他でほぼ完璧にチェックして減点対象にできるし」で、とめときゃよかったのだが、ついまた口がすべって「それでも何とかごまかして出席せずに単位を取りたいのなら、それはそれでけっこう。たとえ単位がとれたとしても、私の授業に出ないで私の話を聞かなかったのは、その学生にとってものすごく大きな損失だと思うけど、そこまでして他にもっと役に立つ、自分のためになることに時間を使いたかったのだったら、どうぞその間あなたのしたことに、それだけの価値と成果があるといいわよね、と言っとくだけです。人生何に時間を使うかなんて賭けですからねしょせんは」とか言ってしまいました(笑)。

まあ確実に授業に出席して聞いていたと確認できる人でも、いったい何聞いてたんかいと唖然とするレポート出してくる人もいるし、私自身も小中高と大学時代、授業をサボって好きなことして、それなりの成果を得たと思ってるし、ただその間に失ったものもまた大きかったと思ってる。それは私の人生をいびつにしてるだろうとは思ってる。でも、そういうことはもう、やってみないとわからないことですからね。本当に。

ただ何にせよ、こういう忠告をしてくれる先生がいることは、ありがたいし、うれしいことです。この年になると、自分にとって不愉快なことを聞かされる機会は本当に少なくなる。それをきちんと受けとめて自分の中で生かす力が自分に残っているかどうか、ためす機会も少なくなる。あえて、そういうことを伝えてくれる友人や家族や仲間を、いつも確保しておかないと私はすごく不安です。それが次第になくなってくるということは、だんだん周囲や世間から見限られているなという気しかしない。認知症の高齢者とか危険なサイコパスのように(あ、アホな独裁者のように、というのもあったっけ)。

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カツジ猫