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少女漫画「エリノア」

最近たまった本を一気読みしていて、トミヤマユキコ『少女マンガのブサイク女子考』も読みかけている。

美醜について女性(男性もだが)が、どのように苦しんだりそれなりの対策をするかを描いたたくさんの少女マンガを取り上げていて、まじめでていねいで正確な分析が、あっさりめで読みやすい構成とともに快い。

私自身がこのことについて、どう感じるか考えるかは、いずれまたゆっくり書くし、さしあたりは「ラフな格差論」の中の、あれこれやでも触れているけど、そんなことより何より、驚いたのは、中ほどで書かれている「エリノア」の話だった。

超絶醜い少女が仙女によって美しくなり、あこがれの王子と恋をするという、シンデレラみたいな設定で、だが最後は悲劇に終わる。作者の谷口ひとみは高校二年でこれを描き、少女フレンド新人賞に入選して掲載されたが、その後18歳で自殺(病死と報道されたようだ)。遺された作品はこれだけ。しかし、名作で、いろんな人の記憶に残っているらしい。

最初に書いたとおり、あっさりめの紹介なので、あらすじも絵も簡単にしか読めないのだが、その少ない絵柄と設定から、私の頭に「あの漫画では?」と強く記憶がよみがえった。

1966年の掲載、翌年の再掲。私は20歳の大学生だったことになる。どこでどうして読んだかは思い出せない。悲劇的な結末も忘れていた。ヒロインの醜さも、それほど印象に残らず衝撃的でもなかった。それでもしっかり覚えていたのは、作品全体の完成度というか、質の高さ、品の良さのようなものが、気持ちいい作品として、心に刻み込まれていたのだろう。

けれど、本当にその漫画かどうか、確信はなかった。ひとつ覚えていたのは、その少女が舞踏会に現れて、あまりの美しさで王子をはじめとした人々を魅了し、名前がわからないままに、カミ―リア(白椿)と呼ばれていたことだった。

思わずネットで検索して、あらすじその他を調べまくった。カミ―リアの文字はなかなか見つからなかったが、とうとう、引用されている部分に、その名が何度も出てきて、私の記憶にまちがいがなく、その漫画だとわかった。

ただ、それだけの話だけれど。
何だかずっとどきどきしている。

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カツジ猫