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鐘が鳴っている

長崎平和宣言を聞いている。さっきは鐘が鳴らされていた。11時2分。私の親族や家族の知人や友人も多く亡くなった、原爆投下の瞬間。「核抑止に依存していては核兵器をなくすことはできない」恐ろしいほどの決意と祈りがこもった長崎市長の声だ。

広島市長と同じく、明確な強烈なことばで彼は述べた。「日本政府は核兵器禁止会議にオブザーバーとしてでもまず参加せよ。一日も早くメンバーに加われ」と。遠慮も忖度もいっさいない、政府への正面からの要求だ。

こんなことばを、久しぶりに聞いた気がする。広島や長崎の市長をはじめとした人々が、核抑止論をのうのうぬけぬけと織り込んだG7の宣言に、どれだけ傷つき怒ったかが、ひしひしと伝わってくるようだ。これだけの怒りと決意を生み出したあの宣言の、悲しい効果と思うべきなのだろうか。

麻生太郎をはじめとした、愚かしい人たちの「戦う決意」を云々するおぞましいことばの数々を思う。今、岸田首相のビデオメッセージが流れている。空疎なことばのつぎはぎ細工。無難で無力な文句の羅列。台風で式典が縮小され、参加しないですんだことに、さぞかし肩の荷が下りたろう。市長や被爆者代表のことばを、せめてきちんと聞くのだろうか。ビデオをちゃんと見るのだろうか。
 解説者は「残念ながら前向きの提言はなかった」と明言した。核抑止論への批判がなかったのも残念だった、というようなことも言っていた。両市長の勇気ある発言のおかげで、核禁会議への評価と参加が、きちんと認知され報道もされるようになったのは、ありがたいことだ。

写真は、かつて原水禁世界大会に参加した母たちの写真。のぼりのほぼ真下の、小柄な女性が母です。

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カツジ猫