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急がないお月さま

なんかもう、暑すぎて、ひたすらいじけておりまする。
 それでも昨夜は、月が出てから水まきに出たら、庭の周囲(庭と区別ができないが)の草むらで、いっぱいに虫が鳴いてるような気がした。空耳だろうか。
 月は三日月が少し太っていた。秋の名月のきれいな写真をよくアップしてくれていた元同僚の先生や、広島カープのファンでお名前に月の文字が入っていたしっかり者で素敵だった入院仲間の女性を思い出す。皆もういなくなってしまわれて、月だけが空で勝手に太ったりやせたりしている。

その月だが、地域の方と読書会で読んでいる、江戸時代の地元の俳書、今は幕末の一冊を読んでいる。時代が近くなってるせいか、どの句もとてもわかりやすくて、面白い。あまりわかりやすいので、ひょっとしたら下手なんじゃないかと思ったりするぐらいだが、そう思わせて、なかなかあなどれない詩情がある。言葉遣いも着眼点も、平凡なようで鋭い。読めば読むほど、どこやら個人的に好きになる。そんな句の中に、

 澄遂(すみとげ)てからは急がず秋のつき

というのがあって、多分これは、秋のきれいな月は出て来るときはまだそうでもなくても、上空に上がるころには恐いぐらいに輝いて光り、それからはあまり動かずゆっくりと空をわたって行く、という観察なのだろうが、参加者の皆さんの評価が高かった。私も好きだが、理屈っぽいと思う人もいるかもしれない。でも、私は韻文学方面にはシロウトだから和歌も俳句も全然そんなに見てはいないけど、こんな表現や視点は他で見たことがないなあ。他にも、

 蜩(ひぐらし)や人は見えねど鍬(くわ)の音
  竹窓を咲(さき)ふさぎけり梅の花
  元日や入日(いりひ)見てさへ朝ごころ
  詠(ながめ)るとなく見て居るや春の山
  手にのせて見れば冷たし朝の花

とか、どうってことないんですけど、じゃあ詠めるかと言ったら詠めないような、今の新聞の文芸欄に載っても、まるで違和感ないような妙な魅力があふれています。
 地元の皆さんは、いずれはというか、なるべく早く自費出版で本にしようとしておられますが、たしかに、こんな句集が作られていて、古文書のまま、誰も知らないっていうのはもったいなさすぎるよね。いろんな人に早く活字にして、読んでいただきたくなる。

写真は玄関前なのですが、花たちというより惨状ですね。何とかしなくちゃ(笑)。ちなみに枯れ枝の林立は買って来たバラやなんかの枝を挿してるので、みっともないのはわかってるけど、これでも十本か二十本にひとつは、ちゃんと根付いて育つので、なかなかやめられない。このピンクのバラなんかもその一つです。

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カツジ猫