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え、コケたの?

◇「メン・イン・キャット」の映画って、アメリカじゃ大コケだったのか。批評もさんざんだったらしい。そう聞くと弁護したくなるのだが、そんなに悪くないよ、この映画。いやそりゃ別に中身はどうってことないし、無難と言えば無難だが、決してそんなに悪い出来ではない。

何より私が安心したのは、冒頭1分の映像で、えっと、これで見られるのかなあ?

http://movies.yahoo.co.jp/movie/%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%83%E3%83%88/358243/trailer/?vid=136974

映画全体もそうなんですけど、猫の撮り方が正しい(笑)んですよ。この1分間の映像で私は、ああこれは安心して身をまかせられる猫映画だと信じることができました。単に私の好みにあっているだけかもしれないけど。でもネットでの猫マニアの人たちの好む写真や映像と私の好みはだいたい一致してるから、多分まちがってない。

猫の撮り方って難しいんですよ。私も猫好きって知ってる友人からいろんなグッズをもらうけど、その人自身が猫好きでないと、悲惨なほどに趣味に合わない。猫を扱った映画もそうで、アニメも含めて、何かちがうなってものが多いのです。

◇以前、猫のかわいい写真で作った絵葉書で、外国のお洒落な街角の家の入り口で、二匹の猫が向かい合って、まああいさつしてるような微笑ましい感じの一枚を見て、私は即座に、「あ、これ、けんかの直前だ」と言ったのですけど、絵葉書売ってたお店のスタッフは皆「えー」とまったく信用しませんでした。実は私、浅田真央選手がデビューしたばかりで飛ぶ鳥落とす勢いのとき、同じお店で「昨日、彼女の演技を初めて見たけど、何だか音楽とテンポが合ってないんじゃない?」と言って、そのときも「えー」とまるで無視されて、あげく「素人の人が見たらそう見えるんでしょうね」とまで言われたんですが、その時以来の相手にされなさでした(笑)。

浅田選手については私が正しかったかどうかわかりませんけど、その猫のハガキについては私は確信があります。とか、えらそうに言わなくても、ちょっと猫好きだったら誰でもわかる、あれは一触即発の緊張状態の猫の肢体と顔と耳です。しかし、そのハガキは明らかにかわいい幸福な感じに作られていて、私はちょっと舌打ちしたくなりました。

映画でも、ほとんどがそう。その昔の「ハリーとトント」も、老人と猫が主人公の名画ですが、私があんまり高く買わないのは、猫のしぐさや姿勢のひとつひとつが微妙に場面にそぐわなくて、多分俳優と猫もたがいにあまり好きじゃなかったんじゃないかな。無理に演技をさせていないのがわかるのは、かえって好感を持てますが、何しろ猫が全然それらしくなかった。だから私はあんまり動物映画や、特に猫が出る映画は見ないんですよ。もどかしくて、じりじりして、欲求不満になって、癒しどころの騒ぎじゃない。

◇「メン・イン・キャット」も、たしかにかなりCGを使って、猫にありえない身体の動きや演技をさせてます。でも、それは実写の部分と無理なくつながり、とにかく猫のひとつひとつのしぐさが、ちゃんと状況に合っている。それって、かなりものすごいことですよ。私は全然見ていて不快感や違和感を感じなかったし、あの気持ち悪いCGトラ映画を見て以来残っていた気分の悪さが、すっきり洗い流された感じさえしたもん。

2ちゃんねるのスレッドをさっきのぞいたら、「トムが中に入ってからずっと、しっぽをぶんぶん振っているのなんか、よっぽどの猫好きが作った感じ」とほめてる人がいて、そういうおぬしも、かなりの猫好きだなと思ったのですが、全体的にも、猫好きからの不満は出ていないようでした。まあ当然と思います。

そしてこれがアメリカで大コケだったとしたら、アメリカの猫好きなんて案外大したことないなと私は今バカにしているところです(笑)。この映画って、多分猫好きが見たらとても快い映画ですよ。それだけは絶対保障します。

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カツジ猫