1. TOP
  2. 岬のたき火
  3. 日記
  4. ふっくら

ふっくら

先日、ひっさしぶりに花屋さんで花を買った。忙しくてなかなか行けなかったのだ。紫のかわいい物静かな花だったのだが、どうしてか水揚げがうまく行かず、その日の内にしゅんとしおれてしまった。うっくと思って、でもあきらめられずに、茎を少し切って水を入れ替えておいてみたら、二日ほどしてみごとに復活。ふっくらと再び花がふくらんで、きれいに開いた。今も元気だ。やったね。大人しそうで、どこか華やかな、そのたたずまいがとてもいい。

あへあへしながら、何とかどうにか節分をすませた。いつも飾る鬼さんたちを一日だけだが飾ってやって、ご近所に遠慮しながら、夜更けにこそっと豆まきもした。だってさ、鬼をよそに行かせてるようで、気が引けるんだよね。残った豆をせっせと食べてる。おいしい。

恵方巻も欲しくなって(私が子どものころには、多分九州かいわいではまったくない風習だったので、あんまりこだわりもないのだが、やっぱりうまいんだよね)、売り切れない内にと朝早くスーパーに行ったら、そんなのは杞憂もいいとこで、クリスマスケーキどころじゃない、ものすごい量が山積みしてあった。二千円以上のぜいたくなのもあって、ちょっと食べてみたかったけど、普通のを一本買って帰った。ずっと前、ホークスの柳田選手が、何かの番組でこれ食べるとき、「去年と方角がちがう」と言って、皆に「毎年ちがうんだ」と教えられていたのなどを思い出しながら、ちゃんと西南西を向いて食べた。とてもいい味で、もう何本か買っときゃよかったと思ったぐらいだ。今日ひょっとして売れ残りとか出てないかなと思ってのぞいたが、さすがに影も形もなかった。なま物だからまあ当然だが、あの大量のが全部売れたのかしら、余ったのはどうなったのかしら。

猫のカツジが吐いてよごしたバスマットとか、分厚いものもいろいろ洗って、家事にいそしんだらバテてしまって、ドラマ「べらぼう」だの、映画「孤独のグルメ」だの、ミステリ『死はすぐそばに』の感想なんかもちっとも書けない。いらいらいら。

読書会のメンバーの奥さまは「べらぼう」のことを「蔦重のイメージがちがうから、嫌い」とおっしゃってたが(蔦重にイメージを抱くなんて、なにげにすごい)、私は特にイメージもなかったせいか、主役の横浜流星はわりと気に入っている。まっすぐでおっちょこちょいで、軽くてめげないからっとした感じが、なかなか江戸っ子めいてていい。それに比べて変にしなっとしたたかな平賀源内の雰囲気も、ねちっこくて悪くない。

前回で蔦重の出版した本の版権を横取りする地本問屋の大物たちに、視聴者がものすごく憤慨して怒りを爆発させて蔦重に共感同情感情移入してたのには、ちょっとこちらがびっくりした。「わかる」「よくある」と多くの人が言っていて、現実の業界ではどこでもこんなことが山ほどあるのだなあと、つくづく気づかされた。その悪役?の一人鶴屋喜右衛門さんの出版した滝沢馬琴の合巻「傾城水滸伝」が書庫にあったので、ちょっとご紹介。ただし、これはその鶴屋の版木を後に別の本屋が再版した「後刷(あとずり)」ではあるんですけどね。

もうだんだんトランプさんの顔を見るのも声を聞くのもいやになった。あれを今後数年見聞きしなきゃならないのは、つらいなあ。それに比べて石破首相の顔やしゃべりの方が、まだしも目や耳に優しい気がしてしまうのも困ったものだ。でも狂ってんのかボケてんのか生きてんのかと思うような答弁ばっかりしていた前任者たちほぼ三人に比べると、石破首相は一応人間として最低限の難しい話をちゃんと口にして対話ができているからな。ついつい点が甘くなる。

そう言えば、それこそ狂ってるのかボケてるのか立花なんちゃらとどっちかと言いたくなる岸和田市長が議会を解散した市議選では、共産党をはじめ市長反対派の議員がほぼ皆当選して市長は多分辞職しそうだ。ほっとしてたら誰かが「兵庫県知事の例もあるから、再選をねらって成功するかもしれないから油断してはいけない」とネットで書いてた。なるほどね。

埼玉の陥没事故の運転手さんはまだ救助されない。私は前の書き込みで、この人のことに触れて「小さな羊」の讃美歌を紹介したが、あの歌詞は「ちいさなひつじがむれをはなれ、あるひとおくへあそびにゆき」とはじまるから、ちょっと失礼だったかもしれない。陥没事故の運転手さんは遊びどころか家族や世の中のために、まじめにせっせと働いておられたのだから。
 状況から考えて助かる望みはとても薄い。それでも絶対あきらめたくない。亡くなってると認めたくない。どんなに無理でも最後まで奇跡が起こると信じていたい。でないとあんまりくやしすぎる。

Twitter Facebook
カツジ猫