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ほんとですよ。

◇カツジ猫も書いていますが(笑)、今朝の毎日新聞の猫ブーム特集は、ちょっとやそっとじゃなくひどかった。

https://mainichi.jp/articles/20180221/ddm/004/070/025000c

まあ私が「みなしご救援隊」さんのブログに入りびたってるからかもしれませんが、猫ブームなどとは何の関係もなく、去年の虐待事件が示すように、お粗末な動物愛護法のおかげで、ノラ猫たちは危険で苛酷な状況の中で毎日を過ごしています。

猫好きな有名人を何人か連れて来て「猫はカワイイ」の甘ったるい話を聞かされるのから、現状はずっと、よい方にも悪い方にも進んでいます。

みなしご救援隊が精力的に進めているTNR活動についても、猫虐待事件にショックを受けて動物愛護法の改定に努力しはじめた人たちの活動についても、この特集はかけらも触れていません。

被災時のペットの処遇や、殺処分の問題についても、まったくとりあげていない。
そして「猫はかわいい」「飼いやすい」「自由な生き方が魅力的」などの大合唱。そんなこと言うなら、いっぺん食べ物も寝る場所もないまま、極寒の夜や灼熱の昼をうろついて見ろ。あげくのはてに虐待好きの狂人につかまって、檻の中で熱湯あびせられて悶絶しながら死んでみろ。彼ら彼女らの暮らしが、自由でのんきでうらやましいとか言ってるあんたらの方が、よっぽどのんきでうらやましいわい。

いやまあ、引っぱり出された猫好きな有名人たちに罪はないですから、やつあたりしてもしかたないですけどね。せめて、虐待事件の裁判現場まで足を運んでコメントをした、杉本彩さん、ますむらひろしさん、みなしご救援隊の中谷さんあたりは、最低きちんと呼んだらどうなの。

◇それとも聞きたくないんですか。猫たちや動物たちの生活が、それだけ危険で苛酷なことなど。彼らはきれいで幸福でのんびりしてると、夢みて思って、癒されたいんですか。もう本当にへどが出る。「女は無邪気で美しく幸福でいろ」とか、「大学の先生は世間知らずの愛すべき存在で苦労なんてない」とか、言いたい思いたい感覚と、これって似てるよね、だからますます我慢できない。

そして「猫はイヌに比べて飼いやすい」。この言い方だけはやめてくれ。飼いやすくなんかないですよ。犬だって猫だってトカゲだってヘビだって。病気にもなる金もかかる家を汚す物を壊す。飼いやすいから飼おうかなんて思うやつは、絶対やめてくれ。ロボットか人形かダッチワイフでも相手にしとけ。

◇くり返しますが、引っぱり出された人たちに罪はないから、言いたくはないんですが、ひとつだけ。養老孟司さんが、日本人は動物の管理や飼い方が、きちんとされて来なかった。外国だと馬などは去勢されるけど、日本はそれもしないで、暴れ馬を使い、おとなしい牛の車を使った、とおっしゃっている。

そういう文化論はどっちからどう見ても一理あるもんでしょうが、そして私はこっちもあんまり好きじゃないけど、たとえば渡辺京二さんの「逝きし世の面影」なんか読むと、この日本人が馬を去勢しなかったのは、動物愛護の精神として評価されてもいるわけで、そういう考え方もあるのをわかった上でのご発言なのかな。

猫の去勢避妊と同様、何が自然で不自然か、何が動物と人間にとって幸福か、それはすごく微妙で複雑で難しく、さまざまな観点があります。
そういうものを予想もしないで、深く考えもしないで、ちゃらちゃら猫ブームに乗っかって、おみこしかついで騒いでるみたいな、この薄っぺらい安っぽい記事が、私はほんとに大嫌い。読んだ人に、安っぽく適当に幸せにほんわかした気分になってくれたらいいって、今どき女性週刊誌でもとっくにやらないような、安易な姿勢がうとましい。ほんとにもう、動物をバカにするんじゃないよ。その問題のはらむ、深刻さや深遠さや危険さから、目を閉ざしたりそらしたりするんじゃねえよ。

せめて、原発で立ち入り禁止になった地域と、虐待事件起こしたアホの部屋で、動物たちが、猫たちが、どんな目にあったか、じっくり知れよ。報道しろよ。そこに目を向けもしないで、猫や動物の記事なんて書くなよ。ジャーナリストのはしくれにも風上にもいてほしくない、こういう企画をたてたやつらすべて。

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カツジ猫