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記録魔一家。

◇戦場のような上の家から、一応片づいている下の家に戻ると、ほっとする。あちこち、だいぶ片づいてきたが、まだまだ先は長そうだし、他の仕事もあるからなあ。明日もまた朝から走り回らなくてはならなそうだ。書くべき手紙や書類も多い。まったくどうして、こんな老後になってしまったのだろうな。いいけど別に。

それにしても、わが家の皆の記録魔と保存魔には恐れ入る。とっくに亡くなった叔母や叔父の小学生のころの習字や図画(これは母が代作したんじゃないかと思うが。笑)、祖母や母や叔父や叔母の日記や手紙やスクラップブックや写真のたぐいが、わんさと残っていて恐ろしい。ばらばらになりかけた手のひらほどの小さな赤い手帳が出てきて、毎日一行ぐらいの走り書きで「江戸町に行きかるたを取る」などとあるので、母か叔母の手帳かと思ったら、1931年とあって、祖母のものだった。5月には「南京事件が片付き主人が帰宅されるよう祈りましよ」とあったり、伯父や叔父がまだ子どもで、熱を出して寝こんだことなどが書いてある。私が写真でしか知らない曾祖母やその同時代の家族のことが、ちらちら出るのが珍しく、ああ、そういう人たちが現実にたしかに存在したのだと実感する。「小猫にメガネをこはされて又買ふ」なんて記事もさりげなく混じっている。昔のメガネはこわれやすかったのかな。どんな小猫やねん(笑)。

◇カツジ猫と私が最初に会ったのは、田舎の家の梅の木の下だ。それを記念して、数年前にこちらの庭に植えてみた小さい梅の苗木は、あまり元気はないが、ちゃんと伸びて、小さい花をいっぱいにつけた。まだ、ひざの高さもないので、しゃがんで顔を近づけると、しっかり梅の香りがする。春はもう近い。

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カツジ猫