それのどこが悪いのさ

糊だらけになりながら、ダンボール箱二つに紙をはって、断捨離用の箱を作った。私のもくろみでは、これで片づけは画期的にスピードアップするはずなのだが、どうだろう？

Yahooニュースなどをのぞいていると、タレントや有名人の今回の「抗議します」ツイートが、誰かに言われて軽率に中身も知らずに書きこんだのではないかとか批判しているコメントがちょくちょくあるけど、アホかいな。

これは私の弱点だから早めに告白しておくが、私は自分の専門外のことや、よく知らないことを大急ぎで勉強してプロなみになろうという精神が、ものすごく薄い。なれるわけないだろ専門家をなめるなと思ってしまう。

だが、最近の若い人を見ていると（ほぼ三人ぐらいだが。笑）、もともと完璧に素人だった分野を、独学で挑戦して、あっという間にプロなみになってしまう人というのが、現実にいて、これは私には驚きだ。昔から、そういう人はいたのかもしれないが、私はもう全然そうではない。

だから、自分の人生を明らかに左右するだろうという重大なことを決めるのには、他人の知識や判断に頼るし、それが正しいかどうかについては、その人に対する信頼度でおおむね決める。

今回ツイートしたタレントや有名人や、子どもに近い若い人たちが、その点どうなのかわからないが、自分の専門外のことで意見を言ったり考えを持ったりしようと思ったら、そりゃさしあたり、信頼できる他人の意見を聞くしかないでしょう。私だってそうするよ。あたりまえのことじゃないか。どうしてそれを、悪いことみたいに言うんだろ。誰にも頼らず、法案の中身をきちんと調べて検討して結論出せる能力があれば、歌手や俳優や作家や教師なんかしてないわい。

いいじゃないか別に。彼ら彼女らのそばに、そういうことに関心を持ち、そういう話をする人がいて、それでなるほどと思って彼や彼女がツイートしたなら。どこにいったい問題があるの。

くり返すが私は十分に法案の中身を知らない。知っているのは、総理も担当大臣も、ろくすっぽ説明をしないし、する気もなさそうだということだ。そして、この総理が、これまでしてきたことや、しなかったことの数々を見ると、私は彼が信用できない。一方で、この法案を通してはならないと主張している人たちは、戦前から一貫して平和と民主主義を守ってきた共産党や、原発事故のときに誠実に必死に対応した元民主党の人たちで、もちろん彼らがすべて常に正しいとは思わないが、少なくともあの総理とその仲間よりは、ずっと信頼できる。

もちろん、それだけで反対や抗議するのはよくないと思うから、総理の言い分も聞こうと思うが、言わんじゃないか、やつは一切。これに限ったことじゃないが。悲願らしい改憲にしても、いっこう真正面から自分のことばで、私を説得しようとしないじゃないか。

こっちだって忙しいから、少し時間をもらえれば自分で勉強してもいいが、その時間もくれないじゃないか。だからもう、とりあえず、「やめてよ、こんな時に。急がないでいいでしょ、それとも急ぐ理由があるの」としか言えんじゃないか。それで、ちゃんとした返事が返らなかったら（「閣議決定しましたから、つじつま合わせたいんです」なんてのはなしね）、とにかく今はやめといて、と反対、抗議するしかないでしょ。それを不勉強とか無責任とか言われても困ります。サボってるのは総理と政府なんですよ。コロナで忙しくて説明考える暇がないと言うんだったら、ますます、じゃ今はやめとけとしか言いようがない。

他の人も再三指摘してるが、こういう「何もわからずに言ってるんじゃないの」みたいに、何か言った人に対して言う人って、いったい全体何なんだろうね。自分はどれだけ根本的に、専門的に考えて、結論出してるのか知らんけど、一度でも自分で迷って悩んで考えて発言行動したことがあるなら、他人に対してこうあっさりと「誰かに言われたんでしょ」ということばは出て来ないはずだよ。その反応の単純さが、見ていて私はやりきれない。

もうひとつ、ついでに、それとセットになって、「そういうこと言ったら干される」「仕事なくなる」って言うのも、仮にほんとに好意で心配してるにしても、実に情けないし失礼だ。

これも私の弱点だが、こういうことを言われると私は絶対に言われたのと反対のことをする。というか、私は昔から「そういうことを言わないで、干されないで、仕事もらえる」状況というのが、一番恐い。自分の実力がわからなくなるからだ。

言いたいこと言って、したいことして、それで認められているのでなくちゃ、安心できない。逆風に向かって立っていないと、自分の体力がわからない。相手や周囲におもねって得た地位や評価や仕事なんて、自分を判断する基準にならない。そういう強迫観念がいつもある。

そんなことしたら、言ったら、ひどい目にあうよ。私にそれを言って何かをとめようとして成功した人は、これまでただの一人もいない（笑）。そんなことしても、言っても、皆に好かれて認められて、成功できる自分でありたいと、ずっと思って生きて来た。少数意見を述べ、弱者の立場に身を置くのは、それでどれだけやれるかという自分の力を測るバロメーターだった。そのくらいの努力や挑戦や悪だくらみができなくてどうする。

私だけではない。私の回りの人たちはおおむね皆そうだった。今の私の人間関係も基本的には皆そうだ。言いたいことを言わないで、したいことをしないで得られる仕事も人間関係も私はいらない。

もちろん生きて行くためにどうしても必要なら、これまた私はけっこう何でもする。そこは割り切るし、苦にもしない。だが、政府のやろうとすることに疑問を持ち、「ちょっとやめて」と抗議のツイートするぐらいが、そんなぎりぎり大層なことか？　どう考えてもちがうだろ。そのくらいで干されたり仕事なくしたり友だちなくしたりするような、大層なことか？　笑わせる。

おやもう、こんな時間とは。映画の感想書いたり、他にもいろいろ、したい仕事があったのに。明日はもうちょっと、どうでもいい話を書きます。あ、ツイッターには書いたけど、こっちでは言ってなかった私の文章も、ちょっと、紹介しておくか。

ツイートしたタレントに「がっかりしました」と言ってるファンがいるの？　ヘタレやなあ。私なんか自分の大好きなタレントが、トランプと安倍と原発と改憲を支持しても、ぜんっぜん気持ちは変わらんぞ（笑）。