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「朴斎道也松島紀行」はなかなか名作?

朴斎道也の「松島紀行」は、相当に面白い。長さとしては中編で、そのへんのサイズもいい。江戸時代の紀行を軽く紹介するのに適した本だ。
国会図書館にあって、特に貴重書でもないようだから、閲覧したくなる方もおられようが、ただ、この本、文字が一見よみやすそうで、ちょっとクセがあるから慣れてない方には手ごわいかもしれないなあ。
今度、各地の図書館の、比較的読みやすい、字のきれいな、そして中身もそこそこ面白い紀行をさがして紹介するか。

「朴斎道也松島紀行」は、たとえば足を痛めた供の男を途中から返すとか、他で見られない記事がよく出る。それと、この紀行、わりと平気で宿が見つからないのに夜になっても見知らぬ辺鄙な土地を歩いて、そのへんの家に宿を借りたりしている。わりと広い家だったから喜んでいたら、中はあばらやでつらかったとか言っている。

西行の柳とか医王寺とか、「おくのほそ道」とかぶる話も多いが、こちらの方がずっと詳しい。そして、それなのに芭蕉のバの字も出てこない。「この辺は古歌の題材によくなっている」とかは書いているので、歌人たちは俳諧は無視してしまうのだろうか。

いや、これ、いいなあ。隠れた名作かもしれない。とか言ってたら、仙台叢書に入ってたりするのかもしれないが。
もっとも東北地方の紀行には、かなり面白い内容のがたしかに多いのは多いので、「奥羽行」とか、まだ何かあったっけな。

しかし、本当はこんなことをしているヒマはない。片づけに王道なしと覚悟を決めて、今日明日で一気に書斎を片づけないと、後がそろそろ恐い。

ゆきうさぎさん

入試の不正行為のこと、つけ加えると、結局本人が受験場で携帯を操作していたというのですが、見えにくい席でやっていたら、たしかにチェックしにくいかもしれません。
前に書いたように、巡回を遠慮しなくてはならない空気もあるため、まめに見回りがしにくいということがひとつと、入試でも平常試験でも、カンニングの摘発というのは、怪しいとわかっていても、かなり勇気がいるのです。

これも機密事項ですから書けませんが、私たちのマニュアルには不正行為を摘発する際の心得が細かく書かれています。しかし、それを読むにつけても、正直、マルサの女や麻薬捜査官でもないシロウトが、動かぬ証拠をつかむかたちで、現場で摘発するのは、相当に覚悟が必要です。万一、相手が「やってない」と抗議して、訴訟にでも持ち込まれようものなら、こんなご時世で大学も政府も社会も摘発した試験管を守ってくれるとは思えません。
少々誤認逮捕があっても摘発しろというぐらい言ってもらわなければ、(言ってほしいわけではありませんが)摘発するのは困難です。その騒動で周囲やその教室の受験生からまで、被害申し立てをされる可能性だってないとは言えないのですから。

だから私も含めて多くの教員は、平常試験ではレポートやすべて持ち込み可の試験(事実上のレポート)で単位を出します。それはそれで、インターネットまるうつしをされる可能性もありますが、それなりに配慮をしておけば、まあ大丈夫です。
ただ、試験やレポートに限りませんが、少々怪しいと思ってもよほど確信がなければ、私は見のがします。訴訟が恐いからではなく、疑われた学生を傷つけたくないからです。

しかしそれで一番むかつくのは、そういう不正を見逃してもらって単位をもらって、こっそり喜ぶのではなく、「ちょろいもん」「やればかんたん」というノリで周囲に自慢する大バカものがいることですね。
人間、人生でぎりぎりの場合、不正をして生きのびることもあるのはしかたがないと私は思っているのですが、それを相手や周囲がわかって、目をつぶっているのも知らず、うまくやったとえらそうに自分のけちくさい悪事に酔っているやつは、悪人の風上にもおけません。
まあ、今回の相撲の八百長問題にも通じるかもしれませんが、悪いことは、必死でこっそりやって、一生恥じてるもんで、たかをくくって世の中をなめたら、それは破滅へまっしぐらです。いや、別にそんな人間のことを私が心配してやることもないわけですが。

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カツジ猫