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あと二日かあ。

◇今年も暮れようとしています。
年末までの原稿が絶対出来そうにないか、出来てもぎりぎりと思っていたので、今年の年末はもう正月の用意もクリスマスも何もなく、ひたすら仕事!と思ってちょっとわくわくしていたのですが、実際には少し早めにめどがついてしまったので、人なみにまた、お屠蘇の準備やしめ縄やお鏡飾りや、おせちもどき(買った食材をじゅうばこにつめるだけ)作りなどに追われてしまって、つまりません(笑)。中途半端に小市民的(古いな)なことしてると、退屈してしまうのよな。

原稿は熱海の紀行に関するものだったので、最後の仕上げに現地に行って来ました。私はあまりこういうことしないで、資料だけ読んで書くのがふつうなんですが、もちろん行ったらそれだけの収穫はあります。
いろいろ現地の方によくしていただいて、優雅で豪勢な旅でした。

◇とは言え、実は初日に一人で日金山という、かなり高い山(十国峠とほぼ同じです)にロープウェイで登ったあと、お天気もよくて、雲の帽子をかぶった富士山もきれいで、周辺の景色を昔の紀行のままに満喫してから、つい出来心で、歩いて山を下ってしまいました。しかも一人で山歩きのかっこうでもなし、まあ一応ハイキングコースとはうたってありましたが、けっこうなケモノ道で、最後は日も暮れるし、脚は動かなくなって立っているのも難しくなり、マジでひょっとして死ぬかと思いました(笑)。いやまあ、ときどきあおむけになって倒れていたら、しばらくしたらまた歩けるようにはなったし、とにかく崖からすべり落ちさえしなければ絶対に下山できるとは思っていましたから、そんなに心配したわけではありません。

途中で一度、そこそこ広い林道に出たので、そこでタクシーを呼んだのですが、目印が何もなく、行けそうにないと断られ、交渉が長引くと携帯の電池がなくなりそうで、あきらめて自力でまたケモノ道を下りました。「県道まで25分」と標識があったので、いくら私がよれよれで歩いても1時間はかかるまいと踏んだのですが、実際そのくらいかかったかもしれません。県道に出たときはもう薄暗くて、あっという間に夜になりました。

そこはまともなアスファルトの道なのですが、もはや腰と脚のつなぎめがどうかなってて、まっすぐには歩けないというか立っていられないし、人通りもまったくない道で、近くの建物の看板を確認してタクシーを呼んだら、今度はすぐに来てくれました。そこで電池はなくなって危ないところでした。まあどうしようもなかったら、あかりのついてるそのへんの建物をたたいて、電話を貸してもらうまでだと考えていましたが。
山を下りる時はどこに出るかわからないものですが、そこは湯河原で、夜の海岸をタクシーに乗って、湯河原もなかなか観光客が来なくてみたいな話をしながら熱海駅前のホテルに帰り、風呂とマッサージで足腰は何とか回復しました。

◇私は何だかものすごい冒険をした気分で悦に入っていて、帰ったらこのブログで「熱海の大冒険」とかのタイトルでこのことを書こうと思っていたのですが、ネットで確認したら、よくわかりませんが、多分「石仏の道」とかいう道で「よく整備されてる」とか書かれているし(しかし、あれがか?)、拍子抜けして、つつましく報告しておきます。

翌朝は市内の観光バスに乗り、途中で降りて入江の観光船に乗り、船底の窓から鯛らしき魚と、甲板ではついてきたカモメたちと、しっかりアイコンタクトをしながら(カモメは船内で売っているエサのかっぱえびせんが好物で、すぐ目の前にはばたいて来て空中で静止していたりするのです)、紀行に出て来た、島や岬や大岩を確認して来ました。

昼からは前に言ったように地元の方々に親切にしていただいて、高級で洗練された熱海を満喫しまして、新幹線で夜中に帰り、ぐれて寝ていたカツジ猫に会いました。やつは、お利口にちゃんとお留守番をしていたようで、今は私のそばの椅子で眠っています。

◇まあ年を考えたら、あんな無茶な下山などはもう絶対にやめなければならないですが、つくづく思うのは私はこういう危険なことをしないと、何だか退屈してしまって、夜中のやけ食いをして太ったり、ミーハーな映画やドラマに入れあげたり、ろくなことはしないのだなあということでした。
教訓。来年は、日常の些末なことをきちんとこなすのは適当にして、そういうのを放って熱中するような勉強や研究に打ちこむこと。でないとまた刺激を求めて私は何をするかわからない。

山歩きのせいというより、新幹線で座りっぱなしたせいで、足腰が今日もまだ痛かったが、風呂に入ってサロンパスを貼りまくってたら、今はほとんどよくなった。
よく行くお店で、かわいいしめ縄をいただいたので、それをはじめ、いろいろな正月飾りを家じゅうに飾った。明日、我流のお花を飾ったら、それでもう正月準備はおしまいだ。原稿書きに、やっと戻れる。

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カツジ猫