こんなんじゃ身がもたん
「お買い物と文学」の校正が終わって、いよいよ明日にでも電子書籍にアップしようと最終確認をしていたら、第一章の「じゅうたんを買う夫妻」の、ホームページで公開していたのに、あとからつけたした分が、どうしてもバランスをこわして、全体のトーンを乱しているのに気がついて、イライラ悶々としたあげく、ばっさり削除することを決断した。
別に気軽に書いたものだし、全体の形式や内容も自由でゆるくて奔放なのに、でもだからこそ許せない妥協できない、私なりの基準ってものがあるのよねえ。蛇足は蛇足だ。あってはならない。
こんなものに、これだけぎりぎりの命削ってるなんて、ほんとにもう我ながらバカみたい。
「小説ができるまで」にも引用した、アガサ・クリスティーの「ホロー荘の殺人」で彫刻家のヘンリエッタが、作り上げた彫像を廃棄する場面を思い出す。まあでも彼女は本職の芸術作品だもんな。私のような余技とはちがう。でも、賭けているものは、ちっとも差はない。それも事実だ。
なんか、この決定をしただけで、100メートル走でもしたみたいに疲れ果てた。とっとと寝るぞ、もう今夜は。