ひらひらステーキ。
◇昨日夜中までというか夜明けまでかかって、やっと原稿の校正をすませた。論文でもない、たかが研究ノートなのに情けない。ここの書棚にも入れてる「妙海道の記」についてのまとめなのだが、けっこう翻刻のミスなどもあってあせった。
とは言え、楽しかった。やっぱり論文を書いたり、資料を読んだりしていたい。次はそろそろ片岡寛光のまとめに入らないと。というか、早く翻刻許可をとってしまいたい。
返却の締め切りが今日なので、もう郵送してると間に合わないと、直接届けに出かけた。グランドパス(65歳以上の無料パス)があるのでバスで行ったら、途中で隣りに座った人が人なつこく、バスが遅れる話とか、子どもたちの家族の話とか楽しそうにするので、こちらも楽しく相手をしていたら、下りる前になって、その人はおばさんではなく、おじさんだったらしいのに気づいた。あの年頃というか私ぐらいの年齢では、どうかすると男女がよくわからない。
そう言えば数日前に、ジムで、中庭の露天風呂に入っていたら、となりの湯船にいた、これはもちろん確実におばさまだが、その人がまたなつかしげに、いろいろ話しかけてきて、娘が母の日に「美女と野獣」の映画に連れて行ってくれたことなどをうれしそうに話した。このごろ、どうも私は、人が誰かに自分の幸せを口に出して語りたいとき、聞いてくれそうな顔をしているらしい。
実際私は相手が老若男女を問わず、こういう話を聞くのが好きだ。幸福な人ほど無害だし、他人のじゃまをしないから安心できる。私が世界を平和にし、誰もを幸福にしたいと願うのは、その方がこっちを放っておいてもらえるからだ。
共謀罪なんかできたらなあ、自分が不幸で、それを忘れるために他人のことにかまいたい人が、生きてるあかしを求めようと、せっせと密告や逮捕や拷問や死刑にはげむのが目に見えているから、私はいやなんだよ。
◇予告もしたし、ゆうべの夕食にステーキを食べるにいたった、しょうもない経過を書いておくか。
そもそも昨日は、夕方からコイン精米機をさがしてさまよっていた。去年、友人が何を考えたか玄米をどさっとくれて、それをちびちび精米して食べていたが、近所の精米機の一つがコインはコインでもコインランドリーに変わってしまい、頼みの綱のもう一つはよく故障して使用不能の貼り紙がしてある。一昨日も行ったら故障していた。土曜だったので、大きな精米所が開いてたので行ってみたけど、大量のしか受けつけないとのこと。
お天気もいいし、ドライブがてら、かなり遠くまで行って見たけど、どこにも精米機が見当たらない。実はもうお米がなくなりかけていて、このままではごはんが食べられない。
もちろん近所のスーパーでいつものように小さい2キロの袋の米を買えばいいのだが、そこで問題がある。
私は大抵同じスーパーで買って、ポイントをかせいでいる。ひと月ごとに区切られているので、月末までに30ポイントためなくてはならない。そうしたら500円の商品券がもらえるのだ。1000円に一個で、火曜と木曜は倍の数押してもらえるが、それでもわりとぎりぎり達成になる。
今月は着実にためて、あと一個で30個になる。あと一個なんだから、ここで2000円近い米袋なんか買ったら、ポイントが余って無駄になる。それは月が代わってから買いたいのである。
我ながらすごいなあ。ケナタッチさんの書簡や江戸時代の紀行観を考える一方で、こんなこと考えてる私も何なんだろう。
一夜明けた日曜日、今日こそはと昼過ぎからコイン精米機さがしの旅に出た。無駄に走るのもと思って、前もってパソコンで検索したが、ろくにないし、なくなってるのも多そうだ。
ままよと思って、隣町にまで出かけて、果してひとつ、ネットではあることになってる精米機が消えているのを確認して、そのそばのガソリンスタンドで、聞いてみた。親切なお兄さんで、わざわざ聞いてくれて、ずいぶん先の空き地にあると教えてくれた。行ってみたら確かにあって、首尾よく玄米は精米できた。
◇意気揚々と帰る途中、喫茶店でお茶したりして、ふと気づいたら、私がポイントをかせぐスーパーは29日から工事で駐車場が一部使えなくなるのだった。しかも私がよく使う場所が。
それなら、今日のうちに最後の1ポイント分の買い物をして、来月まで行かないことにすればいいと、帰る前にスーパーに立ち寄った。とは言え、あらかたの買い物は数日前にすませているので、1000円分何かふだんは買わないようなものを買おうとうろついていたら、「奥さん、今日はステーキが安いよー」と声をかけられて、本当に国産牛のステーキ二枚980円だったから、思わずほいほい買っちゃった次第。
もっとも昨日あのブログを書いてから、ステーキを焼こうとしたら、ステーキというよりすきやきにしてもいいんじゃないかというぐらい、二枚とも肉はうーすかった(笑)。いやしくもステーキなんだから、札束じゃないが、立てておいても倒れないぐらいの厚さはあってもいいんじゃないかと思うが、ひらひらカーテンみたいで、絶対レアなんかにはできないだろう、あっという間に火が通ってしまうというしろものだった。
それでも野菜かごのすみに転がっていた大きな玉ねぎを刻んで、一緒に焼いたら、一応ちゃんとステーキの味はしておいしかった。まあダイエットに励む身としては、その方がよかったのだろう。
◇DVDで「ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期」を見た。レニー・ゼルウィガーは素敵な女優だし、このシリーズは楽しんでいたのだが、この新作はどうなんだろうなあ。この手のドジなかわいこちゃんは、「デスパレート」のスーザンや「セックス・アンド・ザ・シティ」のキャリーみたいなタイプで、つまりはどっちも主役なのでもわかるように、定番のキャラではあるんだけど、2ちゃんねるとかで見てても、キャリーもスーザンもけっこう見ててイラついてる人が多いし、そういう海外ドラマが、こういう話は微に入り細に入り、しかも巧みに軽妙に描きつくしてくれてるから、新機軸を出すのは難しいだろうなあと感じながら見ていたら、果して何だかもうひどい出来だった。あれでは名優三人が気の毒である。
ネットで感想を見たら、ほめてる人も多いので、これまた首をひねった。こんなうわっすべりなドタバタ劇の、何がそんなに楽しいのかしら。いろんな意味で、気持ちの悪い映画だった。
◇「世界文学全集」が、なかなか面白い。バルガス・リョサとやらの「楽園への道」は、とうとう下の家に持って来てしまった。ベッドに寝転んで、ちびちび読もう
。
とは言え、上の家の仏間の超古い応接セットの椅子も、なかなか座り心地がいいことを発見。早く居間や台所を片づけて、人を通せるようにして、ここでゆっくり友だちでも呼んで、お茶したい。