ぼくは、こだわらない
かいぬしは、さいきん、ぼくのすきな、かわはぎのおさしみをかいそこねて、
「これでもいいかな」と、べつのさかなのおさしみを、わけてくれます。
「うすく切ってあったら、なんでもいいのでしょ」といいます。
かいぬしは、さいきん、おかねのいることがいろいろあって、
せいかつが、くるしいそうです。
「さしあたり、はなをかうのは、やめよう」といっていましたが、
きのう、ぴんくのちゅーりっぷをかざっていました。
ぼくが、みあげていると、かいぬしは、
「これは、よくいくはなやさんで、わたしが、『ほしいなあ』とみていたら、おみせのひとが、くださったのよ」といいわけしました。
よっぽど、ほしそうなかおをしていたのかと、
ぼくは、ちょっと、なさけないです。
かいぬしは、このごろ、しなもんさんのいる、ふるいほうのいえで、
よるおそくまで、しごとをしています。
ぼくは、まちきれなくなると、にわにでて、かなあみのなかから、
おおきなこえで、ないて、かいぬしをよびます。
かいぬしが、かえってくると、うれしいので、
ぼくは、いえじゅうを、とびまわります。
「おお、なかなか、じゃんぷが、じょうずになったじゃんか」と、
かいぬしは、それをみて、いっています。