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ゆくりなくも。

◇今朝早く、母のいるホームから電話があって、ゆうべの余震だか本震だかで、母のベッドの足元の棚においてあったテレビが落っこちて壊れてしまったとのこと。母のボケ防止にはテレビはかなり有効だと思っているので、さっそくすぐ、電気屋さんに行って、代わりをつけてもらうように頼んだ。数日かかるらしいが、その間は貸し出し用のをおいてくれるし、耐震用の設定もいろいろ考えてくれるとかで、ほっとした。
母のところに行ってみたら、「ゆうべは何だかすごい音がしてねえ」と、さすがにそれは覚えていたが、地震のことは何も気づいてなかったようで、「そんなに揺れたの」とかヘルパーさんに言っていた。

こんなにあっさり対応すると、私はいかにも金に困ってないようだが、実は四月から仕事はいくつかやめてるし、固定資産税その他で、四月から五月はどさっと貯金が減るし、もう生きた心地もないので、この出費はひどく痛い。
でも、母にけががなかったことを思うと、テレビには感謝しなければだし、せっかく身体が何ともなかったのに、テレビがない間にボケが進んだら困る。ここは歯をくいしばってでもがんばっておかないと。

ホームはエレベーターも止まってしまい、修理の人も忙しくてまだ来れなくて、ヘルパーさんたちは皆大変そうだった。でも誰もけがはなかったようで、それはよかった。不安で何人もいっしょに集まって夜をすごしたお年寄りもいたらしい。職員の人たちも、ゆうべはよく寝ていないとかで、余震はこの先どうなるのか、不安そうにしていた。それにしても、こんな中で原発を動かしてるのも、そもそもこんなにどこでもいつ地震が起こるかわからない国で原発つくるとか、いい度胸すぎるだろ。私は生来鈍感な方だが、それでもベッドでゆさゆさゆすられてると、人間の力じゃどうにもならない巨大なものに翻弄されてるのを、つくづく骨まで実感する。人間がコントロールできるものって限られてるのだから、そのつもりで発電も生活もしてなきゃだめだよ。

カツジ猫も、ゆうべあんまりよく寝られなかったのか、今朝は私が上の家に片づけに行っているのに文句も言わず不満そうな顔もせず、廊下の椅子の上で、ひたすらずっと死んだように熟睡しています(笑)。

◇14日の地震のときだったか、少し様子がわかるまで起きていようと、ネットのしょうもない記事をあれこれ見つけて遊んでいたら、「ナポレオンソロ」の腐女子の方が書いたファンフィクションで、イリヤ君がせっかくの休暇なのに、ソロのキスマークが首についてしまっていて(ファンフィクションですファンフィクションです)、夏なのでタートルネックも着られないし、旅行にも行けない外出もできないと腐っている場面があって、んなこと言うのは死ぬほどヤボでしょうが、いっくら何でもスパイともあろうものが、キスマークぐらいバンドエイドかリバテープでも貼ってかくせばいいやんと思ってしまった。そのついでに、ゆくりなくも、昔、卒論指導していた女子学生のことを思い出した。

小柄で、ちょっと魔女っぽい独特の雰囲気のある子で、唇に銀色の、かなり目立つピアスをしていた。でも、すごくきちんとした常識のあるしっかりした子で、勉強もよくしていたし、私はむしろ古風な優等生と感じていた。
教育大では三年に付属学校で教育実習がある。これがもう、付属学校の先生から、髪の色はもちろん服装はもちろん、嘘だろうみたいなことまでいろいろチェックされる。そこで私のまじめな同僚の男性が、その女子学生のことをひどく気にして、「あのピアスは外すように言っておかないと」と、何度も私に言ったけど、私は忘れて放っていた。彼は実習時期が近づくにつれて、ますます気になって来たようで、「あれは、外しても穴がふさがるには日にちがかかるから、今のうちに言っておかないと」と、私の顔を見るたびに忠告した。
私は、どんな意味でも彼女はバカではないから、放っておいていいと思ったし、第一アホらしすぎてそんなこと言えるかとも思ったので(何かあったら、それはそれで面白いと期待していたのも否めない♪)、やっぱりそのままにしていたら、若いけど、お母さんみたいに明るく温かい女性の先生が私に、「あなたそれどうするの、と、この前聞いてみたら、あ、ばんそうこう貼っていきます、って言ってましたよ」と笑いながら教えてくれて、私は、そんなこったろうと思いつつ、ちょっとがっかりした(笑)。ファンフィクの中とは言え、スパイが、あの女の子に負けてどうすんだ。

◇さて、ごはんを食べて、また片づけにはげむかな。

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カツジ猫