リュウノヒゲ発掘
スーパーに行くと、子どもたちがたくさんいる。そうか、もう夏休みか。母親と並んで歩く少女や、父母といっしょにはしゃいでいる少年たちなど、それぞれの家族の様子が皆ちがっていて見てると面白い。
こっちは夏休みも何もないが、先日の連休はそれにしても、だらけにだらけた。何ひとつ仕事をしないで、パソコンゲームや昼寝でおそろしく無為な時間を過ごした。これはこれで、ものすごいぜいたくをしたような気がしないでもない。もしかしたら、行きつけのマッサージ店の最近の担当者が(多分新人さんなので、あまり問題のない私をお店が練習台にしてるのかもしれない)「三連休はどこかに行かれますか」と聞いたので、「いやー、別に、これと言ってねえ」とか言った自分のことばにつられたのかも(笑)。
新人さんは、接客の勉強もするのか、職務質問なみにいろんなことを聞いてくる。前にも書いた「そういうシャツ、お好きなんですか」に始まって「その帽子手作りですか」「編み物とかなさるんですか」「今日は服の雰囲気がちがいますね」「今から買い物ですか」「よく行くお店はあるんですか」「出身地はどこですか」とか、職務質問かトクリュウの手先かと思うほど何から何までひっきりなしに聞く。「そのシャツかわいいですね」などとも言う。面白いからそれなりに応対していたが、最近は疲れて生返事が多くなった。そうしたら、それが気になるのか担当さんは、もともと施術は別に下手ではなかったのに、このごろ何だか上の空でやってるような気がする。
こんなにのべつまくなしではなくても、似たような質問は、ベテランの人もしていたし、「先生、いつも帽子がちがうね」とか地域の読書会で言われたりもするし、でも私はそんなのは、まったく気にならないどころか、むしろ楽しい。「いやー、そんなに気づいて下さるなんて、お若いですよ!」と、こちらも浮かれて返事したりする。
その新人さんの場合はそうでないのが、自分でも不思議でならない。ばかばかしいが、要点を考えると(笑)、
1.まだそんなに親しくないのに、職務質問をしすぎる。せめて無難なお天気の話あたりから始めてほしい。いきなり「趣味は何ですか」「休日は何してますか」「出身地どこですか」じゃハードルが高すぎる。マジでその内、「処女ですか」「貯金いくらありますか」とか聞かれそうな気がする。
2.その割りに、どれも予測通りの質問で、面白くない。きっとこう言うだろうなあと思うことしか言わない。このTシャツ着て行ったら、きっとこう言うだろうなあということしか言わないから、すごく退屈する。
3.多分、私にも自分の質問にも、本当に興味関心を持ってるのではなくて本人も楽しそうでないから、こちらもすごくつらい。喜ばせてあげようと思って応じていると、何だか金を払ってこっちがホステスかホストをしているような気分になる。
などなどなど。
もともと私は、たとえいい結果でも、型通りのパターンをなぞるのが非常につまらなくて、苦になる。昔、高校の非常勤をしていたころ、男女を問わず反抗的で生意気な生徒がいて苦労させられても、こっちが誠実にていねいに愛情深く接していたら、必ず最後は素直になって模範生の優等生になるのが、もういやでいやでしかたがなかった。どうせ最後はそんなに立派になるのなら、最初からなっとけ時間の無駄だとしか思えなかった。コスパとかタイパとか最近聞くたびに、その時の気分を思い出してしまう。聖書かケータイ小説に古今東西書いてあるみたいな王道の定番の成長や反応しやがって、月並みなんだよ時間を返せ新しい展開を探して来いと言いたくなる。
別に大したことを要求してるのではない。たとえばベテランスタッフの一人は、スーパーの入り口でチラシを配ってる時に私が駐車場に入るのを見ていて、「頭からつっこむんですね」と、妙に珍しがって受けて、それからも何度か「今日も頭から入れてましたね」とこだわる。どうも笑いじょうごの気もあるらしく、しょっちゅうそれで面白がっている。
これはなぜか私はちっとも不快ではないのだ。おかしなやつだなあと思って、気になるけど、こっちも楽しませてもらっている。いったい自分の基準がどこにあるのか、よくわからない。それがまた、不愉快だ(笑)。
睡眠不足でふらふらしながら、毎日、朝の水まきに行く。六時前後はまだ風が涼しかったりするので、ついつい、少しだけ草取りをしたりする。これこそ昨日の書き込みに書いた、火に油じゃなかった焼け石に水ってやつだが、まあ、ちょっとだけは見よくなる(と思う)。
今朝は母家の玄関前に茂りまくっていた笹と雑草を退治した。ずっと前に植えたままのリュウノヒゲが、しっかり雑草の下で生き延びていてくれたのがうれしかった。ここのグラジオラスの茂みは、どれだけ掘って移植しても、しぶとく根が残って数株だけまだ咲いたりする。どうしようかな、放っとくとまた増えそうだし、表庭に花がないから移植したっていいのだが。

サルスベリはあいかわらずピンクの雲のようにカツジ猫の墓の上に広がり、枯れたり衰えたりしたバラの茂みの中に、それでも小さい花がちゃんと咲いたりしていると、この熱波の中、ひとしお愛しい。


