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名誉の負傷。

◇昨日の朝の庭木の刈り込みは、上品な老婦人らしく、小さなはさみで、小枝をちょきちょき切って行こうとしていたのだが、次第に凶暴な征服欲にかられて、大きな枝までぼきぼき折ったものだから、一番太いのと格闘している時に、背中のあたりの筋肉を傷めた。わき腹と背中がぎっくり腰になった感じで、一応動けるし、どうってことはないが、何かのはずみに深部の筋肉がひっつれるようで息が苦しくなる。

昔から私は転んでひざをすりむいて血が出たりすると、生きてる実感みたいなのを感じて、気分がよくて楽しかった。今回も若干そんな気分で放っておいたら、今朝もどうかした時に相当痛いので、この時とばかり、片づけの間に家のあちこちから見つかった、古いサロンパスその他の湿布薬の袋を開けて、べたべた背中にはりまくったら、気のせいか、ずいぶんよくなったようだ。
本当は今日、田舎から持ってきた本の整理もしたかったのだが、これも力仕事だし、もっと優雅な片づけをしようか。

◇都知事候補だった鳥越さんがインタビューに答えて、ペンの力が今なくなっているとか言ったらしく、これについて朝日新聞の記者や、民進党の議員などが、怒っているらしい。それに対して「沖縄高江のことも、小池新都知事の疑惑もまるきり報道しないで、ポケモンとオリンピックしか書かない大新聞が何を言うか。鳥越さんの指摘の通りだ」と言っている人もまた多い。

https://twitter.com/chanshimantifa2
https://twitter.com/TOKYO_DEMOCRACY

あいにく私は超忙しくて、鳥越さんのインタビューをまだ読めてない。だから細かいニュアンスなども含めて、まだ何とも言えないが、「ペンの力」が弱体化しまくっていることは、鳥越さんの指摘があろうがなかろうが明らかだと思う。
参院選、都知事選その他で、ネットではかなり豊富な情報と貴重な意見を聞くのだが、このような情報を全然受け取れなくて、NHKと大新聞だけで知識を得ている層の圧倒的な多さも、明らかになってきている。このごろでは若者も知識人も、テレビをバカにしてあまり見ないようだが、やっぱりチェックをしておくためにも、もっと見ないといけないのだろう。そして批判したり支援したりして、声を反映させることも。

鳥越さん個人についても私の親しい人の中には、魅力を感じなかったという人もいる。ただ私は野党統一候補として出馬してくれただけでも、とてもありがたいし、私は鳥越さんを好きだが、そういう個人に対する好みはさておいても、野党統一の流れを途絶えさせないで守って行くための候補として支持しなければならない、なくてはならない存在だったと思う。そのへんは権力や金力での縛りがない分、いわゆる民主勢力は連帯するのは難しいのだが、あくまでも戦略的な計算や立場も見失ってはいけない。
この人が言っているのも、そういうことでしょう。

10時間10時間前 「鳥越さんを擁護するのは、それが私たちの「陣営」の闘いであったし、それを大切にして、次の闘いに向かわなくちゃならないから。ちゃんとした総括にならない、ただの悪口に引っぱられてるのは、それこそ相手側の思う壷でしょ。大切なのは「陣営」。あなたはどこにいて、立って、何と闘っているのか。」

◇柚木麻子の「私にふさわしいホテル」、ネットで感想を見たら、はたしてものすごく嫌いだと反感をあらわにしている人がけっこういて、ちょっと笑ってしまった。ほめている人も、この小説の魅力をとらえてはいない、ちょっと的はずれな感じのものが多い。そういう私も、どう言い表せばいいのかわからないでいるから、人に文句は言えないが。

他の作品をチェックしたら「あまからカルテット」も、この人の作品だと知って腰が抜けた。少し前に読んだのだが、悪かあないが、私が最近うんざりしている、毒気がない無難を絵に描いたような小説で、何だかどっと徒労感と疲労感に打ちのめされ、とっとと売るしかないと思っていた。
わけもなく、その昔、木下恵介監督が超趣味に走った「楢山節考」の制作を会社が許さなかったので、「喜びも悲しみも幾年月」という大衆受けする作品で大ヒットを飛ばして見せ、その上で「楢山」を作らせてもらった、という話を思い出した。そういう点では「ホテル」の悪評は、作者には想定内すぎて、きっと屁でもないのだろう。それにしても、そうなると「あまからカルテット」の方の評判はきっといいんだろうな。

他にも「永い言い訳」やら「帰って来たヒトラー」やらが、面白くってもうやめられない。しばらく軽い本さえも読んでいなかったので、まるで身体が欲しているように、ページをめくる手がとまらない。せっかくの夏休みだから、もっと固い本も読みたいし、もちろん仕事もしたいし。映画もそろそろ見に行きたいし。どうしよう。

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カツジ猫