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彼は許してくれるだろうか。

◇ひとつの戦争が終わるのを、この目で見て、耳で聞ける幸運は、なかなかあるものではない。
日本の首相が、ちっぽけな自分の地位を守るのに、さんざんっぱら利用した戦争だから、なおさらだ。国民として恥しいし、喜ぶ資格もないと思うぐらい、この和平への長い道のりの中で、日本の果たした役割は、罪深かったしみっともなかった。いっそ何の役割も果たさなかった、無能だとか言えればまだいいけれど、トランプでさえ認めて支持した、朝鮮半島の人たちの和平への血のにじむような、薄氷を踏むどころではない努力の数々を、日本の首相は全力をあげて、ただ自分の保身のために、邪魔しつづけた。

この汚点は、きっと歴史に刻まれる。この時代に生きた日本国民の一人として、私もその罪と恥を、きっと一生背負うだろう。
でも、それでもいい。平和が訪れるのなら。

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◇第二次大戦が終わり、世界に平和が訪れたと人々が思った間もなく、ともにヒトラーと戦った米ソが対立し始め、朝鮮戦争が始まった。その時、広島での被爆体験をもとに「夏の花」という、悲惨で清らかな小説を書いた作家の原民喜は、遺書も残さず鉄道線路に身を横たえて自殺した。
自分たちの味わった原爆という地獄が、人類に何の教訓ももたらさず、再び戦争が始められると知ったとき、この繊細で厳しい作家が、世界と人類に対して抱いた、絶望の深さを思う。訣別の決意の強さを思う。

彼を殺した、朝鮮戦争。それが今、やっと終わる。きっと終わる。そう信じたい。
原民喜は喜んでくれるだろうか。人類を、許してくれるだろうか。その行く手に、もう一度、希望を持ってくれるだろうか。

◇もうすぐ、母の日。
戦時中は軍国少女で、戦後は一貫して平和を守る社会党(社民党)と共産党に、一度も棄権せず投票しつづけた母の墓前に捧げる、最高の贈り物は、このニュースかもしれない。

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カツジ猫