映画「人間の条件」最後まで見て。
◇私は昔、この映画を見て、出てくる女がどいつもこいつもバカとしか思えず大きらいで、しかし心の底でうすうす、戦争になったら(ひょっとしたら、ならんでも)、いずれにせよ、女はこのバカの中のどれかになるしかないということもよーくわかっていて、だからますます不きげんになるしかなかったのですが、あらためて、この年になって、いろんなことを頭の中で整理した上で見ると、そういうやりきれなさもふくめて、きちんと描いている映画ではあるなとは認めました。だから、特に第二部以降は、昔より楽しめたなー。
それにしても、スカーレット・オハラやメラニー・ハミルトンみたいな女も絶対いたろうに、そういう女性を描けないつくりの映画ではあるんだな、これ。
もう一つ、思い出したのは、若いころ見て嫌いだった理由は、女もだけど、この映画に出てくる若者が皆、女と同等に、純情で無垢でアホなんですよね。最初の陳さんも、最後の寺田さんも。
若いころの私は、それもつくづく面白くなくて、「あー、もー、なっさけない」と思って、イライラしながら見てました。
梶さんは、「神聖喜劇」の東堂太郎とも通じるとこあるけど、スーパーマンだしストイックだし、それはそれで魅力的でかまわないんですけど、彼ら(東堂や梶)の弱点をだね、女や若者が、ちゃんと見抜いて理解して、教育して支えて補充してやらんかい、まったくもう。
梶の奥さんの美千子さんは、まあがんばった方だと思うけど。
梶については誰だって、言いたいことがごまんとあるでしょうが、まああの人はあんな人だから、しかたがないわけですけど、さしあたり、最後であのしょーもない桐原に、ちょっと折れて「寺田のこと頼む」とか言ったのはまずいよな。
あ、まちがってはないんだけど、ただ、あーゆー桐原みたいなのは、相手があんな態度とると、勝った気になって、恐くなくなるんだよな、梶さんが。そういう低級な人間の精神構造を梶さんは、理解しないというより、しまちがえるんだよなー、いろいろと。
きゃ、下手したらまた、「阪急電車」なみに梶さん批判をしそうだから、今夜はもう、おとなしく寝よう。