1. TOP
  2. 岬のたき火
  3. 日記
  4. 朝っぱらからこんなことを書いているヒマはないのだが

朝っぱらからこんなことを書いているヒマはないのだが

卒論の〆切もせまって来て、指導していた学生の論文もなんとか立派にしあがりそうで、毎週やっていた研究会もなくなったので、ちょっとのんびりしていたら、電話がかかってきて、女性問題についての講演をしていただけませんかと言う。
予定はまだだいぶ先なので、まあそれならできないこともないかと思っていたら、「大河ドラマで『江(ごう)』がはじまったので、戦国時代の女性の生き方について話していただければ」とのご依頼。「う~ん、それはまるで専門がちがうので、ちょっと無理ですね」とお返事したら、「どなたか心当たりの先生がいらっしゃったら、紹介していただけませんか」とのこと。

え~っとと、しばらく頭をひねったのですが、決して意地悪ではなく、知らないんですよね~、自分の専門分野以外で近場でそんなの話せそうな人。お役にたてずにすみませんと言うしかなかった。
あちらも困ってはおられるのだろうし、私も気難しい年よりになりたかないけど、これだけインターネットが発達してたら、ウィキペディアがいくらいいかげんでまちがいが多いと言ったって、私の項目をさがしたら、こんなテーマでしゃべれそうな人かどうかわかりそうなもんなのに。

女性問題の本もたしかに書いてはいるし、「あの人なら何でもやれる」って噂も一部にあるらしいから、こういう電話が来るのかもしれないけど、なんか「女性の先生だったら、女性の話はできる」と思われるのもちょっとな~。その内にヒミコかアマテラスについて話してくれと言われるかもしれない。

ことのついでに言わなくてもいいことを言ってしまうと、篤姫とか江とか、歴史の陰で世の中を支えた女性の話って、昔からあってよかれあしかれ別に新しくはないが、私はこういう話って、悪くはないにしても、相当にもろ刃の剣だと思っている。女性は男性に守られてぼ~っと生きていたわけではない、ということを知らせるのはいいが、それは現実の現代でも、「だから女性は裏方、下積み、影武者に徹底して、夫や子どもを立派に支え育てることで、世界と人類のお役にたちましょう」という教育にも、しっかりつながるんだから。

自分自身はまだしも、共稼ぎでがんばっている女性の状況は昔も今も本当にひどくて無残で、これを見て育った子どもや若い人が、女性が働く生き方、社会の一員として活躍する生き方に何の魅力も展望も見出せず、しかも今の男性はおおむね昔のようではなくて優しいから、専業主婦になろうという人がいるのもまったく無理はないものの、それは決して日本や世界や人類の歴史にとって、よい方向での問題の解決ではない。

「家で家事をして、夫を支えるのも立派な生き方ですよ」と言うのは正しいし、もっと主張もされていい。だがそれは絶対に「外で働いて、家事をする夫に支えてもらうのも立派な生き方ですよ」と「家で家事をして妻を支えるのも立派な生き方ですよ」と、常に三本柱でしっかり、みっちり、徹底的に主張されなければいけないので、今の日本でその三本柱が文化面はもちろん(そっちはまだいい方かもしれない)、法律面や社会面でしっかり築かれているとはとても思えない。少子化対策などは、そこを抜かしては語れまい。もっとついでに言うのなら、防衛問題だって、軍の増強するぐらいなら、食料問題と女性(男性)問題にとりくんだ方がきっと成果は上がると思う。なあ、カツジ?

Twitter Facebook
カツジ猫