沖ノ島の世界遺産登録について(つづき)
◎市長さんたちも県会議員の方々も、主催者の青年会議所の皆さんも、宗像市のために熱心に活動し、考えておられるのはよくわかりますし、その熱意や力を無駄にしたくはないと思います。
しかし、フォーラムで訴えられた「沖ノ島の文化財の保存」「宗像市の素晴らしさを子どもたちに伝える」などの目的のすべては、世界遺産に登録されなくても十分にできることと私は感じました。
とりわけ「女人禁制」と「歴史教育」という、最も激しい議論と対立を呼びそうな大きな問題点を抱えていることの重大さを考えると、膨大な予算を使ってまで、そんな危険を冒す必要があるのだろうかと思います。
宗像市は市長さんが強調しておられたように、美しい住みやすい町で、現在特に衰退しているわけでもなく、過疎化しているわけでもありません。むしろ発展しつづけているように私の目には見えます。
世界遺産登録にこだわることは、逆にこの町の住民を対立させ混乱させ、不快な場所にしてしまう恐れがあるのではないでしょうか。
世界遺産登録を強く勧めたのは、考古学者の吉村作治氏だったとのことで、それがきっかけになった運動のようです。吉村氏に他意はなかったのでしょうが、テレビ番組等の発言で見る限り、氏は女性問題にさほど関心がある方とは思えません。女人禁制について深く考えられた上でのご推奨とは思えません。
また、福岡県も熱心にこの運動に取り組んでいるとのことでしたが、吉村氏にしても福岡県にしても、地元で起こる対立や混乱、そのことによって損なわれる地域の絆の数々に、責任をとって下さるとは、とても思えません。
◎くり返しますが、私はあらゆる女人禁制が不快ですし、そのような場所の世界遺産登録には反対です。
しかし、それよりも心配なのは、このことにふれないまま、後戻りのできない所まで話を進めてしまった時、外部からの批判も受けて市民の中に起こる混乱です。
どのような結論になっても、結果は問題ではないから、このことによって宗像市が不快な場所にならないように、最大の努力をしなければならないし、それをするのは市民である私たちしかいません。
前にも書きましたが、女人禁制の問題については、私と親しい人たちの中でも意見はさまざまです。男女に関係なく、反対と賛成の意見があります。
痛いところにふれないように、臭いものにはふたをする、というのではなく、しっかりと冷静に、この問題について、あらゆる場所で正直に率直に話し合うことが、今は何より大切なことだと思います。
(いったん、これで終わりですが、またいろいろと書く予定です。)