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私もめったに愚痴は言わないが(そうか?)

◎昨日という昨日は本当に死ぬかと思った。
このところ、校正ゲラのチェックが忙しく、講座や授業の予習がなかなか思うにまかせない。まずいよと思って、昨日は明け方まで準備をしていて、ふらふらしながら講座に出かけた。

この講座は月に一度だが、その週は木曜から毎日授業や講座が連続して私に言わせると「死のロード」の週で、金曜の夜から土曜の朝にかけては私は身体も心も、こわれもの寸前の状態になる。

もうだめだ、死ぬと思って毎回出かけるのだが、よくしたもので、この講座は少人数だが皆さん大変楽しい方々で、対話もはずみ、質問も活発で、終わった時には(まあ全部これで終わったとほっとするせいもあるだろうが)、何と疲れるどころかリフレッシュされて、みごとに元気をとり戻してしまう。(笑)

昨日もそうで、講座が終わった時点でぐっと体調がよくなり、このところ不眠つづきで恐くて測れなかった血圧でも測ってみるかと思いつつ、カツジ猫におすそわけする、おさしみなどを買って帰宅し、出身大学の国語国文学会が明日だったか次の週だったか、手帳にも書いてないしハガキはなくなったし、しょうがないから若い院生に電話して聞いたら、彼はあきれた風もなく、落ち着いた様子で「今日です」だと。
(しかも彼は午前中発表したらしい。わ~、実にすまなかった。と、ここでわびてもしかたがないが。)

◎夕方から恩師の講演、夜にはその先生の受賞祝賀のパーティーとかで、それだけでも出ようと、大急ぎでまた派手なワンピースに着替えてバスに乗ったら、土曜のこととて渋滞で、講演が始まった直後にこそこそすべりこんだ。

終わったあとで、恩師が廊下で私をつかまえ、どうだったかと感想を聞くので、「言いたいことはわかりますが、あんまりあれこれ言いすぎて、賛成も反対もしようがないから、もっとしぼって話した方がいいし、近代主義の批判とか、ややこしいことはこの際省く方が戦略的に正しいと思う」と、文化勲章以下大きな賞を総なめにして天皇陛下へ御進講も行った大変偉い先生に天を恐れぬ意見を言ったら、そういう立派な方は余裕があるから全然怒ったりはされないで、「でも僕は戦略的ということはあんまり考えてないんだよ」とおっしゃるので、「しかしマイナスになるようなことを、わざわざすることはないでしょう」と、こっちも言い返して、しばらく話していたら、その間に会場では総会は終わってしまった。

「先生は西鶴の作品に政治批判があるとするのは、まちがいと主張されましたが、私の感覚ではそんな政治批判説は30年も前にもう否定されちゃってませんか。今さら何を」とも私は言ったのだが、その後、パーティー会場で若い女性研究者に聞くと、「最近はまたそういう見解が出始めているんですよ」とのこと。ひゃ~、そうなんですか。恥ずかしい。

宴会の後、女性の後輩二人と、喫茶店で遺産相続、介護問題、ニート婚など話していたら、第一線で活躍中の二人をさしおいて、また私がしゃべりまくってしまい、申し訳なかった。精神的に疲れていると、口にしまりがなくなるのだ。
そして、危うく終電に乗り遅れそうになり、500円奮発して特急に乗って帰宅した。

◎こう書くとあまり深刻そうにも見えないのが私の不徳のいたすところと言おうか損なところと言おうか、まあ自分でも笑うしかないのだが、私の体調も仕事の進行も経済状態もいろいろまったく深刻で、特に体調は、見た目以上に限界に来ていると、何となく自分でわかる。

不機嫌な顔をして、ぶちきれて、泣きごと言って、陰々滅滅に沈んでみせないと、結局周囲はわかってくれないのだろうか。そういう人をかわいそうと思う前に、ちょっとは私のような人間のこともいたわってほしい。いや~、やっとこさ、少しは愚痴らしくなったかしらん。(笑)

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カツジ猫