西田広報
神も仏もご先祖様もそう信じてるわけでもないが、そういうもろもろに誓って、今回は絶対に中身のないバカなことしか書かないぞ。
プロ野球のホークスは、いつの間にか二位の西武や日ハムに七ゲーム近い差をつけて首位を独走しはじめている。ファンサイトとかのぞいて見ると、「また一強で面白くない」「ファンは見ていて退屈じゃないのか」「あまりにも他と実力がちがいすぎる。もうチームごとメジャーに行ってくれ」などという意見がひしめいている。
ホークスに限らないがワイドショーだのニュースだのでは勝ったチームのいいとこだけをちょこちょこ見せるだけだから、そんな気分になる人も多いのだろうが、つけっぱなしのテレビで割りと毎回仕事のかたわら試合をながめていると、到底そんなに他チームと差があるようには見えない。どうせ私はシロウトだから知らんけど。
まあシーズンの前から日ハムが独走するだろうとあれだけメディアが専門家や解説者も含めて一辺倒で断言してたから、それはそれで「そうか?」と思っていた。その反動も大きいのだろうが、日ハムにしろホークスにしろ、なぜちょっと勝っただけで、こんなにものすごいチームのように皆がこぞって持ち上げるのだろう。唐突だが太平洋戦争もどうせこうやって始まったんだろうとまで、つい思ってしまう。
実際には私が見ただけでもホークスはどの試合でも苦戦していた。最下位のチームとでも首の皮一枚で何とか勝っていたし、途中まで見ていても、ぱっとしなさすぎて、これで勝つっていうイメージがまったく見えなかったりした。それでも結果として勝つのが強くてすごいのかもしれないが、圧倒的だの強いだの感じたことは悪いけどいっぺんもない(笑)。
どうして世間や専門家とここまで私はちがうのかととまどいまくっていた時に、一服の清涼剤は(笑)、オールスター戦でのホークスの栗原陵矢、西武の髙橋光成両選手の即席バッテリーの一幕だった。
このニュースはけっこう流されたから知ってる人も多いだろう。しばらく前からオールスター戦では、プレー中の選手にマイクをつけて、しゃべらせるという試みをしている。それでなくても最近のオールスターが真剣勝負ではなく、お祭り騒ぎになったという批判も多いし、「せめて野手につけさせるのならいいが、集中が必要な投手や打者にしゃべらせるのはよくない」という意見がまあ大勢をしめていた。
それなのに、このバッテリーの両方にマイクをつけさせるという、天もファンも恐れぬ行為に主催者側が及んだところ、何とこれがめちゃくちゃ好評で批判は私の見た限り皆無、「お祭りだからこれでいい」と、一気に今後のオールスターの方針まで決めてしまった感さえある。いくら何でも主催者にもこれは予想を超えただろうなあ。二人に金一封ぐらい出してやってもよかろうと思うレベルだ。
栗原選手はホークスの中では多分私のひが目じゃないけど、とことん無邪気で無防備で優しくて人がいい。親友同士で有名な周東選手が一見線が細いようで、その実したたかで強靭で得体が知れない凄みがあるのに比べると、悲しいぐらい裏表がない。正直彼が新選手会長になったとき、私は今年の優勝は絶対無理だろうと確信したぐらいだ(笑)。あの人の良さと素直さで荒くれ選手やフロントと太刀打ちできるはずがない。それぞれにタイプはちがうがこれまでの選手会長は皆それぞれに、迫力や凄みや狡猾さ(ほめてます)があった。
ホームランの量産は意外だったが、それ以外の政治力や指導力でもちゃんとボロを出さないでやってるようなのが、去年以上に苦しいチーム事情の中で、どうしてなのか信じられなかった。ここから先は完全に妄想だが、案外いつもくっついている周東選手が、いろんなかたちでサポートしているのかもしれない。「相談なんてしたことない」とおたがいに言っているし、周東選手は「それぞれのやり方や特色があるんだから」それでいいんじゃないですか、と、口は出さないどころか、誰より先に悪口を言ったりけなしたり(「いいところなんて、別にないんだよなあ」と言ったり)バカにしたりしている。
だが、そこが怪しい(笑)。
栗原選手はもともと打てなかったり調子が悪かったりすると、ベンチでお通夜のように沈んで暗くなり、周囲も陰鬱にするのがけしからんとファンの間でよく批判されてた。私はそんなのは彼の特色で、無理に陽気にしていろという方が無茶なんだから、あれでいいんだと思っていた。そんなこと要求しても、できるわけがないキャラである(と思う)。
でも知らんけど(ほんとにすべて妄想です)、同僚たちにはひょっとしたらやっぱりちょっとそこはいらっとする時もあるかもしれなくて、そういう時に先頭切って、「足が遅い」「だめじゃん」「賞の対象になんかなるわけない」と、そこまで言わんでもということを言ってくれる親友は、周囲のガス抜きにもなり本人の救いにもなる大切な仕事なのかもしれない(ちなみに周東選手は、他の若手や新人や大会時の他チームの選手のミスは、すかさずとても優しくかまって、かばうので有名でもある)。
先日久しぶりに「月間ホークス」を買って読んだら周東選手のインタビューが出ていた。「選手会長やめてもすることはそんなに変わらない」「クリ(栗原)だけにまかせておくわけにも行かないし」などとけろっと言ってるのも、何やらおかしかったが、特に「上の人には言いたいことがたくさんある。でも言えるわけではない。選手会長のときはその立場を利用していろいろ言わせてもらった」みたいな発言には、思わずこいつやっぱりと思った(笑)。「上の人」が首脳陣か先輩かその両方なのかはわからないが、指導者や支配者の視点を選手会長になる以前から持っている。「選手会長になって成長した、変わったと思いますが」とそのインタビューでも(カメラマンまで同意で)言われていたが、「そうなんですかねー」としか答えていなくて、一応大人しく受け流しながらも、その釈然としない表情が目に浮かぶようで笑ってしまった。彼の特徴は球場全体を見渡す判断力のすごさとも言われるが、日常生活でも職場でも若い時からずっと、それは変わっていない気がする。選手会長で変化したわけではない。
栗原選手との仲の良さも、「子どもなんですよ」と栗原選手に言われるとおり(そして多分心からそう信じられている通り)、一見「わがままな彼女」(とファンが書いてた)風を貫きながら、常に相手の立場を考慮し、チーム内での居心地をフォローしているような気もする。だから時にはぶちぎれて携帯投げつけたりするんだろうね(笑)。


さてその栗原選手は、これまた誰に対しても、あけっぱなしで素直だから、相手は誰でも変に優しくなるのかもしれなくて、いつもは天敵の髙橋光成投手が、長髪もしゃもしゃの強面風なのに、塁上のランナーに対して「クイックしない」と言ったのに栗原選手(捕手)が、「おれちょっと盗塁刺したくもあるけど」と甘えると「じゃクイックする」とすぐ変更するし、その結果もそれ以後もやることなすこと皆失敗でばかすか本塁打を打たれ、「こーな!」「クリ!」とぼやきあい、あげくのはてには「おれたちのマイクの声、敵にも皆聞こえてるらしい」「え、そうなん?」「どうする?どうする?」とあたふたしたあげく、放送席のゲストの松坂大輔、古田敦也の両氏にまで「どうしたらいいですかね?」と夢中で相談する始末。お二人も困って適当な返事をして、それに従ってまた打たれて、大量点を入れられ「長かった~」と嘆きながら引き上げて行った。
いいところまったくなしで、ネットではポンコツバッテリーと名づけられ、でもこれがなぜか大受けで、「一流のバッターって、球種さえわかればあんなに的確に長打打てるんだなあ!」という発見も新鮮で(そう言や、コミック「忘却バッテリー」でアホの圭から、どうやったら打てるか聞かれた強打者の藤堂くんが「ヤマはるんだよ」と答えてたっけな)、「道理で坂本選手があんなに打席で笑ってたはずだ」などとの感想が飛び交い、大盛り上がりの大人気、「髙橋光成の優しさを見直した。ファンになった」という声も多数。傷ついた人が誰もいない。
思えば前回のオールスターでもホームランダービーの投手を務めて、へばりつくした栗原選手は、ちっとも同情してない笑顔で水持ってきた周東選手や、賞金を半分わけてもらった近藤選手にいたわられてて、こういう情けないかわいそうなシチュエーションが似合うし魅力的なんだよなあ。実戦の場合は味方はイライラするけれど、それを補って余りある罪のなさがある。この魅力を維持したまま実力をつけて「憎たらしいほど優秀」になるのは、なかなか大変そうだが、がんばってほしいものだ。
あ、そうそう、一番書きたかったことを忘れてた。
最初に書いたようにホークスは、けっこう毎回ぎりぎりのゲームで勝利して来たのだが、その中のひとつに、南海ホークス時代のユニホームや登場曲を駆使して伝統をふりかえるみたいなイベントの試合があった。昔のユニホームがかなりカッコよく、当時をなつかしむファンも喜んでいて、これで負けたら洒落にならんぞと思っていたら首尾よく勝った(笑)。
その試合ではベテランの柳田選手も活躍したから、最後のヒーローインタビューに呼ばれるのは、伝統をふりかえるテーマから言っても、彼なのかなと思ったし、そうなっても誰も不思議に思わなかっただろう。ところが実際に呼ばれた二人は、対戦相手の日ハムから移籍して間もない上沢投手と、今年ベイスターズから電撃移籍してきたばかりの(本人も自分が一番の新人ですとか言っていた)山本祐大捕手だった。もちろんどちらも活躍したから呼ばれておかしくないのだが、要するにホークスの伝統という点から言えば、まったく無色と言ってさえいい、新人の二人だった。
意外だったけど、私は本当にうれしかった。ホークスというチームの強さと立派さをあらためて感じた。こんな最高の演出を大胆にも考えたのは、凄腕の西田広報なんだろうと思うと、それもうれしかったし、知ってか知らずかどっちでも、周囲や上部が何も言わなかったのも、こよなくたのもしかった。
こんな大事な伝統の花道の先頭に、他チームから来たばかりの、それまで縁もゆかりもなかった二人を呼ぶ。何とまあ粋でカッコよくて、そして自信にみちあふれたチームなんだろう。祝福するファンも、生え抜きの選手たちも。
国も社会も世界も組織も、こうあってほしい。伝統に縛られず、異質なもの、新しい参加者を排除せず、その人たちを信頼し、格差も差別も序列もなく、ともに未来を作ってほしい。
どこまで西田広報のお仕事なのかも知らないが、とにかく深く感謝します。
あ、ひとつ追加。リンクしたインスタグラムもユーチューブも、どれも、くっついてるコメントがやたら面白いんです。インスタの方はコメント欄が見つけにくいかしれないけど、何とか見つけて、それも大いにお楽しみ下さい♪
ちなみに上のインスタは、右下のShortというところを押すと、元の画面が出ます。その画像の右側に並んだ記号の四角いのを押すと、コメントが現れます。ユーチューブの方は右下のYouTubeの記号を押すと元の画面が出て、下についてるコメントが読めます。