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読書三昧。

「マーチ家の父」を読みあげた。いや、これはすごい。いろんな意味で、堪能した。
「若草物語」の父親の戦場での体験だが、戦争の悲惨さ、奴隷制度の醜さ、戦時の混乱、そして女性問題、どれもこれもこれでもかというぐらいに伝わって来る。
まあもともと私はオルコットもその作品も、愛憎相半ばするところがあり、だからこれだけ手放しで楽しめるし喜べるのだろう。あの世界を大好きな人が読んだら、またちがう感想を持つかもしれない。ショックや怒りを感じるかもしれない。

何がすごいって、父親自身が語り手なのに、この人の甘っちょろさや薄っぺらさや情けなさが、ものすごいほどあらわになって行くところで、この傲慢さと弱さとはた迷惑さとを、これだけみごとに本人に語らせてしまう作者ってのは、悪魔みたいな女性だな(笑)。最後のグレイスとのやりとりなんて、私、久しぶりに殺意を感じるほど怒ったよ、いや何となくだけど(笑)。それも絶対、作者の計算の内だってのがまた何とも。

「若草物語」で、まるで存在感なかった「お母さま」が、これだけ血肉をそなえた、そしてこれまたけっこううんざりさせる女性として描かれるとは。私、実際にこういうタイプの女性って、いろんな活動や何かの中でしばしばお目にかかるので、このうざさと暑苦しさは体感として、よくわかるんだよね。

二人ともそういう点で好きじゃないけど、でもリアルで、生きてる人みたいによくわかる。そして、どこかやっぱり愛さずにはいられない。お見事。
他の作品も読みたくなった。あー、泥沼だわ。

◇今夜はDVD鑑賞もしないで、ベッドにひっくりかえって、これを読んでたのだけど、静かな部屋の中で私とベッドにいて、のどをかいてもらいながら寝ているのが、カツジ猫はたいそう幸せそうだった。
のどをつめでかいてやってると、思わず無意識にらしく、後足をあげて空をひっかくのが、おかしくも、かわいかった。ときどきは、こんな夜もいいものだね、カツジ。

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カツジ猫