中途半端のアドリブ3-「平家物語」のあらすじ(続)
前回のまとめをすると、
- 平家物語の真ん中、折り返し地点は、平家一族の「都落」である。
- 前半は、「3つの反乱」が中心である。
- 後半は、「3つの戦い」が中心である。
これだけ覚えたら、次に進む。
前半の「3つの反乱」の1番目は「鹿ケ谷の変」である。
これは、平家に役職を占領された貴族が腹を立てて計画して、京都の郊外にある鹿ケ谷の別荘で会合を開いたから、こう呼ばれる。
でも、貴族すなわち公家たちは口は達者だが、戦いのことは何も知らない。だから、すぐばれて一網打尽になった。
それで、この反乱には戦闘はない。捕まった人たちがどんな目にあったかというエピソードばっかりだ。でも、これが面白い。その話は後で。
2番目に起こった反乱は「高倉宮の御謀反」である。
高倉宮は天皇家の皇子の一人である。なお、この時の天皇は高倉天皇というのでまぎらわしいが、これとは別人で、もっとマイナーなお方である。
しかし、いくらマイナーったって、天皇家のひとである。その人が起こしたことでも「謀反」と呼ばれちゃうのだから、当時の平家の権勢は恐ろしい。
もちろん、こんなこと、宮が一人で思いつくわけない。たきつけたのが源三位(げんざんみ)頼政という老武者である。この人は、源氏一族が壊滅状態になって平家全盛の世になっても、一人しぶとく自分の一家を守って、そこそこの地位を確保していた人である。
それがなぜ、今になって、と誰もが不思議に思うだろう。思わなくても思って下さい。「平家物語」がその理由を力入れて書いているから。でも時間がないからここでは述べない。
ただ、こういう人で、老人とは言え武士、むしろ百戦錬磨のつわものだから、この乱も事前にばれるのだが、そうあっさりとつかまったりはしない。ばれたことを察知して、宮を守って一族で逃げ、宇治の三井寺にたてこもる。そして追ってきた平家の大軍と激しく戦って全滅する。高倉宮も流れ矢にあたって死ぬ。
でも、この間の戦闘は短いけれど面白く、スポーツ競技を見ているような爽快感がある、と言っておこう。この合戦では、宇治川をはさんで、狭い橋げたの上のアクロバットみたいな戦いやら、川渡りやら、やはりスポーツ大会と思っていてまちがいない。死んだ人たちには悪いが、そうだからしかたがない。
3番目の反乱は「頼朝の旗上げ」である。これは成功して、平家は都から逃げ出すので、結果としては反乱ではないが、最初は反乱であった、とこじつけておこう。
頼朝という人は、あまり面白いエピソードはないけれど、むしろここでは、この人に反乱をたきつけた文覚(もんがく)という坊主の名を覚えておこう。いや、覚えていても試験に出るほどのことはないので無駄かもしれぬが、この坊主はやはり覚えていて損はないのである。どうでもいいが、落語にまで出る人である。江戸時代の歌舞伎や浄瑠璃にもよく登場する。一口に言うととんでもないやつである。でも、長くなるから、ここまでにする。
また、まとめると、
- 鹿ケ谷の変は、アホな貴族の計画倒れ
- 高倉宮の御謀反はアクロバティックなスポーツ大会
- 頼朝の旗上げは文覚坊主の企み
ということになる。
では後半の3つの戦いに移る。でも私も疲れたから、聞いてる方も疲れただろう。これはまた、明日にしよう。