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せめてドラゴンを。

◇上橋菜穂子さんの「精霊の守り人」「闇の守り人」をたてつづけに読んじゃったけど、楽しかったです。どーでもいいようなことだけど、女が戦って男が料理してるだけでも安心して読める(笑)。くにゃくにゃした女がみごとに一人も出ないのもいい。それに、正義と悪が決まってないのも「ハリー・ポッター」よりも私は楽しめる。「ドラゴンランス戦記」や「熱砂の大陸」みたいな、快さ。小野不由美さんの「十二国記」を初めて読んだときのような、安心感と快感だった。
それにしても、小説の世界では、これだけ精緻で高級な世界観や倫理観がきっちり構築されているのに、今の日本の現実では、特に支配層や多分富裕層の文化度みたいなのが、何と粗雑に粗悪になっているのだろうかと、ちょっと呆然としてしまう。非常識や悪の精神が跳梁跋扈するのは、文学の一つの役割だし重要な義務と思うのに、現実の方があまりにすべてアホで粗悪なものだから、小説や文学が「悪い子」になるヒマがないって、それはそれで何か不幸だ。

◇今朝は早く起きて、まだ涼しい内に二時間ほど、草取りと枝切りにいそしんだ。もしゃもしゃの雑木のかたまりが、カツジ猫の毛をすくように、すっきりなった。まだ途中なのだが、これなら8月中に何とかなりそう。
問題は、猫の命日と、お客さんが来るかもしれないのに、家の中の片づけも庭の草取りも間に合いそうにないことだ。まあいいや、何とかしよう。

◇都知事選の話をいろんな人として見たら、「宇都宮さんは、年齢から言って今回が最後の挑戦のチャンスと考えていたこともあったのではないか」とか、「テレビで見たら鳥越さんはやっぱりいまいちで、宇都宮さんが出たらよかったと思ったから、ご本人もそう感じたのじゃないか」とか、「今後のためにも、鳥越さんの応援演説をしてほしかった。そうしたらかなり得票も変わっていたと思う」とか、「もっと早い時期から熱烈にていねいに、宇都宮さんに応援演説を頼めばよかったのだ」とか、いろんな意見があった。特に野党支持ではない人の中でも宇都宮さんの人気が高かったのに、ちょっと驚いたが、でも今回でもう政治的には何かできる余地はなくなったのじゃないかと、好きだという人たちも思っているようなのが悲しかった。
それこそ誰が悪いというわけではないが、残念でならない。

◇相模原事件だが、私は最初、無差別に障害者を殺す、その雑さが気に入らないと怒ったのだが、今日の新聞を見ると、まさに私が「その方がまだまし」と言ったように犯人は、自分なりに障害がひどくて世の中の役に立たないと思った人を選別して殺したらしいのがわかった。
無節操な相手には無節操になる私なので、手のひらをさっさとひっくり返して言うと、その妙にえらそうに選別をしている思い上がりとかん違いとが、ますますむかついてならない。前向きに正しいことをしているつもりらしいのが、醜悪すぎて滑稽すぎて、こっちが叫び出したくなる。
だいたい、何か世のため人のためになって目立つようなことしようと思ったら、最低でも少しは困難なことしろよ。弱くて戦えなくて、彼自身の判断によれば、殺したら皆に喜ばれるような相手殺して何が面白いんだよ。せめてドラゴンとか暴力団とか聖者とか、殺すのが難しくて、殺したら皆から攻撃されるような相手をねらえ。一人前のいい大人が、みっともないったらありゃしない。

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カツジ猫