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物語を!(3)

外交と並んで経済が首相の功績だというけれど、いったいその経済政策の何が成功したというのだ。アベノミクスなんてふざけた言葉は耳にするだけで不愉快で私は使ったことがない。そもそも国や国民のためを思ってする経済政策に、自分の名前をつけるのなど、はじめから何かかんちがいしてるとしか思えない。

ところで最近気づいたのだが、ワイドショーで政治経済のコメントをしているのが、タレントたちだったりするのは何なんだ。彼らの才能は認めるとしても、なぜそれなりの専門家に話させない。

さて、九条の会で私が話したことは次の通り。

「安倍首相の経済政策で生活が楽になったとか豊かになったとかいう人の話を、私は聞いたことがない。金持ちが豊かになれば庶民にもおこぼれが来るという話は、まったく実感になっていない。それでも、とにかく株価を安定させておけば何とかうまく行っているように見せかけられるから、安倍の経済政策は、ひたすらそれに全力を傾け、それに始まってそれに終わった。庶民の暮らしを楽にして、その結果景気もよくなり株価が安定するということではなく、とにかく自分の身の安全のために株価を安定させようとした。」

「外交同様、この首相と内閣のやることは、すべて順序が逆立ちしている。自分の見てくれをよくするためにということから話が始まる。この品性のいやしさにつける薬はない。
見た目だけの粉飾だから、日銀は非常識なことをいろいろして株価の維持に血道を上げ、ついには年金まで危険な運用につぎこんで、目減りさせている。たかが能力のない首相のメンツのために、国民の老後が食いつぶされたのだ。高齢者の老後が保障されないということは、若者にその負担がのしかかるということで、とりもなおさず若者の未来も奪うということでしかない」

問題は、このような現状に誰もが怒りの声をあげない、ストレートに政府への怒りに結びつかないということで、これも時代のせいとかではなく、自己責任とか自助や共助とか言って、すべて個人の責任と思わせるよう、政府が洗脳しまくった結果だ。(どうやら、次の政権も、これを推し進める気でいるらしい。そりゃあんた、楽だろうよ。国のするべき一番の仕事は国民の生活を心配することで、それをやらんでいいとなったら、こんなに気楽な商売はないわ。)
国や社会が保障してくれるあてがないから、誰もが必死で働かざるを得なくなり、ゆっくり政治や歴史や未来のことを考えるヒマもなくなった。その一方で覚せい剤や大麻やカンフル注射のような、派手なイベントや娯楽や馬鹿騒ぎを浴びるほど国民に与えて、熱いトタン屋根の上の猫みたいに、四六時中跳ね回っていないと落ちつかない環境を作って、これまた考える時間と場所をなくさせた。

「安倍の辞任から総裁選と、本質も現実もほったらかした、空疎な虚構の物語が作られて、目の前の事実さえが改ざんされようとしている。これに対して、私たちがきちんとした物語を作り直し、語り直し、広め直さなければならない。それができるのは、私たちしかいない。私たちがしないで、誰ができるというのか」

だいたい、こういうことを、しゃべった気がします。(おわり)

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カツジ猫