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緊急事態条項について(1)

岩上安身氏の文章を引用します。一部分です。赤線を引いたのは私です。

 しかし、ここで申し上げたいのは「自粛」によって、私たちのコンテンツがさびしくなった、などという小さな問題ではなく、市民が声をあげる場が、コロナ禍とはいえ、皆無になってしまっているという異常事態についてです。

 

政府を忖度するマスメディアは、安倍総理が特措法の緊急事態宣言を発令した4月7日前から、早く発令せよ、と足並みをそろえてはやしたてており、最近になってからは「緊急事態条項を改憲し新設する案に賛成か反対か」という世論調査を行い、5割の国民が「イエス」と答えるという結果を引き出し、改憲による緊急事態条項を歓迎する「空気」が作り出されています。(「改憲」という質問に至っては6割が賛成)

 

※緊急事態条項の賛否二分 憲法改正「必要」は61%(共同通信、2020年4月29日)

https://this.kiji.is/627988163796108385

 

「空気」には徹底的に弱いのが日本人です。もちろん、「空気」は人々の言動、行動、アピールによって変えることができます。

 

「賛成」と答えた人の多くも、改憲による緊急事態条項の導入を、特措法の緊急事態宣言のよりハードなバージョンという程度に受け止めている人が大半でしょう。政府も御用マスメディアも、事実を知らせようとしない、そんな時であっても、改憲案の危険性を知っている市民が街頭に出て集会を行うなどすれば、人々に事実を伝えていくことができるはずです。

 

ですが、声をあげるために街に打って出ようとしても、それが今はできません。コロナによって行動を封じられてしまっているからです。

 

誰も外へ出られない。誰も街にいない。誰も飛沫を飛ばすほど叫べない。そんなタイミングを狙って、案の定、というべきか、政・官と一体になって、既存記者クラブメディアは、改憲による緊急事態条項の必要性をうながすような「世論調査」を行い始めているのです。これは「世論調査」の名を借りた「世論操作」(マニピュレーション)ではないかと疑いたくなります。

 

これは不気味です。同時に実によく練られた策略であると思います。

 

国民が、いや全人類がコロナ禍で苦しんでいるという時に、民主主義を根本から徹底的に破壊し、ヒトラーの全権委任法を上回る改憲による緊急事態条項で独裁権力を樹立して国家総力戦体制を作り出す。そのためにコロナショックまでも、あざとく悪用する。その執拗さからは、改憲への狂気じみた情熱、主権者たる国民に対するとことんの軽悔、民主主義へのあからさまな敵意、そして靴の裏でもなめんばかりの日米安保への隷属根性を改めて感じさせられて、空恐ろしくなります。

 

3月14日の会見に私は、安倍総理に質問しました。総理は特措法での緊急事態宣言においては 「報道の自由は守る」と発言しましたが、私がたずねた改憲による緊急事態条項について「これはまったくの別のもの」であり、「国民の皆様が決める」ものだと自信を見せて、私が口にした「懸念される安倍独裁」という言葉については否定も肯定もしませんでした。

 

※総理会見で岩上安身が直撃質問!「報道、言論の自由は担保されるのか?」「非常事態宣言で国民を慣らし、改憲で緊急事態条項を導入!?」安倍総理は「安倍独裁」を否定せず「国民が選ぶこと」と回答!! 2020.3.16

https://iwj.co.jp/wj/open/archives/469996

 

私はこの質問の際、改憲による「今回の特措法の非常事態宣言がひとつの布石となって、国民を慣らし、その後にこの緊急事態条項を導入するのではないか、という懸念があります」と発言しましたが、私が懸念した、悪い予測の通りに次々と物事が進行しつつあります。

 

安倍総理は4月7日、衆院議院運営委員会で、「今般の新型コロナウイルスへの対応も踏まえつつ、国会の憲法審査会で与野党の枠を超えた議論を期待したい」と、憲法に緊急事態条項を新設する改憲の議論を行うよう呼びかけ、自民党憲法改正推進本部は10日、有事に政府権限を強める緊急事態条項を憲法に新設する改正案を協議しました。

 

※コロナ禍 首相、改憲議論呼び掛け 野党議員「不要ではないが不急」(東京新聞、2020年4月8日)

https://www.tokyo-.co.jp/article/politics/list/202004/CK2020040802000141.html

 

 

※緊急事態の改憲論議 自民、野党に呼びかけ コロナ拡大踏まえ(日本経済新聞、2020年4月10日)

https://s.nikkei.com/3bS4faB

 

一方、共同通信の世論調査によると、個人の権利を制限できる緊急事態条項を憲法に新設することに51%が賛成と答えています。

 

※緊急事態条項の賛否二分 憲法改正「必要」は61%(共同通信、2020年4月29日)

https://this.kiji.is/627988163796108385

 

2012年、自民党が改憲草案を発表して以来、直後からIWJは早くからその危険性を見抜き、批判を繰り返してきましたが、とうとうここまできてしまったのか、という感があります。

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