「水の王子」通信(81)
ちょっとわかりにくいですけど、これはタカマガハラの空飛ぶ船から下界の津波をニニギが見下ろしている場面です。
続編?の「回復期」で、村の若者たちが、新しくなった村で、津波を防ぐか避けるかするにはどうしたらいいかと話し合う場面で、ニニギの過去の体験が紹介される時のことです。
ニニギも日本神話では重要な役割で、アメノワカヒコの後でタカマガハラからナカツクニの村に訪れ、コノハナサクヤと結婚してホオリとホデリとホスセリの子どもを生みます。
私の物語では例によって、どことなくその筋をたどりながら、大幅に変えています。そしてニニギは、見た目も中味も文句なしの立派な戦士ではあるけれど、ちょっとまじめすぎて融通がきかず、空気も読めない野暮な性格になっています。ちなみに私の制作メモでは、アメノワカヒコが「軽薄なプレイボーイ」、ニニギは「まじめなサラリーマン」、タカヒコネは「不良少年」のようなイメージと書かれています。
まあ、こういう人って、旧ソ連に生まれたらピオネール、ナチスドイツに生まれたらヒトラーユーゲントになるんでしょう。ただ私、こういう性格のキャラは、案外きらいじゃないのですね。エリートらしい鈍感さはありますが、陰湿さはかけらもなく、正直で誠実です。清潔で、まっとうで、けっこう好きだし、作品の中ではとてもいい役割を果たしてくれたりするのです。
彼のイラストのイメージは、あまり思いがけなくなりません。予想通りに描けることが多いです。この絵もそうで、まったく意外ではない、ニニギの姿でした。
ちなみに、タカマガハラの新世代、おしゃべりで陽気なタカヒメの噂話によると、イザナギの後継者として最高神たちが推していたのは、アマテラスがいなくなってからは、アメノワカヒコだったらしいのですが、それには反対派もいて、「どうも彼はどこか危なっかしい。少々能力が劣っても、ニニギの方が次の指導者にはふさわしい」という意見もあったそうで。あくまで私の物語世界の中のことですが。タカギノカミとタカミムスビのどっちがどっちを支持していたのかとか考え出すと、気になって夜も眠れません(笑)。もっとも当の二人、ニニギとワカヒコはどっちもそんなことは全然知らなかったし、気にもしなかったらしいけど。
ところで、電子書籍の販売ページでは自分で評価1をつけましたが、あれはあくまでアマゾンさんのシステムの不備による表示に対しての評価であり、作品に対しては評価5でも足りないと思っています(笑)。ですので、どうぞ、皆さまにはご購入を心からお願いします。表示の不備にはむかつきますが、スマホではまったく問題ないし、読んでいただけたら、ひたすら嬉しいです。