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国文学史レポート課題(和歌)資料

随時、追加して行きますので。
 仮名遣いは現代のものに直しています。(11月12日)

今回の歌はこれだけです。もう増やしません。(11月16日)

レポートの内容は次のとおりです。

1 書籍やネットで紹介されている作品を見つけたら、その記事を引用し、出典を明記して下さい。参照した資料と自分の感想の区別がわからない書き方は減点の対象になります。
 2 そういう手がかりがなかったら、辞書でことばを調べるなどして、歌の意味を調べて下さい。
 3 それらを参考に一首を現代語訳して下さい。
 4 自分の印象や感想、鑑賞を書いて下さい。個人的な好みや思い出も書いてかまいません。
 5 全部で十首を選んで、順位をつけて下さい。その理由も書いて下さい。
      ※提出する最終レポートは、この十首だけでいいです。
 6 現代語訳がまちがっていても減点はしません。
 7 不安な人は一部でいいから私にメールで送ってみて下さい。

8 もう一度、最終確認。
  最終レポートの課題は、下にあげた江戸時代の和歌の中から十首を選び、好きなもの、あるいはすぐれていると思ったものを、順位をつけて、各首について「調べてわかったこと」「現代語訳」「自分の感想と鑑賞」を記す、です。(11月13日)

 

かきつばた咲くなる池に風吹けばこき紫にさざ浪ぞよる

わぎも子とあいふしながら朝な朝なめずらしみ見ん朝顔のよさ

東(ひんがし)の山のもみじ葉夕日にはいよいよあかくいつくしきかも

ふるゆきにきそいがりする狩人の熊のむかばきましろになりぬ

昼行きし川にしあれど夕さればしずけくゆたに新しきこと

                    (田安宗武)

このさとにてまりつきつつこどもらとあそぶはるひはくれずともよし

やまざとのくさのいおりにきて見ればかきねにのこるつわぶきのはな

てをおりてうちかぞうればこのあきもすでになかばをすぎにけらしも

かぜはきよしつきはさやえしいざともにおどりあかさんおいのなごりに

われもひともうそもまこともへだてなくてらしぬきけるつきのさやけさ

                     (良寛)

すくすくと生(おい)たつ麦に腹すりて燕とびくる春の山はた

一人だに我とひとしき心なる人に遭い得で此の世すぐらん

楽しみは空暖かにうち晴れし春秋の日に出でありく時

楽しみは銭なくなりてわびおるに人の来りて銭くれし時

楽しみはいやなる人の来たりしが長くもおらでかえりける時

楽しみは妻子(めこ)むつまじくうちつどい頭ならべて物をくう時

                       (橘曙覧)

ここにもと人に言う間にさわらびのありかうしなう春ののべかな

今日もまたわが家にわが身帰りきぬ限りの門出いまだこずして

おのが身にまがうばかりもなれるこをなおはぐくめる親がらすかな

夕されば家路に帰る里人のになえる稲は土につくまで

ひとよねてさめぬる時ぞしられける昨日はいたく酒に酔いぬと

                       (大隈言道)

※この上の歌は、わりとネットや本で注釈が見つかるかもしれません。

 

あまりにも春の日影のながければ暮るるもまたで月は出にけり

おもしろくさえずる春の夕雲雀身をば心にまかせはてつつ

ともに見しひとも今はなし故郷(ふるさと)の花のさかりに誰をそそわん

ふるあめにともしは消えて箱根山もゆるは春のほたるなりけり

おとついも昨日も降りしゆう立は今日もふるべし雨つつみせん

晴ながらふりくる雨はたなばたの逢う夜うれしき涙なるらん

いろいろの花のかぎりをうつし植えてあれぬ庭をも野とぞなしつる

残りなくあらわれにけり山松の葉ごしに見えし秋の夜の月

いづくにか今は住むらんと故郷(ふるさと)の月もや我を思い出(いず)らん

露しもの色ぞまことにうつるらんいよいよしろし白菊の花

梅の花ちるにまがいてふる時は雪さえにおう心地こそすれ

燈(ともしび)のかげにて見ると思うまに文(ふみ)の上しろく夜は明けにけり

おおかみの子はふところにいれぬとも思いかけじといいし人妻

                    「桂園一枝」より

 

いとはやもふるとし遠き心ちして雨にかすめるけさの初春

のきちかく咲きぬる梅のこのまより遠山はたにわかなつむ見ゆ

何となくのどけきものは初はるのみどりの空ににほふ日の影

春くればいづくの山もひとへ山かさなる嶺もわかずかすみて

小雨ふる春の夕(ゆうべ)の山がらすぬれてねにゆく声ぞ淋しき

一年の花てふ花をつくしてもさくらにたぐふ色やなからん

花はただ霞みわたれる絶え間よりしらみそめたる明ぼのの色

うづまさの杜(もり)にひびきて聞ゆなり四方の田歌の夕暮の声

はるばると見ゆる水田の若苗の葉なみかたよる風ぞ涼しき

おもうふことひとつもなさであら玉の年の半(なかば)もまた過ぎにけり

木々の葉のきばみきばまぬ色々もわきてぞ見ゆる秋の夜の月

むれきてや朝餌(あさえ)あらそう霜寒き庭の垣ねにすずめしばなく

よいの間の雪におれ木の松たきて冬の夜ふかきさむさしのがん

わがおもいつつめばつつむけはいよりなかなか人に知られそめぬる

うつつには猶ぞつれなきこいしくてわたると見しや夢さきの川

はたとせに二とせたらぬきみ見れば我もわかえし心ちこそすれ

                 「六帖詠草」より

 

春さればすずな花咲くあがた見に君来まさんとおもひかけきや

田にもあらぬ千町の家をやきすててつくれる罪の程ぞ知られぬ

山越えて霞む梢を見わたせば絵によく似たる物にぞありける

よるの雨の露だにちらず桜花にほふばかりのけふの春風

故郷は春のくれこそあわれなれ妹(いも)に似るてふ山ぶきの花

いそぎてぞ早苗はうえんあし引の山時鳥なきにしものを

君まししむかしのはなのふじ原をほととぎすこそ今もとひけれ
   (こそ…已然形の係り結びは、何となくその後に「…なのになあ」というニュアンスが続きます)

すずしさの大路の柳陰ごとに馬もくるまもいこわぬぞなき

秋風はたちにけらしなさらしなやおばすて山の夕月の空

たなばたのあう夜となれば世の中のひとのこころもなまめきにけり

こよいまで今宵をまちてこよいあけば又の今宵をまたんとすらん

松のひびき萩のさやぎのさまざまに聞えて絶えぬよわの秋風

すみの江のうらわにたちて月みればなにわの方にたづ(田鶴)ぞなくなる

秋の夜のほがらほがらと天の原てる月影にかりなきわたる

今日もまたかくていく度(たび)しぐれましみねの朝日に雲かかるなり

すわの海や雪げのそらの雲間より氷をてらす月のさやけさ

人や来ん我やとわんとおもうまにわくる心は雪ぞしるらん

きくからにくやしき事のくやしきはあわで経るまの別(わかれ)なりけり

おもいつつぬ(寝)ればあやしなそれとだにしらぬ人をも夢に見てけり

                「賀茂翁歌集」より

 

立ちつづくしげみの桜咲きしより花ならぬ木も花の香ぞする

池水にうつろう時は白つつじとわにより来る波かとぞ見る

難波江やこおり流るる朝ごとにつのぐむ芦の数ぞそひゆく

わすれんとしいて思わじ忘られぬ思いのみこそかたみなりけれ

今はただ思わじと思う心にもなりねと神に祈るばかりぞ

若葉さす片山林露ちりぬ花にいといし風のなごりに

うち群れてとわるる春を過しつつひとりしづけき遅桜かな

わらび折る便りにといし里人のおとづれもなき春雨の頃

八重霞かすみながらにうちしめり野づらの庵(いお)に春雨ぞふる

軒端より雲もかすみも立ちそいて小雨そぼふる春の山里

白鷺のつばさの風に散るあしの吹雪もさむき冬の河づら

箱根路や関の夜嵐さえざえて月影凍る伊豆の海づら

人とわばいかがこたえん奥山のしげみがもとに住める心を

夕暮れの霧のまよいにいにし人帰らぬ空に雁は来にけり

立ちまよう雲は端山におさまりてみ山の月に隈だにもなし

夕月もくまなきよいの天の河思うあたりにいかが見ゆらむ

               「うけらが花」より

 

あれにけるまがきも春は結いそえん菫摘みにと来ん人のため

この園の春に胡蝶やあくがれん朝な夕なの花におう頃

川よどの水もながると見えつるは立つかげろうのうつるなりけり

春の日の遅してふ名は我がごとく花まつ人やいいはじめけん
   (「てふ」は「ちょう」と発音。「と言う」の意味。)

春ごとの花より外は世の中に待つこともなきすみかなりけり

桜ばなさかりとなれば散るうさも待ちしつらさも何か思わん

心さえはれゆく夜のすずしさは風こそ月の光なりけれ

風さそう夏野の草のたもとよりつつみもあえずとぶ蛍かな

稲妻のひかりにも見よやどるまはただしばしなる露の此の世を

よもすがら窓うつ雨にこたえつつしめやかに鳴くきりぎりすかな

さまざまの色ににほえる村菊はよるさえみよと月やてらせる

峯も尾ももみじ照りそう鏡山くまなく見ゆる秋のいろかな

人ごころかわるならいをたのむかなまたうとからぬ折もありやと

青海のいろにまがえるいさら貝波かきわけて誰か拾いし

               「琴後集」より

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カツジ猫