2024年度前期集中講義用掲示板(1)
目次
お知らせ
長くなったので、掲示板(2)を作りました。以後はそちらを見て下さい。(2024.6.29.)
最終レポートの評価
とりあえず、お知らせします。受講者全員のレポートを受け取り、採点しました。
不合格の人はいません。体調不良で欠席が重なり、特別にレポートを提出していただいて毎回の小レポートと合わせて評価した(合格しています)人が一名いますが、それ以外の人は提出者全員、優以上の評価です。
最後の授業でも言いましたが、今回はこれまでやったことのない新しいテーマで授業をしたので、理解していただけるか、やや不安でしたが、皆さんよく調べて下さって、よいレポートでした。表現や文章もよく整っていました。
独自のテーマをていねいに追求している人、大量の現代語訳を行った人、などの数名が秀の評価になっています。現代語訳が若干誤りが多かったり、不十分だったりした人もいますが、大きな減点をするほどではありませんでした。
現代語訳の誤りや、不十分な点の、ごく一部をあげておきます。他にもいろいろありますが、二例だけ。
「我ら」という場合、「我」と同じ単数を表現することもあるが、複数のままに訳している。
「奇妙奇妙」と言うのは「すばらしい」という意味の褒め言葉だが、それが訳されていない。
なお、「傾城水滸伝」の現代語訳の全部を読んでみたいと書いている人が数名おられます。ぜひ読んでほしいのですが、残念ながら現在では、現代語訳が出版されていません。
帝国文庫の中に「傾城水滸伝」が一冊あって、これは教育大の図書館にあります。一見ボロボロですが、大変貴重な本なので、大切に扱って下さい。
私も一冊しか持っていません。もし、古本などで、この本が手に入ったら、お知らせ下さい。一万円ぐらいで買い取ります。
「水滸伝」の方はいくらでも本がありますので、ぜひ全部読んでみて下さい。
※皆さんたちが小レポートで書いて下さった「集団内の役割分担」については、なるべく早く、この掲示板で紹介するので、もう少しお待ち下さい。
※また、小レポート用のノートも、その後でお返しします。事務室に預かってもらうかたちになると思います。その通知もここに書きますので、ときどきのぞいておいて下さい。
他に何かありましたら、メールで問い合わせて下さい。(2024.6.21.)
今後の授業予定
遅くなってすみません。今後の予定をお知らせします。(2024.6.7.)
6月8日
一限目
テキスト中心に、原作の道徳的な改変について。
李逵と秦明を中心に述べる。
小レポートは、李逵と張順の戦いの部分の現代語訳。
二限目
主要な登場人物と、「集団内の役割分担」について考察する(資料を配布)。
小レポートは、「役割分担」について、自分の知っている作品に関して述べる。
6月15日
一限目
現存した女武者について紹介(資料配布)。
二限目
小説の虚構と現実について、テキストに触れつつ述べる(資料配布)。
三限目
江戸時代の和書について、実物を提示して説明。
二度目だが、前回になかった資料もあげる。
最終レポート提出。
当日出せない場合は、
1)他人に託してもよい(事故や紛失については私の方では責任をとらない)。
2)人文事務室に提出する(16日以降は遅れた日数により減点)。
3)直接私に郵送し、あわせてメールする。(16日以降は遅れた日数により減点)。
以上です。何か質問があれば8日に聞いて下さい。
訂正
つい旧名を使いましたが、「第一部事務室」は「人文事務室」です。
最終レポート関係の連絡(5月28日)
風船、ふくろう、とんぼ、の皆さん
比較部分のコピーを第一部事務室に預けています。いつでも取りに行って下さい。
次回の授業が休みですので、少しでも早くお渡しした方がいいと思いました。
もし、該当箇所がちがっていたり、足りなかったりしたら、メールで連絡して下さい。
5月25日授業予定
一限目
1)晁蓋たちの事件について (水滸伝の第二幕?)概要を知る
財宝の奪取→三世姫の存在
2)作者たちの道徳観について考える (資料配布)
小レポート 主役をどこまで許せるか?
二限目
3)敗者への共感について考える
小レポート 勝者や強者が好きか、その逆か
(口頭で説明)
敗者への共感 平家物語 判官贔屓
正義と悪 正しいから勝ったのか、負けたのか
次世代の支配者による歴史の歪曲はあるか
歴史の解釈 樅の木は残った(原田甲斐)
正雪記(由比正雪)
華岡青洲の妻
時の娘(リチャード三世)
小レポート補充
最終レポートについて
これから、最終レポート関係の緊急連絡が増えると思うので、この掲示板はときどき見るようにしておいて下さい。
見落として、単位が取れなくなる可能性もありますから注意して下さい。
最終レポートについての、いろんな質問は、随時「小レポートノート」に書いて下さい。お返事は早い方がいいので、基本的に各自へのメールでお答えします。なお、私とメールの連絡がまだついていない人については、お返事を差し上げられません。その結果、注意が伝わらず、評価が下がることもあります。このことをご承知下さい。
※以下の人たちの「比較部分」は受け取っています。25日にコピーを渡します。
流れ星 林冲を護送途中で魯知深が救い、護送の役人が仕事をすませて帰る
じゅうたん 王進が母と逃亡し、史進に会って武術を教える
投げ槍 魯知深が新しい寺に着任し、林冲の妻が言い寄られる
※以下の人たちは「比較部分」は未提出で、まだ受け取っていません。
もし、すでに提出している人がいたら、至急、申し出て下さい。
(そろそろ提出しないと、作業が間に合わないかもしれません。)
風船、ペガサス、ふくろう、トンボ、ミツバチ、の皆さん
5月18日の補充
(2024年5月25日配布資料)
その時にお達は声を張り上げて、「かいなよ、私の腕前はよく知っているだろう。お前にはとがめられるべき点がたくさんある。貧しい者に金を貸して、利子をむしりとる程度がひどく、その催促のしかたも残酷だから、借りた者はその返済のために、とうとう子どもを人買いや遊女に売り、家も手放し、ホームレスになってしまう者も多いと、世間の噂で聞いている。それだけでなく最近では優之介母子に無理を言って、貸してもいない百両の負債を負わせ、利子を催促して彼ら母子に苦しみを与え、彼らの持っているものをすべて奪い尽くしたのは、これ以上ない、道にはずれたことではないのか。それと、おまえは何の資格もなく大したこともない商人の未亡人なのに、甲斐の殿様の城下町に住んでいながら、はばかりもせず堂々と『なまよみ屋』と立派な家柄や身分のある者のような屋号をかかげているのは、身分をわきまえない、殿への失礼である。これほどまでに重ねた罪の天罰を私が思い知らせてやろう」と悪口をあびせて叱りつけたことばそのままに、げんこつを握って、かいなの目の間をばしっとなぐると、かいなの鼻血がどくどくと流れて、赤い染料の入ったとっくりを倒したようで、目の玉も前に飛び出して、かたつむりが這っていた壁から粘液を引いてぶら下がっているかのようだった。かいなは、もはや、お達の強大な腕力に胸元をしめてつかまれて、息も止まりそうになっていたのに加えて、今こうしてまた目の間をひどくなぐられて、どうしてもちこたえられるだろうか。あっという間に「ぎゃあ」と、あおむけにそりかえるのを、お達はさらに怒りをおさえずに続けて三、四回なぐったものだから、かいなは、あっさり死んでしまったのだった。
(かなり意訳もしています。「蘇芳」は染料だけでなく食品でもあるかもしれないですが、確認できていません。屋号を使う権利についても、調べるひまがありませんでしたので、ごまかしています。それでもなるべく具体的に書くようにしています。「けり」とか「つ」は強調するときに使うことが多いので、なるべくそれも活かして下さい。)
本日のテーマ 「勝者と敗者のどちらが好きですか?」
「主役の悪をどこまで許せますか?」
5月11日の補充
遅くなってすみません。とりあえず、前回の課題の現代語訳を、順不同で。
竹世は、この大木をじっくりと観察して、「これはまためったにない大きな木だなあ」などと言いながら店の中に入って行って、護送の役人二人とともに三人で座敷に上がると、店の主人らしい一人の男で、年齢は二十七、八ぐらいだろうか、丸い大きなくりっとした目をして、髭をそったあとがあごに青々としている人物が、きびきびと出迎えて「お客様がたはお酒を飲まれますか、どのくらいの量をさしあげましょうか。お肴は、はたはたのうま煮があります。お吸い物もお刺身もございます」と言うのを竹世は聞き終わりもせず、「酒はどのくらいと限ることがあるものか。肴もどっさり持って来い」と言うと、主人は承知して、使用人らに、こうこうと細かく詳しく命令して、最初にお茶を勧めたりする。その合間に、主人は竹世たちの旅行の荷物に注目して、見ないようでじっくりと見ているのに竹世は気づいていたけれど、相変わらずさりげない表情を保って、微笑しながら主人に向かい、「あんたは独身なのか。どうして店に女性がいないのか」と言うと主人もにやにやして、「いや、妻はおりますが、ちょっと前に実家に行かせているので、使用人ばかりでございます」と言うのに対して竹世はうなずき「それは夜の生活がわびしかろうなあ。私が自由な身だったら、当座の援助をしてやりたいものだ」と声をあげて笑うと、主人もいっしょに大笑いして、「本当におっしゃる通りです。あなたが援助して下さるなら、これ以上ない幸せでしょう」などと答えて、いっしょに盛り上がった。そう言っている口先と内心は反対で、この主人が心の中で考えていたのは、「護送の役人につきそわれて島流しの罪をこうむっているらしい、この女めは、私の計画があるのを知らないで、気を許して馴れ馴れしく冗談を言っている、このバカさはどうだろう。もうすぐ思い知らせてやるぞ」ということだった。だが主人はそんなことを思っている気配はちらとも見せず、ひきつづき細やかに対応していたのである。
(「うち笑う」とかの「うち」は、「ちょっと軽く」とも「大いに」とも、まるで反対の意味に使うので、空気を読んでふさわしく訳して下さい。要するに「普通でない」ときの表現です。ここでは「大笑い」でも「ちょっと笑い」でもあり得ます。
「つぶらな」は丸いかわいい感じに今では使いますが、江戸時代はどうなのか、私いまひとつわからない。「どんぐり目」みたいな感じかもしれない。気になる人は用例などで追求してみて下さい。青い髭は、この場合、ひげを剃った後で、大きな丸い目とともに、もしかしたら、草食系じゃない肉食系の色男という感じなのかもしれません。)
さてまた話は変わるが、この成仏寺の裏門の前に住んでいる、荒っぽい暴力的な既婚未婚の女性集団たちは、今回、妙達が果樹園の管理人となったことを聞き知って相談するには、「あたしらは、あの果樹園の果実をたたき落として、いつもそれを売って生活資金にしているけれど、寺の主の尼はあたしらの強さを恐がって、とがめてやめさせることも、これまではしなかった。だけども今度の新管理人は、よその寺から移ってきた尼だそうな。一回試しにやっつけておかないと、調子にのることもあるかもしれない。これこれこのようにやってみyればよかろう」ということで、「釣り額のお化け」というニックネームの不良娘がたくさんのおばさんを連れて果樹園に出向き、妙達の就任祝いに来たということを話してだまして、果樹園の肥溜めのそばに連れて行き、突き落とそうとしたのを、妙達は早くもその様子で察して、相手に近づきながら足で蹴って、その「お化け」を肥溜めの中へぼしゃんと蹴落としたのだった。
そういうわけで「釣額のお化」は、計画とはまるでちがって、妙達に肥溜め池に蹴落とされて、「あっ」と叫んでもがく様子は、糞尿に汚れていない白いままの手足は漬け始めの大根のようで、汚れた頭は茶色に染まって充分に漬かった茄子の漬物のようだ。黄色い糞汁があたりに飛び散って、臭さに鼻も向けられない。トイレットペーパーは顔の目や口にはりついて、寺院の護符を貼り付けた仁王像とまちがえそうで、汚物は全身にくっついて黄疸を患った人が風呂に浸かったのかと疑いたくなる。仲間の不良女性集団はこの様子に唖然呆然として、「あれまああらまあ」とささやきあうことしかできない。臭気を避けて鼻をつまみ顔をそむけながら、皆そろって頭を地面にこすりつけ、「尼様、どうかお許し下さいませ。お許し下さいませ」と謝るのに対し、妙達は彼女らを見回して、大声で笑い、「このろくでなし女めら。大胆にも私をここに連れ出して、だまそうとしたバカさ加減にあきれる。もうちょっと言い聞かせることがあるぞ。そいつを早く洗ってきれいにして、連れて来い」と命じておいて、肥溜めから離れたもとの場所に引き返し、建物の中へずいっと上がって、どっしりと座って皆の様子を見守っていた。
(かなり大事なのは「我等」です。古典では「我ら」と言っても「我」と同じで単数のことが多いです。「私たち」とも「私」とも訳せますから、前後の意味で決めて下さい。「私なんか」とでもいう感じでしょうか。
肥溜めは私の幼児期つまり五六十年前にはあちこちに普通にあったのですが、今はもちろん影もありません。大きさもいろいろですが、まあ写真でも見て調べて下さい。人が落ちるぐらいは充分な大きさです。こういう描写が妙に詳しいのは、それなりの読者サービスだと思います。ちなみに昔は糞尿は貴重な農作物の肥料で、嫌悪されるだけのものではありませんでした。江戸時代には都会の糞尿を農家が買い取っています。)
質問すると主人は軽く首をかしげて言った。「そうですねえ、このあたりの町に、そういう人がいるという話はないですね。ただし、天王寺の隣村に一人の女性の秘書官がいますよ。その人は、この地域の秘書官の押司様の娘さんで、名前を「大箱」と呼ばれています。それで父親の押司様が去年亡くなられて、家を継ぐ男子がいなかった。でも大箱様は生まれつき文筆業について優秀で、親が健在でいらっしゃるときにその勤務状態をさえ見覚えて、公文書などは男性以上に作成すると、世間の噂で有名だったから、地域の支配者がお聞きになられたのか、呼び出されて試しに仕事をさせてごらんになると、世間の噂に少しもちがう点はなかった。ただそれだけではなくて、その大箱さまのお心は慈悲深くて、目上や年長者や親への義務もきっちり果たし(中略)、こうまでも立派な女性なので、支配者は感服して、父親の給与をそのまま与えただけでなく、父の後継者に大箱様を任命され秘書官にまでなさったのだった。こんな仕事を他人もいないかのように女性に命令されたのは、愚かな御計画のようだけれども、現代の社会は京都でも女武者所という部署を設置なさって、各地にも同じような部署が出来てきている。だから、この地域のお役所の女武者所にも『直とびの稲妻』『篠芒の朱良井』という二人の女武者までいる。こういうことだから女性秘書官を公式に使用されるというのもそんなに異様なことではない。もちろん、今の話の大箱様の自宅は宗公明村にあります。自宅には母上と園清という妹一人がいるそうです。そういうわけで大箱様は、毎日通勤して、役所に個別の仕事部屋を頂き、男性とは関係なく仕事をされていらして、人々の要望は何でも私利私欲なく、地域の支配者に役立つこともめだって多いので、目上も目下も喜ぶことは言うまでもなく、支配者もかけがえのない家来と感じておられるから、出世頭として勤務していらっしゃる。重要な地位の人ではないけれど、この大箱という女性の方以外には、お尋ねになるような立場の人はいないでしょう」と、長々と説明しているちょうどその時に、向こうから女性が一人歩いて来た。
(「右筆」などの役職は、どうあてはめればいいのかわからなかったので、ごまかしています。
ここで大切なのは「宿所」かな。馬琴だけかもしれないですが、江戸文学では「宿所」はホテルや宿屋ではなく、「住まい」「自宅」をさすことが多いです。出てきたら、気をつけて下さい。)
◯最終レポート要領
1.「水滸伝」の使用した本(コミック、児童書などでも可)を記し、「傾城水滸伝」と比較した該当部分を簡単に説明する。
2.自分ならどのように翻案するかを簡単に予想してみる。
3.「傾城水滸伝」の比較した部分を現代語訳する。
4.現代語訳した部分を中心に、「水滸伝」と「傾城水滸伝」を比較し、自分の予想とも比べて、考察し鑑賞する。(どのようにするかは、今後の授業のテキストの内容を参考にする。独自の視点や方法を使ってもよい。)
5.翻案、男女の問題、歴史の解釈、虚構の構築、絵の鑑賞など、自分の興味や関心のあるテーマを関連させてもよい。
6.最終日(6月15日)の3限までに提出する。それ以前に提出してもよい。またノートに下書きや構想を記して質問や批評や評価を求めてもよい。返事はメールで行うこともある。
◯以下の人の「比較部分」は確認しました。18日にコピーを渡します。
提出したのに名前がない人は連絡して下さい。
他の人は、「比較部分」をノートに書くか、メールで知らせて下さい。ただし23日以降のメールでは、25日にコピーが渡せないかもしれません。なるべくその前にお知らせ下さい。
モスラ 史進が三人の盗賊と交流し、村を出るまで
アドバルーン 林冲の妻が言い寄られる場面
こうもり 洪信が童子や虎に会う場面
UFO 洪信が伏魔殿に入り、魔星を解き放つ
つばめ 史進が魯達と会い、泣き声のする隣室に踏み込む
すずめ 林冲の登場から、妻が言い寄られているのを止める場面まで
てんとう虫 魯達が娘の身代わりになって盗賊をこらしめ、旧友に会うまで
※範囲その他を確認し、不備があれば申し出て下さい。
◯18日の授業予定
しばらくテキストに沿って進めます。最終レポートの参考にして下さい。また黄表紙「大悲千禄本」を読みます。
◯前回の授業では、江戸時代の和書を見ながら、古書の扱いと草双紙の概要を説明しました。欠席した人もいるので、その内に他の和書も使って再度説明します。
◯ミツバチさん、「お手紙欄」から私にメールして下さい。名前とペンネームだけでいいです。メールの授受ができることを確認しておかないと、最終レポートその他の連絡ができず、結果として単位が出せないこともありますので、注意して下さい。
4月27日の補充
授業中に現代語訳した課題の私の解答です。次回の授業でも配布しますが、参考にして下さい。
だいたい、この国府天王寺の村々の村長は、この当時女性が務めていて、名前は「小蝶」と呼ばれていた。彼女は代々この東生村の村長を務めていた家に生まれて、その血統には問題がなかった女性で、彼女の親の代になって、家を継ぐ男子がいなくて、ただこの小蝶一人を子どもとして有していた。それで、両親が亡くなったとき、彼女に婿を迎えなさいと言って仲人をしようとする者が多かったのだが、小蝶はそれを受け入れなかった。そうなると、この村長の家は跡継ぎもないままに絶えてしまうしかないなりゆきだったが、小蝶は男性以上に力が強く戦闘能力もすぐれ、さらに事務的能力さえ、充分に持っていたので、村人たちは国司に請願して、小蝶をその親が村長だった時と同じように村長に任命して下さいと、地域全体が一致して要望申し上げたので、この時代は国全体が女性の権力が強くなっていた時代だったので、とうとうその要望を国司は受け入れることになさったのだった。
「筋目正しき者なるが」の「が」は主格の「が」で、「~である人であって」という感じです。「~である人だけれど」と接続詞っぽく訳すると、ちょっとちがいます。
「能くせずということなければ」は「得意でないことはまったくなかったので」すなわち「ものすごく得意だったので」ということ。二重否定というやつです。ご注意を。
私はときどき、かなり意訳っぽくしているところもあります。このへんは各自の好みで決めて下さい。
もう一つの文章はほとんどの人がまだ手を付けていなかったので、次回の授業で課題にします。
※ミツバチさん、「お手紙欄」から私にメールして下さい。名前とペンネームだけでいいです。メールの授受ができることを確認しておかないと、最終レポートその他の連絡ができず、結果として単位が出せないこともありますので、注意して下さい。
4月27日の授業予定
お天気がよかったら、江戸時代の草双紙の実物を見ながら、その歴史を説明します。
最初の時間に配布した年表を持って来て下さい。
雨が降ったら、水滸伝のあらすじの最初の部分を説明します。
レポートで題材にするには、なるべくその範囲から選んで下さい。
どこを題材にするか、もう決めている人は、受け付けますので申し出て下さい。次回までに、傾城水滸伝の該当部分をコピーして来て渡します。
そこ以外の部分を使いたい人は、古い本なので、少し読みにくいかもしれません。
また、時間が余れば、テキストの概要をまとめて説明します。
※前回欠席した人は、テキストの購入・ペンネームの選択・小レポート用のノートの選択をお願いします。
※皆さんの小レポートを見た限り、かなり現代語訳はできているようなので、レポートを書くにあたっての指導は特にしません。少しまちがいが多い人は、ペンネームでここでお知らせします。
※前回の課題の現代語訳です。
昔、鳥羽院の皇后でいらっしゃった美福門院という方は、お顔の美しいことは宝玉にもまさり、賢さは男性以上でいらっしゃった。それで鳥羽院の彼女への愛情は世の中に比べ物がないぐらい強かった。ときには政治関係のことまで丸投げにおまかせなさったから、この時期には「女謁内奏」と言って、昇任させたり役職につけたり、または民間からの請願をお聞きになるようなことまでも、全部美福門院のご意見でお決めになられたため、美福門院に仕え申し上げている女官たちまでが自然と権力を持つようになり、貴族や宮中関係者を問題にせず、自分たちの好きなように政治をしたので、庶民のことわざで、「女性が賢すぎると商売は失敗する」と言われていたことに似たようなことばかり多かったとかいうことだ。ちょうど永久元年の春、三月のころ、鳥羽院はちょっとご病気のためにしばらく政治を行われなかった。その時期は急を要する案件は美福門院の決定におまかせになったために、たとえ身分が摂政や関白であっても、女性の美福門院と密接に会議などの公務をするのはやっぱり遠慮すべきであるということで、摂政や関白なども皆、その妻を代理に採用なさったのだった。ところがこの時期、近畿地方に流行病が発生して死者が多かったので(中略)この件をどうしたらよかろうかと、美福門院たちは何度も会議をして相談した。その時に関白藤原忠通さまの奥さまの井手の政所という人が、前に出て申し上げなさったことは、次のとおりだった。
敬語に注意。主語を明確に。「~れば」は「~なら」ではなく「~ので」になる。
「レポートを書く前に」の中の「演習をするために」の項の現代語訳についての説明を見ておいて下さい。
4月20日補充分
◯以下の方はメールをいただいています。今後の連絡はこのメールを使って下さい。
じゅうたん、モスラ、UFO、とんぼ、投げ槍、すずめ、流れ星、ペガサス、ふくろう、風船、アドバルーン、つばめ、こうもり、(到着順)
メールしたのに、上に名前がない人は、次の授業の時に申し出て下さい。
◯欠席したりして、まだペンネームが決まってない人は、次の中から選んで下さい。
「お手紙」欄からメールで届けてもいいです。希望が重なったら、先着順にします。
コンドル くまぜみ 飛行船 ジェット機 グライダー 竹とんぼ コンコルド 気球 ニルス 紙ヒコーキ ヘリコプター ロケット てんとう虫 砲弾 いなご ほうき スーパーマン 天女 白球 ピーター・パン ユニコーン 魔女
◯「水滸伝」関係の資料(とっさに、適当に選んでいます。正確さなどは保障しません。)
英雄たちの名簿(私が手書きで配ったものより、ずっと詳しい)
※随時、補充して行きます。
これらを読んだり、のぞいたりする時は、必ず書名や資料名をメモしておくこと! 最終レポートを書く場合、引用するときなど出典が必要になります。後になると、絶対忘れて、「どこで読んだか」「どこで見たか」と七転八倒することになります。悪いことは言いませんから、必ず見たときに即メモしておくこと。
◯訂正! 授業であらすじをしゃべったとき、最後の方で、「宋江と花栄がいっしょに自殺」と言いましたが、それは「呉用と花栄」でした。宋江はその前に毒を飲んで死んでいます。
4月19日連絡
受講生の皆さんへ
大変遅くなりましたが、一応、掲示板を作成しました。
以下は授業でも紙で配布しますが、一応見ておいて下さい。(4月19日)
授業の目的
江戸時代の絵本(草双紙)の概要を覚える。
馬琴の作品の翻案を実地に学ぶ。
テキストについて
『江戸の女、いまの女』。500円で購入。使用するのは「傾城水滸伝覚書」の章のみ。かなり古い出版なので社会状況などは変わっているが、論文の内容には問題はない。
ペンネームについて
ホームページ「いたさかランド」で公開で連絡する場合もあるので、各自、連絡用のペンネームを以下の中から選んでもらう。
コンドル つばめ くまぜみ 飛行船 とんぼ ジェット機 グライダー 竹とんぼ
UFO すずめ モスラ コンコルド 気球 ニルス じゅうたん 流れ星 紙ヒコーキ
風船 ヘリコプター ロケット アドバルーン てんとう虫 ミツバチ こうもり
ふくろう 砲弾 投げ槍 ペガサス いなご
成績評価について
基本的に最終レポートで評価。それで合格点に達しなければ平常点(主として小レポート)を考慮して加点する。
最終レポートの課題
『水滸伝』と『傾城水滸伝』の一場面(林冲が流刑地を去るまで)を選んで、後者を現代語訳して、両者を比較する。
どうしても無理なら、テキストの中の他の章からテーマを選ぶことも考慮するが、その場合は減点もあり得る。
小レポートについて
毎時間、各自のノートに小レポートを書いて提出。最終的にノートを提出。
ノートはメモ用に使用してもよい。質問や感想を記してもよい。
授業の予定について
掲示板で通知。
掲示板について
ホームページ「いたさかランド」の「岬のたき火」コーナーの「協力者列伝」の中にある。数日おきには閲覧しておいてほしい。
資料が大量な場合は、配布しないで、こちらに掲載することもある。
受講時の諸注意
飲食は自由。出入りも自由。
出席について
三分の一程度をめやすに考慮する。
連絡について
「いたさかランド」の「お手紙」欄から教員にメールする。