「グリー」は結局皆は見られんかった。
どうしても時間がなくて、私はいったい何をしているんだと、自分で自分をノロいながら、「グリー」のDVDを期限が来ちゃって返却しました。くやしい。おもしろかったのに。最初の3話つまりDVDの1巻だけしか見られなかった。しくしく。1枚250円じゃ見そこなって再延長するには、やっぱ勇気がいる。
でも楽しかった。これって、この町にいるだけですでにもう負け犬、みたいな、あくまでちっぽけなさえない町を舞台にしたのが成功かなー。出てくる人がみごとに誰も憎めなくて、それぞれ一流の俳優さんだろうに(だって、うまいもん)、皆どこか決定的に二流感をただよわせてるのが、泣ける。すてき(笑)。ある意味、誰も勝者がいない。エリートもいない。エリートはエリートだから、それゆえにこの町じゃ、異端者でエリートじゃない。この閉塞感つうか、行きどまり感つうか、しかもそれが、すべてものすごいドラマになってるのが最高。ある意味、底辺であがいてる集団だけど、井の中のカエルの集団だけど、そこに最先端と同様の要素がすべてあるのが、もうパロディになりすぎというか、泣かせる。
見てて一番楽しく動揺したのは、悪役の極右の女教師で、こんなやつがいるのか、そして支持されちゃうのか、冗談かと思いかけて、あ、アラスカ州知事だっけのサラ・ペイリンが人気があるんだから、これってリアルなんだと思ったりして。で、あらゆる意味で私の大っきらいなタイプのはずが、この人(スー先生)がものすごく好き。どうしよう(笑)。ペイリンはきらいだが、念のため。
この人が出てると知って、DVDの「Lの世界」を借りようかと思いはじめた私はバカだろうか。でも、これっていうのも、「LOST」も「デスパラートな妻たち」も、私が見てない分がいつまでも新作や準新作で、100円にならない、某レンタルビデオショップが悪いのだ。たのむよもう。「LOST」の途中経過なんて、もういいかげん忘れそうだよ。
「グリー」だけど、この「出て行けない二流の町」って、「屍鬼」の舞台の村と変に共通するんだよなー。これが日本や世界の縮図なのかしらん、とまで思っちゃう。
主役のシュー先生の顔が、私は「メンタリスト」のサイモン・ベイカー見たとき、あれ、その昔のピーター・オトゥールを思わせる表情、顔立ちだなと思ったのだが、このシュー先生がまた、どっかオトゥールに似てて笑った。それぞれの二人はまったく似てないのだが、どっちもオトゥールを連想するのは表情や雰囲気もあるんだろうか。二人とも、どこか現実ばなれしたような感じがどっかにあるからか。
そんで、私はファッションだの何だのには、ちっともくわしくなくてセンスもゼロで、「プロジェクト・ランウェイ」見てても、いつも審査員の評価と大はずれになるから、そんな私が言うのも何だが、シュー先生に片思いしてる、潔癖症の彼女のファッションがまた、どうゆーか、かわいいし、おしゃれなようで、いつも決定的に保守的で臆病でダサいのが、見ていてほんとに、彼女とあの町をありありまざまざ語ってるようで、すごいと笑ってしまう。衣裳係の才能はナミじゃない。
あー、やっぱし250円奮発して続きを見っかなー。でも家かたづけなきゃだし、書かなきゃならない原稿あるし、デートもあるし、映画も見に行きたいしだしなー。