「レベッカのお買いもの日記」はいい!
◇キャラママさん。
よく、同性愛者や独身の人に激しい敵意を示したり、自分と同じように異性を愛させたり結婚させたりしようと、やっきになる人がいますよね。別に、あんたと関係ないやん、と、ほんとにふしぎに思うんですが、こういう人って、自分とちがう好みや人生送ってる人がいると、自分のしていることがまちがってるようで、不安でしょーがないんでしょーね。誰もあんたに同じことせーとは言うとらんし、第一、あんたと同じことしても、その人とあんたが同じになれるわけないし、その人のことがあんたに何かわかるわけでもあるまいし、と思うんですけど(笑)。
あ、国旗や国歌を皆で歌わないと落ちつかない人ってのも、同じでしょうね。
皆で同じもの見上げて感動するとか、皆で同じ歌歌っていい気持ちになるのは楽しいだろうけど、その場合、一番楽しいのは、いうまでもなく、できるだけ大勢の人が心をそろえて歌うことですよね。次はっていうか、それがだめなら、少数でも歌いたい人が集まって楽しく歌うこと、または歌いたい人だけが歌って、そうでない人は歌わないで皆が楽しんでいること。最悪なのはいうまでもなく、いやいや歌っている人がまじっているのがわかって、皆で歌うこと。もーね、私がその歌や旗をちょっとでも好きだったら、絶対がまんできそうにないなあ。
知り合いが住んでる村で(ったって、そこそこ町だよ)、町内会の寄りの飲み会んとき、まだ若い、市役所につとめてる男性が「そんなこという人は、ここに住まないで、どっかよそに行ったらいい」と言いやがったそうで、知り合いは「ちょっと、そんなこと言う人がいるとこには、私は住みたいと思わないよ」と言い返したそうな。「原発問題も絶対こうして、議論もさせないまま、各自治体は押しきってきて、その結果がこうなんだわさ」とその人怒ってましたけど、でも「いやなら出てけ」って言う方がまだ神経としちゃ、まっとうかもね。「いやでも、そこにいて、好きなふりしろ」と言うよりかは、感覚としちゃ、まだまともだわ。
避難しない人がいたら、避難してても不安で不快っていうのも、それと似てる。
ただ、そうは言っても、道ひとつへだてたとなりどうしで、避難区域が分けられるとか、こういう状態って、もうほんとに、人の気持ちをずたずたにする、一番残酷なことだとは思います。どんな弱さやみにくさが、そこで生まれても、絶対にその人たちの、そういう気持ちを責められないって気がします。
◇「レベッカのお買いもの日記」シリーズ、気がついたら6巻まで出ていて、あわてて3から5までも買って一気に読みました。どの巻もものすごくぶあついし、でも面白い。
シリーズがつづくほど、この作者のうまさがわかってくる。これって、ほんとにすごい小説です。お買い物の楽しさと危うさをこれほど巧みに書いてるのは、他の買い物小説の追随を許さないし、しかも根本の哲学や倫理が、すごくもう、しっかりしてる。古典文学なみの質の高さだと思う。
映画化はされたけど、ヒロインの女優さんのイメージが、根本的にちがうんだよなー。この小説の根幹を読み間違えてるキャストです。レベッカは、タフで強引、はちゃめちゃ、というだけじゃなく、はかなくて、繊細で、やさしくて、ほんとの意味で誇り高く、品格のある女性です。ある意味、とても「赤毛のアン」に近いのよ、彼女。夢見がちだし、理想主義だし。アンだって、「ふくらんだそで」の服にあんなにこだわってたわけで、彼女も現代なら絶対レベッカみたいになってる。
恋人のルークもね、映画じゃ今風の流行に合わせて、草食系男子の優男だけど、これもまったくちがう。彼は堂々とした男性的な外見の強い男でなくちゃいけない。シュワルツネッガーとはもちろん言わないが、せいぜいコリン・ファース(ファレルじゃない)ぐらいではあってほしい。そういう人だからこそ、秘めたもろさが生きてくるし、いとおしいんだから。
うーん、とにかく、6巻まで読んで確信しました。これって、大変な名作です。きっちり、まっとうな、重量級の作りで、しかも軽やかで楽しいの。おすすめですよ!