「大学入試物語」より(15)
2 何てったてライバル♪
この一節、みごとにまるっと、完全な雑談だが、私はどんな競技も戦いも公平無私で理想的な条件で行われることなんか、あり得ないと思っているから、勝敗とか順位とかいったものはいっさいまったく信用してない。スポーツでも学問でもクイズ大会でも、その過程の熱戦は楽しむし、結果にも興奮するが、それでその参加者の特徴や才能を見ることができて楽しかったというだけのことで、トップになろうと次点になろうと金メダルでも銅メダルでも、別にどうってことはない。
私もそれなりに、いろんなレースに参加したし、勝ったことも負けたこともあるが、それで自分の価値が決まるとか、誰かに劣っているとか優っているとかいうことが証明されたなどと一度たりとも思ったことはなかった。
レースに参加したのは受験にしても就職にしても、言ってみれば賞金、資格、結果、職がほしかったからで、それを得るために戦って、得たり得なかったりした。それはそれだけのことである。ついでに言うと私はその都度、私を評価できるかどうかで相手の組織や共同体の価値もわかれば運命も決まると思っていたから、私を選抜するかどうかは、すなわち相手が私に選抜されるかどうかということでもあると思っていた。