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「月山」は

暗い寒い人気の無い夜行列車と乗り換え駅のホームで読むには此れ以上は無い程相応しい本でした。(笑)行き倒れの人の死体から観光用のミイラを作って仕舞ったかも知れない村の風聞等凄すぎます。辺境、老境、其の他の要素が重なり合って絡み合って何やらずっと笑えて仕舞いました。深沢七郎、杉浦明平、石牟礼道子、村田喜代子、其の他村や老人を描く世界に共通する暖かくて無気味な居心地良さを感じて、自分も其れに近く成って居るかと思うと何処と無く開き直った気分にも成ります。

老人の救いの無さは記憶や知識の多さですね。実際に肌で体験した。どれだけ呆けても呆けなくても、一人一人の身体の中には語れば止め処ない記憶と歴史が刻まれて居る。其れをどうするのかと言う事が案外大切な事なのかも知れません。忘れて消すのか、正確な記録に留めるのか、抽象化した物語や寓言として残すのか。
けれどまあ、色んな意味で読んで良かったし満足しました。夜の雪の中に聳える巨大な山の独特の無気味さを上手く描いて居るかどうかは分かりませんが、作品全体に、その様なのしかかって来る山の様な圧迫感が有りました。

キャラママさん

詰まらない事では有りますが母の妄想で私が一番怒ったのは私が名誉市民か市長か知事か大統領か何かそんな物に成ったとして、夜中に自分を迎えに車を駅に来させる様な人間には成らないと言う其の一点だったかも知れません。(笑)

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カツジ猫