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「独裁者」の映画。

◇カストロ首相が亡くなった。あの世なんか信じてない人のような気がするし、まあ私も信じてるわけでもないけど、それでも思う、あの世でゲバラと会えたとしたら、後ろめたいこともなく、堂々と自分たちの人生を語り合えただろうな。そういう意味では幸福な人だったかもしれない。
彼が国内で反対派を弾圧したという話は、アメリカの海外ドラマでも時々出るが、老母が昔いつも「あのアメリカののどもとでだよ、反対つらぬいて国作ってるってすごいよ」と言ってたように、そして民主的なチリのアジェンデ政権がアメリカの工作で軍事クーデターによって崩壊し、大統領以下要職の人々は武器をとって官邸で抵抗して殺されたように、あの大国に抗して自分の国を守り医療その他で人々を幸福にして社会主義国を作って行くのには、なまなかなことではできなかったはずだ。トランプ当選後のアメリカのマイノリティ差別をろくに報道もしない大新聞が、キューバの反対派弾圧を大きくとりあげてカストロを功罪なかばのような印象を与えているのは、本当に情けないし恥しい。

私が学生のころ、キューバのことを歌った、「明るい五月、輝く青空、自由の旗はラッパにはためく、広い道に立つ指導者カストロ、頭上に輝くキューバの太陽、キューバシー、キューバシー、キューバシー、ヤンキーノー、キューバシー、キューバシー、キューバシー、ヤンキーノー」という歌があった。少し怪しいが私は三番まで歌える(笑)。ゆうべの「九条の会」の忘年会でも、近くの人たちにだけ、ちょっと歌って聞かせてしまった。

◇ん、それはそうと、ネットでの、この書きこみには笑えた。

Hal Tasaki@Hal_Tasaki(おもしろかったのでいちおう訳すよ。)
カストロ:アメリカが滅ぶまで私は死なんぞ。
トランプ:俺が大統領だ!
カストロ:あ、では。


◇土曜は大学での青柳種信の手紙を読む読書会、昨日はチャップリンの「独裁者」の映画の上映会。いろんな人が来てくれて、何とか赤字にはならずにすんだ。
若い時には、それなりに楽しんだが、どうってことないあたりまえのことしか言ってないじゃん、まあヒトラー台頭のの時期に見たらちがうのかもしれんけど、と思って見ていたこの映画が、ヘイトスピーチやトランプやアベ政権やそれに翻弄される人々、受け入れてしまう人々にみごとに重なり、息づまるほどのリアルさを放ってくるのに、ちょっと呆然とした。 いい映画だ。そして、いやな世の中だ。

まだ実行も計画もされてなかったはずのヒトラー暗殺をパロディ化したような話、そして、そのテロ行為を否定したユダヤ人たちなど、予見と見識の鋭さにも脱帽してしまう。 独裁者のヒンケルが、恐るべき存在であると同時に、徹底的に弱くて哀れでみじめで、いっそいとおしくさえ見えるのもすごい。独裁者の化けの皮をとことんはぎながら、その対象への愛も決して失ってはいない。

ラストシーンでの有名な演説のあと、侵略された国で苦しんでいる恋人のハンナたちが希望を抱いて顔を上げる場面、印象には残っていたが、その意味はそんなにわかっていなかった。これも今見るとよくわかる。チャップリンが描きたかったのは、床屋のヒーローの勝利ではない。彼は何よりも今この時に最も虐げられている人々に呼びかけ、つながりたかったのだ。

◇連日の行事と、ぱっとしない状態の母と猫の介護に疲れ、今日はゆっくり休もうか、そのまま別の仕事に入ろうかと、思案中。さしあたり、猫たちにエサをやらねばな。

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カツジ猫