「虎に翼」の感想から
いやはや。朝ドラ「虎に翼」のハッシュタグの感想から「翼って、日本国憲法のことだったのか」「優三さん(ヒロインの夫)は、日本国憲法になって帰って来たんだ」という、コメントがあったのをお見せしようとして、探していたら、なかなか見つからなかった上に、他にもお見せしたいコメントが多すぎて、朝っぱらから、この始末(笑)。他にも、紹介したいコメントがいっぱいあったんですが、きりがないので、ここまでに。朝ご飯食べます。以下はすべて、#虎に翼 からの引用。
◯川辺で独り焼き鳥をかじる寅子の手元に新聞の日本国憲法があり、それを見て彼女は声をあげて泣いた。憲法はあの戦争で人生を狂わされたり奪われた大勢の人を国はもう絶対に生まないという決意であり、これ以上ないほど傷ついた人々にとっての唯一の光でもあったろう。決して失ってはならない。
◯祖母はよく、「いずれは戦争を体験していない人だけになる。世の中どうなるんだろうね」と心配していた。その通り、大変な世の中なんだけど、一方でこういうドラマも生まれてる。体験した人たちが残してくれたことを、想像で引き継ぎながら、生きる力をもらってる。体験の代わりに想像がある。
◯お守りが帰って明かされる優三の優しさと我慢強さと利他の心。彼の美点はわかりやすい家柄や資格や職歴ではないよ、地味だが人間としての上等さを持つかけがえのない人で、日本国憲法はそういう無数の人の死と引き換えにもたらされたんですよ、の虎つば最重要回。
◯優三さんという人が、 長年の夢叶わずとも、家で蔑ろにされようとも、そして戦地に赴こうとも、復員を待つ病院で体調を崩した人のために、自分の命よりも大切な寅子お守りを渡せてしまう、"黄金の精神"をもった人であったと描かれて、誰がなんと言おうとが、すごい男と思わずにはいられない。
◯「虎に翼」あんなに優しい優三さんが、これから戦地に送られ、人を殺さなくてはならない。 想像しづらい。 でも人を殺すのが戦争だから、きっとそうなってしまう。 日本中で優しかった人たちが徴兵され、国に殺人を強制された。繰り返すほど、私たちはバカじゃないと信じたい。
◯#虎に翼 は「死」で泣かせようとしない。「出産」で感動させようとしない。死が悲しいのも、出産が一大事なのも自明のことで、エモーショナルに描けば視聴者の心を震わせることができる。でもそれをしない。やりたいことはそれじゃない、という気概を感じる。
◯私も出産シーンをスキップしたの大正解だと思ったけど、「性的なシーンだから」というより女性にとって出産ほどの一大事があろうかという考え(上川大臣の「産まずして何が女性か」発言!)、出産シーンを入れてこそ女性の人生のリアルを描けるという思考停止演出に引導を渡したと感じたから。
◯戦争って、男女不平等という意味でもとにかくむごたらしいとあらためて思いました。直道さんや優三さんのようにどう考えても「戦う」ことに向いてない人も徴兵される。「男だから」という理由だけで。残された女も辛いけど残す方も辛いでしょう。辛いかどうかすらも、もう聞けない。
◯両立制度があっても職場の無理解、もしくは夫の転勤で仕事を断念した同期や同級生たち。今週の寅子を見て、涙が止まらなかった。 このドラマを政治的と批判する人もいるが、私たちにとって政治的でもなんでもなくこれが日常なのだ。
◯優三さんの造形が新憲法そのものである事に気が付いた。
・日頃は誰もがその存在を気に留めていない
・緊張するとお腹ピー=事あると簡単に壊れてしまう繊細な存在
・司法試験に落ち続ける=当たり前。旧憲法とは相容れない存在だから
スタッフはイジリ目的で造形したワケじゃないんだ。
◯これまであらゆるドラマや映画では、戦争やそれに伴う悲惨を、国民には絶対に抗いようのない、避け得なかった災厄として描いてきたが、 #虎に翼 ではひょっとして違うかもしれない。抗うべきであり、避け得たかもしれないのにそうしなかった悔いや怒りを描くのかもしれない。そんな気がしている。