いつだって少数派。

◇沖縄の選挙って、結局は日本の中のたった一つの県の知事を決める選挙だ。
たとえば辺野古でも普天間でも、そこの基地をどうするかというのは、普通だったら国の政府は、「現地の民意はどうなんだろうな。その知事選の結果で判断して国策に活かそう」と考えるものではないだろうか。

今後の国政の方向を決める資料にしようと思って見守るもんでしょう。普通は。


◇それをまあ、これで国の運命が決まるみたいに介入しテコ入れし、ここで勝たなきゃ自分たちのやりたいことをやれないみたいにがんばるなんて、どう考えてもおかしかろ。その間、他の都道府県は手抜きされてるわけで、どうかと思うよそれも。

◇しかも、その方法が、このところの地方選挙で、ずっとやってる方法ですが、

一番肝心の問題点をさける。
自分たちの支持する候補者の主張や信念を徹底してかくす。
根も葉もないデマをひたすら拡散する。
議論を聞かせないままに、期日前投票に連れて行って投票させる。

こればっかりで、相手候補とか以前に、選挙制度そのものをめちゃくちゃにしてる。

◇そういうことは、こちらのツイッターなどで、いやになるほど紹介されているわけですが、その中で、今の若い人たちがネットや口コミだけで、政治には無関心だし、とんでもない情報を得て、保守化、右傾化してるという危機感や嘆きが伝えられています。

https://twitter.com/jucnag


https://twitter.com/TOKYO_DEMOCRACY


https://twitter.com/I_hate_camp

https://twitter.com/sangituyama

たしかに、そういうことを軽く見るのはよくないでしょうが、私自身はどうもあまり今一つ実感がない。
ひとつには、そもそも私ら年寄りや大人が必死で主張することって、基本的には若者には共感されないし、反発くらうのが普通じゃないかって気がする。
私なんか、親や先生や老人の言うことなんて、ただもうそれだけで魅力なかったし聞く気なかったし。

もしも自分が今の若者で、老人や教師が「戦争はいけない、憲法は変えるな」とか言ったら、それだけで右翼になりそうな気がする。少なくとも、親や教師と手に手をとっていっしょにがんばるなんて私はすごくいやだ、理屈抜きで。

だから、若者の右傾化、無関心化を嘆く新聞記事で、「老人が配るビラをひらひらよけて受け取らない若者を見ると胸が痛む」なんて、敬老精神っぽいこと書かれると、くすぐったいというか、申し訳ないというか。
えーと、どこがかというと難しいんですが、私はたまたま老人で、戦争反対、憲法守れ、民主主義守れという立場なわけですが、老人を敬遠否定するのが若者の常であるとしたら、そういうものを大切にして守ろうという立場をとっちゃうめぐりあわせになった自分たち、すごく得した気分なのですよね。

◇学園紛争のとき私は、年とった先生たちを保守的とかいろいろ弾劾する若者の乱雑さや傲慢さが嫌いで、そういう立場の老学者たちが気の毒だったし、そういう立場にならないように生きたかった。
今、保守的な若者に無視されて戦争反対のビラ配る方が、老人としてはよっぽど幸福で気持ちがいいわ。いや、そういうことでいい気になっていてはいけないけど。

はあ、屈折してるなあ、我ながら、いつものことで。

◇それと、私は子どものころから、革命が好きで革新的で政治にも関心があったけど、周囲の子どもたちや若者たちは、誰も絶対そんなのに興味なかったし、あえて言うなら保守だったぞ。
だから私もふだんは絶対そんなこと口にしないで、うわさ話や漫画や映画の話しかしなかったぞ、友だちとは。

日本の若者がサヨクだったり革新的だったりしたことなんかあったのかい。私には思い出せんが。
あ、大学紛争のときですか。あの時も私は周囲でデモだバリケードだと騒いでた人たちが、政治的社会的に何か考えてるなんてちっとも思えなかったし、全然話は通じなかったし、まるきり少数派で孤独でした。
まあ多分そのころの学生運動してた人たちと、今あちこちでいっしょにがんばってるのかも知れないけど、それはそれでもいいけれど。

◇そりゃ今の首相と政権のはちゃめちゃぶりは、保守とか革新とかの基準をとっくに突破して、むちゃくちゃ非常識の無法地帯ですよ。あれはもう、北朝鮮とかポルポトとか、そういう基準の異常事態の非常識ですよ。

だから、それに抵抗も反感も持てない人が増えてるっていうのは、さすがにこれまでとちがった危険なゾーンだとは思うけど、でもそれも、いつの時代でもどこの国でも、そういう人たちは年齢に関係なく、いつも相当存在してたのではないかと思うのね。

いつだって、まともな人、考える人、良識派、賢い人（学歴にも出自にも経歴にも境遇にもいっさい関係なく）は、少数派なんですよ。それを嘆いたってしかたがない。むしろあんまり自分以外の人たちが、まともだなんて信じないことですよ。私なんていつも少数派で孤独で負け戦で、だから自分は正しいんだと思ってたもんね。そういうもんじゃないでしょうか。