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いやあな感じ。

◇ずっと前にここでも書いた、ちょっと離れた近所の新築の家が出来上がって、二軒並んだ一軒はもう売れて、残りの一軒が売り出し中になっている。
よそのことだから、どうでもいいし、新しいきれいな建物を見るのは楽しくもあるけど、気になるのは、お客さんを案内する建築会社だか不動産屋だかの車が、ぎりぎり二車線のその道に、いつもどかっと駐車していることだ。
しょうがないからちょっとすみません、という感じではない。横っ腹に堂々と会社名がついていたり、時には「お客さま案内中」みたいな張り紙をべたっと無人のままの車にはってある。

静かな住宅街とは言え、車の行き来はそこそこ多い。私もこの前急ぎの時に、その隣りのおうちが、デイサービスに出かける車をとめていたので、向こうから来た車と離合できず、引っ返して別の道を行くのもいやみだよなあと迷って待っていたら、かなり長く待たされて、しかもその家の方は、なぜか向こうの車だけに「すみません」と一礼して私は無視して家に入られ、実は相当むかついた。

言ってみれば隣りの町内なので、もちろん面識はないし、まあそのくらいは私もやりかねないし別にどうでもいい。
しかし、そういう風に一触即発状態が起こりかねない通りで、場所なのだ。そこにしらっと長時間駐車して「仕事でーす」と恥しいとも思わずに宣言してる会社なんて、常識もセンスも疑う。そう言や、建てているときから、妙に周囲を見下すような偉そうなデザインの家だと思ってはいたよ、と変なさかのぼっての反感まで生まれそうになる。

直接私に関係ない地区だからいいけど、新しい人が住む前から、不和の種をあたりにまきちらしてるようなものじゃないかと思えてしまう。もちろん工事の間も工事車両が止まって迷惑してたが、それはさすがにプロなのか、ちゃんと一応、業者の人は配慮している感じがした。何より、それは非常事態でもあるから、こっちもあきらめがつく。家がきれいに仕上がって、お客を見せに連れてくる段階では、もう住人と同等か、それ以上のマナーは守るべきだろ、日常の暮らしに即して。

何度かそうして偉そうに駐車してるのを横目でみたとき、私はとっさに、今どきまさかと思うが、この二軒の家には駐車場がないんだろうか、とまで考えた。それで道を変えてゆっくり確認したら、もちろんどっちも駐車場はあり、まだ売れてない方は、そこそこの豪邸で、道からすぐに入れる四五台入れそうな広い駐車スペースがあった。
で、そのどっちの駐車場にも、綱を張って入れないようにしてある。
売り物に傷をつけまいというのか知らないが、だからって、販売行為のための自社の車を路上にとめて周囲に迷惑をかけるのじゃ、もうその悪印象で、売り物にはしっかり傷がついとるわい。

もしかしたら、あの調子では買った人にも、「ああ、このへんは通りが少ないから、道にとめててもいいですよ。私たちもとめてますから」とか言ってるんじゃないだろうな。それこそ、くり返すが、新住人が来る前から、不和の種をせっせとまいてるようなものだが、あの会社なら、やりかねん。

私はまるで迷信深い方じゃないが、新しい家はやっぱり人の恨みや憎しみや、無理かもしれないが羨望のまなざしなどは受けないで、近所の人はもちろんのこと、通りがかりの見知らぬ人からも好意や祝福を受けながら、生まれて育って行ってほしい。自分自身にそれが充分できているかは怪しいが(笑)、せめて業者はそういう環境も含めて売ってほしい。
あの業者がやっているのは、それとまるきり、さかさまのことだ。
思いやりというよりは、ここに書くのも汚らわしいから、どこの会社か名前は書かずにおくけどね。同業者の方がもしこれをごらんになったら、何かの参考にはしていただきたいです。

◇DVDの「トウルー・ディテクティブ」は第二シーズンも一応まあ面白い。レイチェル・マクアダムスは、外見的にはきゃしゃではかないのだが、苛酷な過去できたえあげた、たくましさとふてぶてしさをうまく演じて、男たちを指揮する刑事として違和感がない。

だけど彼女が、犯人たちとの激しい銃撃戦に突入するとき、一般の人の間を(厨房かなんか、よくある設定)「どいて、どいて!」と言いながら突っ切るのには、さすがにちょっと「あー、やっぱり女言葉は限界があるな」と感じてしまった。最近のドラマでは、たいがい勇敢な実力派戦闘員の女性も大勢出るから、「~なさい!」「~して!」の言い方もかなり自然になって来たが、ある水準以上になると、やはり女言葉は厳しい。

それはつまり、ある一定の水準以上には女は言葉が使えなくなる、ひいてはそういうことはできないことになっている社会が、日本ではやはり存在しているのだなと、あらためて思った。

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カツジ猫