こういう事は冷静に話し合いたい物ですが
じゅうばこさん
「ソルト」の感想面白く拝読して居ます。
スパイになった気分についてなのですが、私も最近幕末に関する本を読んで居て、似た事を考えました。
この時代の事を書いた物を読むと特に司馬遼太郎氏でなくても、「日本が如何にして列強の侵略を拒んで近代国家への移行を果たしたか」と言う価値観や感覚が、すべての基準になって居ます。
私はそれもですが、日本がそのような近代国家への移行を果たした事が、それ以後の世界や人類にとって良かったか悪かったかを考えてしまいます。
例えばその様にうまく行かず、様々な事情から長く植民地になる等の苦しみを抱えた国々について、日本はそうならないで幸運だった、良かったと言ったり感じたりしてしまう事に、居心地の悪さを覚えます。そういう感情を持ち、そういう考え方をする事はそれこそ日本人の美徳とも相容れないのでは無いでしょうか。隣人の不幸を他人事として自分の幸運を喜び、その幸運を与えてくれた当時の祖先に感謝するのは私にはひどく後ろめたい事に思えるし、品格にも欠けると思うのですが。
これは、お二人がしばしば話す「格差」をどう考えるのかと言った問題にも繋がるのでしょうか。他者の不幸がある限り自らの幸福を手放しで享受出来ない心理とは。
ですが、或る共同体の中に在って、そこの成員の幸福を優先して考えられないという点では、やはり私も「潜伏スパイ」なのでしょうかねえ。(笑)