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これはもう救いようがないかも

子どもが一人で留守番もお出かけもだめという法律を作ろうとした埼玉県議会の自民党には、もうあきれて声も出ない。さすがに猛反対を受けて提出は引っこめたらしいが、「中身は悪くなかった、説明が足りなかった」とか言ってるらしいから正気の沙汰ではない。負け惜しみならいいが、本気だったらもうどうしようもない。

とっさに思い浮かべるのだけど、児童文学の子どもたちの毎日って、この法律だと完全に皆、罰則対象だろ。ハックルベリー・フィンはまあ別格として、トム・ソーヤーでもアン・シャーリーでもアルプスの少女ハイジでもナルニア物語の兄弟姉妹、その他すべての子どもたちでも。それほど非現実的な法案だろう。現実を知らないだけじゃなく、小説もコミックも映画も見たことないんかい、こんなの作るおっさんたちはよ。

ときどき思っていたのだけど、自民党だか統一教会だかは、石器時代なみに古い家庭や家族像を死守してるんだろうな。少子化対策なんてできるわけないじゃん。それにしたって、その理想とする家庭像って何なんだかが、ちっともわからない。母親が子どもにべったりで目を離すなというのなら、貴族や皇室なんて、むしろ乳母や保母にまかせて、母親は離れがちだぞ。貧乏な農村とかなら、むしろ子どもはほったらかして親は仕事にはげんでるぞ。

私がこの法案の中身を知って戦慄したのは、むしろとっさに十歳未満の自分自身にワープしたからだった。家の中で、近くの土手で、家族と離れて一人だけでさまよい、遊び、空想にひたった夢のような時間。あれが罪で、奪われるかもしれないと思っただけで、幼い私は気が狂うし、自殺だってしかねない。そんなことを大人たちに、私は決して許さないだろう。

ついでに怒ると、ジャニーズ事務所が、被害の訴えが事実かどうか厳重に精査するみたいな声明を出したそうで、そりゃ気持ちはわからんでもないが、絶対にまずい、やっちゃいけないことだろ、これは。どうやって被害を受けましたかと根掘り葉掘り聞くことが、聞かれるかもしれないと思わせることが、どんなに残酷で被害者を苦しめることか、女性のレイプやセクハラの問題で、ここまで長い時間をかけて理解を積み上げてきた歴史を、いったい見も聞きも考えもしなかったのかい。

最初からこれもうすうす思っていたけど、この組織にはやってきたことへの自覚も反省もまったくないとしか、ここまで来るともう思えない。ジャニー喜多川は犯罪者だが、それを許して黙認した組織は考えようではもっと罪が重い。それを全然わかってない。もはや、救いようがない、と、さすがの私も思い始めた。

奥庭では一時ほどではないが、まだバラが咲き続け、今朝は神々しいほど立派な大輪の花が開いていた。ただし、香りはあまりしない。見事すぎて、例によって切って飾る勇気がなかなか出ない。

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カツジ猫